第75回カンヌ国際映画祭のACID部門に正式出品された本作は、陽の当たらない場所に咲く山吹から着想を得た群像劇。岡山の採石場で働く韓国の乗馬競技の元選手チャンスと、交差点でサイレントスタンディングを始めた女子高生・山吹の運命が交錯していくさまを描く。チャンスを
本作を鑑賞した映画監督・
映画公式サイトには
「やまぶき」は11月5日より東京・ユーロスペース、11月12日より大阪のシネ・ヌーヴォ、京都・京都みなみ会館、兵庫・元町映画館ほか全国で順次公開。
※山崎樹一郎の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
高橋源一郎(小説家)コメント
「大きい」ものが、ぼくたちを滅ぼしにやって来る。だから、「やまぶき」は、滅ぼされようとするあらゆる「小さな」もののために、彼女の回りにある「小さな」ものたちのために、「顔」をこちらに向けるのである。そのときには、もうプラカードも不要だ。なぜなら、「顔」は、「汝、人を殺すなかれ」と書かれたことばだからである。
濱口竜介(映画監督)コメント
タイトルを役名とする祷キララの立ち姿、その花のような可憐かつ無骨な存在感がひときわ胸に迫った。どうにも解きほぐせない現実を前にして、できることは極めて少ない。行動や言葉の実効性には大きな疑問符がつく。その極めてわずかな、現実を変えるには明らかに不足な何かを、人はそれでも尚すべきだろうか。答えはない。が、「やまぶき」は問いそのものを生きる。しんどい映画だ。それを見た者は当然、解決しがたい問いを植え付けられる。でも、その問いだけが安易な答えから人を守るだろう。今だからこそ、この映画が存在することの意義は限りなく大きい。問いを抱え続ける山崎樹一郎の歩みは力強く、本人にそんな気はなくても同じ時代に生きる者を勇気づけている。
美波(女優 / アーティスト)コメント
一人一人の命のカケラたち。
両手でかき集めても、指の間からこぼれ落ちてしまう。
決して甘くない人生なのだけど、なんでだろう、彼らの涙は優しくってとても温かい。
瀬々敬久(映画監督)コメント
映画後半に至らんとするあるシーン、「変わりたい」「変えたい」というようなやり取りを見ていたら思わず顔がクシャクシャになってしまっていた。その後の展開は、感動とか胸に迫ったとかでは片づけられない。こんな体験は初めてだった。岡山県の真庭から日本へ、世界へ、またも放り投げられた石ツブテ。山崎樹一郎の映画を見続けて来て本当に良かった。
小田香(映画作家)コメント
「やまぶき」は人間の尊厳について、声にならない声で抗い、生き続けることについて、教えてくれる。「なんか叫びたいことないの?」という問いは静かに投げられるが、波紋は大きく広がっていく。山崎樹一郎さんは映画という営みを信じている。闇の中で映画という営みを観る人間を信じている。
小森はるか(映像作家)コメント
どれだけ悲惨でも、奇跡でも、別に劇的じゃない。こんな目に遭ったのに、誰も見ていなくて、惨めさに泣けたり笑えたりする。この映画は、人々に覆いかぶさる理不尽さや矛盾に、地方に見る日本という国を透かしながらも、それさえも素朴なままに描こうとしていると思えるのです。
山崎樹一郎の映画作品
リンク
元町映画館 @moto_ei
『やまぶき』
当館では11/12(土)公開!🏇
初日11/12(土)上映後は
山﨑樹一郎監督の舞台挨拶を予定しております(り)
https://t.co/OwUCLTlV0m https://t.co/ALk1VD57kx