万田邦敏、諏訪敦彦、黒沢清、塩田明彦が称賛、鈴木冴の監督作「神様のいるところ」公開

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鈴木冴の監督作「神様のいるところ」が、東京の池袋シネマ・ロサが企画する新人監督特集 vol. 8の1本として、5月7日より2週間限定上映される。

「神様のいるところ」ポスタービジュアル

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2019年に第24回釜山国際映画祭のニューカレント部門に正式招待され、その後もJAPAN CUTS 2020のNext Generation部門など国際映画祭に出品された本作。傷を負った少女と孤独な女性の逃避行がつづられる。

「神様のいるところ」

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台湾人の母と暮らし、言葉の壁にぶつかりDVを受けている14歳の玲と、会社の上司からセクハラを受けている27歳の葵。ある夜、耐えかねた玲が家を飛び出したところ、葵に保護される。2人はある事件をきっかけに共犯者として逃亡することになり、たどり着いた旅館“山城屋”で不思議な共同生活を始める。

「神様のいるところ」

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監督の鈴木は台湾生まれ、東京育ち。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻の修了制作として本作を手がけた。玲役の荒川ひなたは撮影当時14歳で映画初主演を務め、劇中では中国語のセリフにも挑戦。葵を瀬戸かほ、玲と葵の仲をかき乱す不思議な男性・拓海を岡本智礼が演じた。

「神様のいるところ」

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このたびキャストコメントともに、本作を鑑賞した映画監督の万田邦敏諏訪敦彦黒沢清塩田明彦から応援コメントが到着。万田は「ついに誰にも心を開かない(開けない)少女が、占いに(神様のいるところに)救いを求めて走る姿が現実なら、それは悲しすぎるかも知れない」、諏訪は「喜劇と悲劇、絶望と希望を同時に語るように紡がれる出口のない逃避行が、あらゆる映画をくぐり抜けてわたしたちを世界の果てまで運んでゆく」と感想をつづった。YouTubeでは本作の予告編が公開中だ。

キャストコメント

荒川ひなた

佐藤玲役を演じさせていただきました、荒川ひなたです。
今回、「神様のいるところ」が劇場公開されると聞いてとても嬉しく思います!
主演を務めさせていただくのは今回が初めてで、すごく緊張しましたが、監督の冴さんや、葵役の瀬戸さんを始め、スタッフ・共演者の皆様に助けていただいたおかげで玲を演じられたと思います。
中国語で演技をするシーンでは、発音やイントネーションなどに苦戦したところも多々ありましたが、一番頑張った部分でもあるので注目していただけたら嬉しいです。
また、約3年前の自分の演技を見ると、恥ずかしく、今の自分であればどう演じただろうと思う部分もたくさんありますが、あの時の私だから出来た玲だと思うので劇場で最後まで楽しんで見ていただきたいです。

瀬戸かほ

映画「神様のいるところ」が劇場で公開となり、大変嬉しく思っています。
4年前のあの日々はとても刺激的でした。私の中でいまだに色濃く残っていて、たまに玲や葵のこと、ふたりで過ごした場所などを考えて胸がキュッとしたりしています。
葵は物語の人たちと対話し、時に衝突していく中で形になっていきました。この作品も同じように多くの人が関わって完成に至った大切な作品です。
どうか劇場で、ふたりの逃避行を見届けていただけますと幸いです。

岡本智礼

この映画の撮影現場は緊張感がとてもありました。スタッフ一人ひとりが意見を持ってぶつけあっていて、パリッとした良い空気の中、僕も負けないようにと精一杯お芝居に臨ませていただいた覚えがあります。
荒川ひなたさん、瀬戸かほさん、二人の女性の儚い美しさと映像の鮮明さ、そしてまだ20代だった僕の拙い中国語に注目していただければと思います。
新型コロナウィルスの影響で中々劇場に足を運びづらいかと思いますが、一人でも多くの方にこの映画を見ていただければ幸いです。よろしくお願い致します。

応援コメント

万田邦敏(映画監督)

大人はいつだってわかってくれないのだが、この映画の主人公はわかってもらおうともしていない。しかし、それが大人に対する正しい態度なのだと、本人が決め込んでいるわけではない。意識的な反抗でも、ふて腐れでも、苛立ちでもないのだ。たんに、大人の前で(いや、誰の前でも)、笑みを見せることができないだけなのだ。ついに誰にも心を開かない(開けない)少女が、占いに(神様のいるところに)救いを求めて走る姿が現実なら、それは悲しすぎるかも知れない。

諏訪敦彦(映画監督)

地獄は過ぎ去っていない、天国はまだ訪れない。その引き裂かれた世界の隙間に、見知らぬふたりが初めて「生活」を創りはじめる。喜劇と悲劇、絶望と希望を同時に語るように紡がれる出口のない逃避行が、あらゆる映画をくぐり抜けてわたしたちを世界の果てまで運んでゆく。危ういが故に美しい「神様のいるところ」へ。

黒沢清(映画監督)

抑圧と犯罪が結びつけた二人の女性。その逃避行は、現実とファンタジーのあいだを揺れ動きながらいったいどこに帰結するのか?
ハラハラしながら見守った。突如現れる壮麗な寺院が何かを指し示しているのかもしれない。

塩田明彦(映画監督)

作劇にジャンル映画的な想像力を持ち込みながら、映画はいつしかその枠組みからはみ出し、どことも知れぬ時空へ私たちを誘い出す。
そうなのだ、このはみ出し方こそが勝負なのだ。鈴木冴監督はそこに勝負を賭け、一か八かの戦いを勝ち抜いていく。そのスリルたるや、まさに良質の逃避行映画のサスペンスそのものではないか! こんな手があったか、と私は膝を打ち、悔しがるのである。

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(c)東京藝術大学大学院映像研究科

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磯田勉 @isopie_

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