第96回アカデミー賞国際長編映画賞のシンガポール代表に選ばれた本作は、中国と北朝鮮の国境にあり、文化が混ざり合う都市・延吉(えんきつ)で偶然出会った男女3人の物語。友人の結婚式のため冬の延吉を訪れたエリート会社員のハオフォンは、ひょんなことから観光ガイドのナナ、料理人のシャオと数日間一緒に過ごすことになる。そして心から笑い、冒険した思い出が、彼らの未来を変えていく。「少年の君」のチョウ・ドンユイがナナ、「唐人街探偵」シリーズのリウ・ハオランがハオフォン、「あなたがここにいてほしい」のチュー・チューシアオがシャオを演じた。
メイキング映像の中で、監督の
本作を鑑賞した小説家の山内マリコは「さびしさは互いを引き寄せ合う。寒さが人をもっと近づける。現代中国の若者が抱く虚しさがひりひりと伝わる。それは絶望的であるのと同時に、とても甘美だ」と述べ、ミュージシャンの
「国境ナイトクルージング」は、10月18日より東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開。
映画「国境ナイトクルージング」メイキング映像
是枝裕和(映画監督)コメント
本当に大好きな作品。行き場のない3人の若者たちが、偶然の出会いによって徐々に変化してゆく──。その姿がとても印象に残る素敵な映画だ。
山内マリコ(小説家)コメント
さびしさは互いを引き寄せ合う。寒さが人をもっと近づける。現代中国の若者が抱く虚しさがひりひりと伝わる。それは絶望的であるのと同時に、とても甘美だ。
砂原良徳(ミュージシャン)コメント
近年のドラマや映画などのコンテンツは台詞や効果音、音楽などの演出を用いて
そのシーンがどの様な意味を持つかをハッキリさせる傾向にあるが、本作にはその様な過剰な演出はない。
音楽や効果音の使用も最低限にとどめられていて鑑賞者各々の解釈を尊重している点で非常に好感が持てる。
改めて時間を用いる音楽や映像などの表現において「間」の大切さを再確認することが出来た。
高野寛(ミュージシャン)コメント
極彩色のネオンと氷を噛み砕く音。
水墨画のような山並みと白い息。
アイスキューブのようなシンセサイザーの音の粒。
涙。
すべてが絡み合って、美しく儚い心の移ろいを描き出した。
小谷実由(モデル)コメント
氷を噛み砕くように全てがどうでもいいと思う気持ちの内側には、本当はひとりはイヤで、前に進みたいという気持ちが沈み込んでいる。
なんでもないような時間がそんな凍った気持ちを溶かしてくれることもある。
門間雄介(ライター、編集者)コメント
チョウ・ドンユイの儚げな表情は、心の底に燻るものを雄弁に伝える。
夢や理想に破れた者たちの、それでも失われていない何かを燃やすような、刹那の青春劇。
胸を強く打たれた。
ISO(ライター)コメント
迷路で彷徨い疲れた若者たちが、凍てついた世界で暖をとるよう優しく撫であう。
偶発的で、刹那的な出逢いが道を示すことだってあるのだから、そう簡単に人生は諦められない。
29q @29qqqqq
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