篠田正浩が94歳で死去、「乾いた花」「心中天網島」「瀬戸内少年野球団」を監督
2025年3月27日 18:09
3 映画ナタリー編集部
「乾いた花」「心中天網島」「瀬戸内少年野球団」で知られる映画監督の篠田正浩が3月25日4時55分に肺炎のため死去。94歳だった。篠田が代表を務めた表現社が本日3月27日に発表した。
篠田の遺志により、すでに家族葬が執り行われている。後日、お別れの会の開催を予定。表現社は「これまで、篠田の映画製作を支えてくださった方々、また映画を愛してくださったみなさまに改めて心より感謝申し上げます」「誠に勝手ではございますが、供物、供花、弔電などはご遠慮させて戴きますこと、あわせてご了承くださいますようお願い申し上げます」とつづった。
篠田は1931年3月9日生まれ、岐阜県出身。早稲田大学卒業後、1953年に松竹に入社した。1960年に「恋の片道切符」で監督デビュー。2作目の「乾いた湖」で注目され、大島渚、吉田喜重とともに“松竹ヌーヴェルヴァーグ”と評された。1964年には石原慎太郎の短編小説を映画化した「乾いた花」を発表。そのニヒリスティックな内容から、会社側に難解とみなされ公開が遅れ、反社会的という理由で成人映画に指定されるなど、一大センセーションを巻き起こした。
1965年の「異聞猿飛佐助」を最後に、会社側の合理化案への不満から松竹を退社。その後「乾いた花」に出演していた女優の岩下志麻と結婚し、2人で独立プロダクション「表現社」を立ち上げた。1969年にはアート・シアター・ギルド(ATG)と連携して手がけた「心中天網島」を発表。近松門左衛門の人形浄瑠璃を映画化した代表作として知られ、キネマ旬報ベスト・テンの第1位に選ばれるなど、同年の映画賞を総なめにしている。
以降も1970年代から80年代にかけて「沈黙 SILENCE」「桜の森の満開の下」「はなれ瞽女おりん」「夜叉ヶ池」「瀬戸内少年野球団」「鑓の権三」など数々の映画を発表。1986年の「鑓の権三」ではベルリン国際映画祭の銀熊賞している。また阿久悠の自伝小説を映画化した「瀬戸内少年野球団」は、藤子不二雄A原作の「少年時代」、同じく阿久原作の「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」とともに少年3部作と呼ばれた。2003年の「スパイ・ゾルゲ」を最後に映画監督業からの引退を表明している。
篠田が生誕90年を迎えた2021年には、坂東玉三郎主演の「夜叉ヶ池」の4Kデジタルリマスター化が実現。劇場上映も行われ、篠田は玉三郎ともに舞台挨拶にも登壇していた。また2022年には「乾いた花」の4Kデジタルリマスター版が第72回ベルリン国際映画祭クラシック部門に出品されていた。
表現社 発表全文
関係各位殿
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
映画監督 篠田正浩は 2025年3月25日午前4時55分に肺炎のため94歳で永眠いたしました。
ここにみなさまからの生前のご厚誼に深謝し、謹んでご報告申し上げます。
故人の遺志に従い、すでに家族葬を執り行いました。
後日お別れの会を行いたいと思っております。
どうぞご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
これまで、篠田の映画製作を支えてくださった方々、また映画を愛してくださったみなさまに改めて心より感謝申し上げます。
尚、誠に勝手ではございますが、供物、供花、弔電などはご遠慮させて戴きますこと、あわせてご了承くださいますようお願い申し上げます。
ホテルパラゴン @mizunnya
篠田正浩
#篠田正浩 監督
#RIP
昔アテネフランセの会合で、松竹ヌーヴェルヴァーグの三羽烏が其々絶世の美人スターと結婚して相思相愛なのが信じられないといったことがありました😅三羽烏の奥様方は末永くご健勝でありますよう🙏
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