香港民主化デモを題材としたドキュメンタリー「
「理大囲城」は2019年の香港民主化デモの中で起きた“香港理工大学包囲事件”において、警察に封鎖された大学構内を内側から記録したドキュメンタリー。デモ参加者としてカメラを回し続けた匿名の監督たちが「
本日のイベントには、監督陣の中から代表者がオンラインで登壇。安全上身元を明かすことができないため声だけでの参加となった。司会進行と通訳は映画監督の
事件が起きる前から、仲間とともにデモの動きを追っていたという監督。事件に居合わせたのは偶然だったそうで「理工大でも何か撮影しようと思っていたところ、まさか警察に封鎖されるとは想像もしていませんでした」と振り返る。完全に封鎖された大学には、救援物資を運ぶことも許されず、籠城を強いられたデモ参加者と学生たちは日を追うごとに憔悴。構内での状況に関して、監督は2つの方面から問題があったと説明する。「1つは物理的な問題。カメラのバッテリーが消耗し、映画の後半はスマートフォンで撮った映像が多く使われています」と明かし、「精神的な問題が一番大きかった。映画では最初の2日間がメインになっています。ショックが大きくて感情をコントロールできず、それ以降は撮る気力を失いました」と続けた。
その後、およそ1週間を経て大学の外へ。監督は「現実に戻ると、大学で起きていたことが非日常のように感じました。だからリアルを取り戻すため、撮影素材を見て感覚を取り戻したんです」と回想する。そして現場で起きたことを多くの人に見せる必要があると考え、編集に取り掛かった。
事件を体験していない者、知らない者たちに向けて作られた本作。監督は「今の香港は当時より監視や検閲が厳しくなっています。それでも我々はやることがたくさんある。昔のような香港には戻れないかもしれませんが、現実を受け入れ、力を合わせれば、新しい局面を開けると信じています」と力強く語る。海外からの反響にも感謝し、「香港の状態はますます厳しくなり、明るいとは言えないかもしれません。でもそれは創作のエネルギーにもなる。悲観的ではなく、ある意味では楽観的な面もあります。そのためには皆さんの励ましが必要です」と呼びかけた。
「理大囲城」はポレポレ東中野ほかで上映中。レックス・レンとラム・サムが監督を務めた香港映画「少年たちの時代革命」も上映されている。
ポレポレ東中野 @Pole2_theater
【イベントレポート】バッテリーも精神も消耗…香港民主化デモの当事者、「理大囲城」匿名監督が事件回想 https://t.co/ZfyzcN2bZm