主演の広瀬が長崎時代の悦子、吉田羊がイギリス時代の悦子を演じ、佐知子に二階堂、佐知子の幼い娘・万里に
キャスティングに関して、石川がもっともこだわったのは“当事者性”。20代後半の女性である長崎パートの悦子役には、企画全体の重心になるような求心力を持つ存在として、広瀬の名前が真っ先に挙がった。自ら手紙をつづり、広瀬から出演の快諾を得た石川は「これだけ周りに存在感と演技力を兼ね備えた役者さんがそろっていると、少し埋もれてしまったり、もしくは埋もれないように力が入ったりするものだと思うのですが、広瀬さんは本当にベテランのようなオーラを放って、中心にいらっしゃった。焦ることもなく、引くところは引いて、最終的には強い印象を残す。すごい方だと感服しました」とたたえた。
また広瀬と誰の“対決”が観たいかという観点から始まったのが佐知子役のキャスティング。悦子から見た佐知子は、そのときの自分にないものを持ち、圧倒的に自由で、希望を胸に自身の足で前へ進む女性だ。そんな佐知子には二階堂が適任だった。石川は「二階堂さんは、佐知子という存在の“違和感”を芝居の中に落とし込んでくれました。声の質から佇まいまで、この映画に必要な佐知子の異質さは、脚本だけでも美術や衣装だけでも難しかった。やはり、二階堂さんが持ち込んでくださったものが大きかったと痛感しています」と語る。また広瀬と二階堂の共演について、プロデューサーの福間美由紀は「キャスティングのときから、あの2人が並んだらどうなるのだろう、間違いなく異次元の反応が起きるだろうと、全員が期待していました。撮影中も、2人のツーショットの画の強さは圧巻でしたね」と振り返った。
「遠い山なみの光」は、9月5日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。配給はギャガが担当する。
映画「遠い山なみの光」本予告
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🕊️🍋鴻巣友季子(『誓願』『ギンガムチェックと塩漬けライム』) @yukikonosu
イシグロの小説では未だにデビュー作の『遠い山なみの光』がいちばん好きです。その映画化、期待を裏切らないものでした。この作品には記憶、現実、夢想、その境のなさ、信用できない語り手……イシグロ文学のすべてがあると言っていいでしょう。原作ではある箇所で代名詞とある語の解釈が決定的な問題 https://t.co/Q8Y5vFTrLw