1960年代イタリアの史実をもとにした同性愛者の物語、ジャンニ・アメリオの監督作公開

イタリア映画「Il Signore Delle Formiche」が「蟻の王」の邦題で、11月10日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開されることが決定。あわせてポスタービジュアルが解禁された。

実在した詩人で、蟻の生態研究者でもあったアルド・ブライバンティの史実をもとにした本作。1960年代、アルドは教え子のエットレと惹かれ合いともに暮らし始めるが、同性愛者への差別がはびこるイタリアで、2人は引き離されてしまう。同性愛の“治療”のため矯正施設に送られたエットレと、若者をそそのかした教唆の罪で逮捕されたブライバンティ。劇中では、その後の裁判を通し、不寛容な社会や人間の尊厳について描かれる。

アルドを「輝ける青春」や「いつだってやめられる」シリーズのルイジ・ロ・カーショ、エットレを新人のレオナルド・マルテーゼが演じ、彼らを熱心に取材する新聞記者のエンニオ役で「我らの生活」のエリオ・ジェルマーノも出演した。本作は第79回ヴェネツィア国際映画祭でコンペティション部門に出品され、独立賞5部門を受賞している。

監督を務めたジャンニ・アメリオは、本作を製作した動機について「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」と語った。このたび公開されたポスタービジュアルには、アルドとエットレの表情が切り取られ、「愛と誇りだけは、誰にも奪えない。」というコピーが添えられている。