本作の舞台は西部開拓時代の米オレゴン州。アメリカンドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルーが意気投合し、“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うさまが描かれる。クッキーを
映画の重要なキャラクターを担ったのは、ライカートが多数の牛の顔写真から一番大きな目をしているという理由で選んだ、雌牛のイーヴィー。このたびYouTubeで公開された映像には、彼女が船に乗って町にやって来る様子や、深夜にミルクを盗まれるシーンなどが映し出された。三宅は「木の実のようにごく小さな、しかし大切なものを、友人のようにこちらを信用して掌にわけてくれるような映画だ」とコメントしている。
「ファースト・カウ」は12月22日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で公開。
映画「ファースト・カウ」“牛ダイジェスト”本編映像
折坂悠太 コメント
藪の中。木立が、ブーツが、男が、それらしさを纏う前の姿で佇む。夢が、ミルクが、心が。
起こす身体が重い。遠い昔の誰かと繋がれて。でも立ち上がり、私は歩いた。ドーナツの材料を買いに、少し遠いスーパーまで。
岨手由貴子 コメント
故郷の甘いお菓子を口にしたときの喜びや、隣に寄り添う人がいるという安堵感。
不運にみまわれた人々の幸福の断片が、映画の冒頭で差し出された現実に滋味深い光をあてており、
見終わって胸がいっぱいになった。
中井圭 コメント
幾ばくかの夢を抱える2人の男たちに芽生えた静かな信頼と友情の真摯さが、心地良く美しい。
その背景に醜く映り込んだ、他者を踏みにじる強欲との対比が、現代を痛烈に批評する。ケリー・ライカートに刮目せよ。
三宅唱 コメント
一人で歩いていたら気がつかないかもしれない、木の実のようにごく小さな、しかし大切なものを、友人のようにこちらを信用して掌にわけてくれるような映画だ。繊細かつ寛大なこの映画はそれだけにとどまらず、ドーナツや小銭のかわりに銃を握らされてしまう人間がいるという、この世界の容赦のなさからも目を背けない。
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中井 圭 @nakaikei
ケリー・ライカート監督作『ファースト・カウ』(12/22公開)にコメントを出しました。良い映画ですよ。 https://t.co/pe0dZfIBmg