アニメ映画「
スタジオCLAPが企画・制作した本作は、死にかけのヤクザ・阿久津実が起こす大逆転を描く物語。無期懲役囚の阿久津は、人の言葉を操るホウセンカから声を掛けられ、自身の過去を振り返っていく。ダブル主演を務めた小林と戸塚が阿久津の現在と過去を演じ、阿久津のパートナー・永田那奈の声を満島と宮崎が担当。瀧がホウセンカに息を吹き込んだ。
小林は「声を入れたのは2年ほど前。ヒットするアニメというのは若い男女の恋愛が描かれていたりするようなものだと思って、現場で監督に『牢屋で死にかけたヤクザの大逆転なんて誰が観るんだ?』なんて失礼なことを言ってしまったんです。でも完成した映画を観て感動しました」と伝える。瀧も「小林さんがおっしゃったことに同感で。なかなか渋い映画で、誰が観るんだと思ったんです。でも今日、劇場にいるお客さんの顔を拝見すると、老若男女いらっしゃる。監督は『ほらね!』と思っていると思います」と笑顔でコメント。木下は「日本のアニメは世界に誇れるカルチャーだと思っています。そして日本人にしか作れないものがあると思うんです。そんな土壌の上で、さらに新しいものを作っていくことに意義がある。創造性というものを大事にして作った映画です」と紹介した。
音声を先に収録するプレスコアリングという手法で制作された本作。戸塚は「気持ちの乗せ方や、どう会話すればいいかわからなくて。でも隣に満島さんがいてすごく救われました」と感謝し、「(収録時点では)どうなるか想像できなかったからこそ、冒頭の花火の場面はこんなことになるんだ!ってものすごく感動して。すごく幸せな気持ちになりましたし、アニメの力を感じました」と思い入れたっぷりに口にする。
満島は「最初に脚本を読んだときは渋いアニメだなと。監督に『パンクですね』とお話しした記憶があります」と思い返し、「アニメですが、実写を撮っているように、2人(阿久津と那奈)で生活する姿をいくつも描けて、好きなシーンがいっぱいあるんです。冒頭の花火のシーンは阿久津さんと那奈さんの言いたいこと、感じていることが少しずつすれ違っていく。でも温かい空気が流れていて、とても好きです」と笑顔に。宮崎は印象に残った場面として“手紙を重ねる”シーンを挙げ「どんなふうになるのかな?って収録しているときはわからなかったので、ああこんなふうに重なっていくんだと。美しかったです」と言及した。
瀧はSNSにアップされた感想に触れ「日常生活の話ですし、突飛なものもなかなか出てこないので『実写でやってもいいんじゃない?』って声も見かけました。出演者を見ると、確かに実写でも……と思ったんですが、そしたら(ホウセンカ役の)僕は現場に行って、毎日体に緑色を塗らなくちゃいけなくなる。だからアニメなんです!」と声を上げ、会場の笑いを誘った。
最後に満島は「菅原文太さんが出演している作品だったり、北野武さんが監督しているような映画だったり、岩下志麻さんが啖呵を切るような作品に憧れていたんです。この作品でそういうものに参加できたような気がしてます。2度3度観ても楽しい映画だと思っているので、また劇場に足を運んでください」とアピール。戸塚は「30歳を過ぎて、いろんな選択をする場面が増えてきました。そんな中、この作品に出演して、僕は決断する阿久津に勇気をもらいました。1人ひとり感想は違うと思いますが、何か心に残るものがあればうれしいです」と願いを込める。そして小林は「この映画を観終わって清々しいというか、幸せな気持ちになるのは、何ものにも変えられない、無償の愛のようなものを感じるからだと思います。現代の日本にもそういうものが生き残っているんだと感じて、気持ちのいい仕事をしたと思ってます」としみじみと伝えた。
「ホウセンカ」は全国で公開中。「オッドタクシー」の
studio BREAK 矢野 淳 @animation_1962
小林薫とピエール瀧「ホウセンカ」を“疑った過去”回想、戸塚純貴は満島ひかりに救われる https://t.co/dTAfLH0N5K