1月20日に開業する東京・シモキタ-エキマエ-シネマ「K2」の内覧会および説明会が1月14日に行われた。
小田急電鉄・下北沢駅の南西口を出てすぐの新規エリアに、駅直結の複合施設・(tefu) lounge(テフ ラウンジ)がオープン。ラウンジスペースやシェアオフィスが入居する同ビルの2階に誕生するのが、下北沢の新たなミニシアター・K2だ。劇場は1スクリーン。席数は71で、うち2席は車椅子用に開放できる。同じフロアにはカフェが入り、K2のコンセッションとして連動する。
K2はクラウドファンディングプラットフォームを運営するMotionGalleryなど5社で構成された企画プロデュース団体・Inclineが運営。開館に向け、MotionGalleryでは初動費用を募るクラウドファンディングも行われていた。MotionGallery代表取締役で、K2の主催者である大高健志は「街に溶け込む映画館に」「街の人に愛着を持たれる映画館に」という思いを込めて、映画館の住所である“北沢2丁目”から劇場名を付けたと説明。また映画が上映されるまでのさまざまな困難を山登りに見立て、世界第2位の標高を誇るカラコルム山脈の山も由来としている。
小田急線・東北沢駅から世田谷代田駅の地下化に伴い、全長1.7kmの線路跡地を「下北線路街」として開発する一環で、小田急側から「ミニシアターを作りたい」と相談が舞い込んだことからK2のプロジェクトが始動した。しかし、ほどなくして世界全体がコロナ禍に。大高は新たな映画館を開業することをシビアに感じつつも、ミニシアターエイド基金の発起人として活動する中、文化施設を守ることの意義を改めて感じたことからプロジェクトの本格的な進展に至ったという。
映画館のビジョンには「MCU」を掲げる。これは「Micro complex(マイクロコンプレックス)」「Commons(コモンズ)」「Universal(ユニバーサル)」の頭文字を取ったもの。文化表現の源でもあるユニバーサリティを運営の軸とし、さまざまなバリアを取り払って映画館を新世代の共有地としていく。「Universal」には施設のバリアフリー設計のみならず、「バリアフリー上映」「英語字幕付き上映」といった“不”を解消する上映形態、トレンドや製作規模に左右されない番組編成といった方針も含まれる。さらにK2では映画文化を通じた“学び”の共有も目指し、そのためのアクションとして、上映作品の魅力や背景を深堀りする雑誌・MAKINGの発刊、バーチャルスクリーン「Reel」でのオンライン配信、月額支援型のクラウドファンディング・BASICを使ったファンコミュニティの創設なども予定。劇場のマナー動画には地域の店の人々に週替わりで出演してもらい、K2を起点とした街全体への興味喚起を狙う。
説明会では下北沢にある本屋B&Bの共同経営者・内沼晋太郎も登壇し、大高とともに街に溶け込む場所作りについて話を繰り広げた。内沼は「映画も本もオンラインで鑑賞できたり、電子書籍を買えたり、今後さらに家から出なくても体験できる世の中になっていくと思う。でも街の映画館や書店は、そこにたどり着くまでのプロセスも体験できる空間。行って帰るまでの体験は、街と無関係ではいられない。街と一緒に自分たちの価値を作っていかなければ」と語る。
“街に溶け込む”というところから、1999年に開館した下北沢のミニシアター・トリウッドとの連携に関する話も。大高は「(トリウッド館長の)大槻貴宏さんとは長年の仲なので。棲み分けというよりは、一緒にやっていくほうが面白いだろうと個人的に思っています。街にスクリーンが2つできたという感覚で、連動プログラムで送客し合ったり、一緒に下北沢の映画文化を盛り上げて、ゆるく連携していけたら」と話した。また本多劇場など演劇界隈との連動も仕掛けていきたいという、多文化を育んできた下北沢ならではの展望も明かした。
こけら落とし作品は
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しょーじ @sho0374
ここ行ってみたい。
下北沢の“街に溶け込む”ミニシアター「K2」誕生、演劇など他ジャンルとの連動も(写真17枚) https://t.co/HPsQiGYm50