山形国際ドキュメンタリー映画祭2025(YIDFF2025)が10月9日から16日にかけて開催される。このたび5月24日に行われた記者会見で、上映プログラムなど開催概要が発表された。
YIDFFは1989年から30年以上にわたって隔年で開催されている、ドキュメンタリー映画に焦点を当てた国際映画祭。会見の冒頭では、理事長の加藤到が「映像表現の自由を守ることを第一に、ここまで映画祭を続けてこられた。今の世界は不穏な空気に包まれているが、10月にはこれまで以上に重要なテーマが浮かび上がるのではないか」と語った。また事務局長の畑あゆみは「今年は戦後80年という節目の年。原点を問い直し、この不安定で多難な時代をどう切り開いていけるかヒントを得て、未来を力強く見通していける。そんな希望に満ちた未来につながる映画祭としてご参加いただきたい」と呼びかけた。
注目の特集プログラム
「日本プログラム」では、日本を独自の視点で捉えた作品を若手・ベテラン問わず紹介予定。「アメリカン・ダイレクト・シネマ特集」では、1960年代のアメリカで編み出された観察映画より、
パレスチナにまつわる作品を集めた「パレスティナ──その土地の記憶」、映画祭草創期の記録映像や映画、ホームビデオに光を当てる「やまがたと映画」といった特集も。「やまがたと映画」では、1989年に当映画祭の初回の様子を記録したドキュメンタリー「
ほかにも多彩な企画の数々
「ともにある Cinema with Us 2025」では東日本大震災の記録映画上映のほか、能登半島地震の災害記録を通して現状と未来について語り合う座談会を実施。さらに若者の批評的な視点を育むワークショップ型の映画教育プログラム「未来への映画便」や、ユネスコ創造都市ネットワークに映画分野で認定されている各都市の作品を集めた「街を見つめる人を見つめる──ユネスコ創造都市の世界」、未完成作品を公募して上映・対話を行う「ヤマガタ・ラフカット!」など、多様な試みが企画されている。
メインプログラムのコンペティション部門
世界各国から応募された長編より厳選された作品が並ぶ「インターナショナル・コンペティション」は、7月上旬にラインナップを発表。審査員によって選ばれた5つの賞が授与される。多様なアジア発の作品を集めた「アジア千波万波」は、これまで河瀬直美、アピチャッポン・ウィーラセタクン、小田香、パヤル・カパーリヤーらの初期作品が上映されたプログラムだ。8月上旬にラインナップが決まり、審査員により3つの賞が授与される。
現時点で決まっている上映作品やイベント、公式宿泊プランについては、映画祭公式サイトでチェックしてほしい。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
山形国際ドキュメンタリー映画祭2025
2025年10月9日(木)~16日(木)山形県 山形市内各所(山形市中央公民館、山形市民会館、フォーラム山形、やまがたクリエイティブシティセンターQ1ほか)
特集プログラム
日本プログラム
アメリカン・ダイレクト・シネマ特集(仮)
<上映作品(一部)>
「ヤンキー・ノー!」監督:リチャード・リーコック、アルバート・メイズルス、D・A・ペネベイカー
「予備選挙」監督:ロバート・ドルー
「法と秩序」監督:フレデリック・ワイズマン
「
「
パレスティナ──その土地の記憶
<上映作品(一部)>
「豊穣な記憶」監督:
「A Magical Substance Flows into Me(英題)」監督:ジュマーナ・マンナーア
「フィダーイー・フィルム」監督:カマール・アルジャアファリー
やまがたと映画
<上映作品(一部)>
「映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭'89」(デジタルリマスター版)監督:
ともにある Cinema with Us 2025
未来への映画便
街を見つめる人を見つめる──ユネスコ創造都市の世界
<上映作品>
「過ぎゆく日」カトマンズ(ネパール)
「ありふれた献身」ローマ(イタリア)
「内なる家」ウェリントン(ニュージーランド)
「シエスタ」ビセンテ・ロペス(アルゼンチン)
「途中下車」ウッチ(ポーランド)
「こんなにも美しい街 」ウッチ(ポーランド)
「連続」ビセンテ・ロペス(アルゼンチン)
「再会 ~山形国際ドキュメンタリー映画祭 35 年目の記録~」監督:長岡宏昭
「羊が紡ぐ記憶 蔵王温泉ジンギスカン」監督:布施果歩
「ひだまり ある愛されスーパーの話」監督:長岡宏昭
「出羽が生み出す文士たち」監督:佐藤広一
うりきち @tsundokuyama
行きたいけれど、行かれるといいけれど。 https://t.co/uHw3VlSKSK