神奈川・大和を舞台にしたアンソロジー映画「
第22回東京フィルメックスにて新設された、日本映画の最新作を紹介するメイド・イン・ジャパン部門に出品された本作。映画はポストコロナの大和を舞台にした短編5本で構成されている。企画は市が開催に関わる映画祭YAMATO FILM FESTIVALやこども映画教室がコロナ禍で中止になったことを受け始動。大和出身・在住で同市を舞台に「大和(カリフォルニア)」「TOURISM」などを撮影してきた宮崎が発起人となり、「こども映画教室2019」で講師を務めた「小さな声で囁いて」の山本、「みちていく」の竹内、「わたしたちの家」の清原、そして大和近辺に住んでいるという冨永が集った。
冨永が「『MADE IN YAMATO』というタイトルにしかできないオムニバス」と語るように、5本にテーマや内容で明確なつながりはない。撮影は2021年3月、4月頃に単発的に行われ、映画は9月に完成した。宮崎は「ただ全編が大和市で撮影されている。地元民からすると、ある種、特徴のない日本のどこにでもある街。そこをどう映画的に撮るかが今までの僕のテーマでした」とコメント。冨永も「5人で映画を撮ってみようとなったとき、あまり約束をしなかった。結果的につながってから、自分たちが何を作ったのかを話し合っていかなきゃいけないものになりました」と続ける。
山本は「オーファンズ・ブルース」で知られる
山本同様、清原は事前に脚本を用意せず、若くして妊娠した女性と謎のバイカー集団のひと時を描いた「三月の光」を監督した。清原は「大和という場所に体で反応して作っていける映画にできたらと思って選択しました。自由に撮れる機会ってなかなかない。その限界に挑戦したい気持ちはありました」と振り返る。最初に宮崎から街を案内され印象に残ったのは、新幹線が猛スピードで大和を通り過ぎる光景だったそう。「日本中のどこにでもあるけど、降り立って新幹線を見る経験は意外となかった。新幹線に乗っていると街の風景は一瞬で過ぎ去ってしまう。ものすごい速さで流れていく機械を、ゆったりとした時間の中でじっくり見る時間があったんです」と回想する。大和は市の南部を東海道新幹線が走っており、清原は主人公が佇む夕暮れの中で一瞬で過ぎ去るモチーフとして登場させた。
竹内は
竹内の作品が大和という土地と密接に関わる物語である一方、冨永はほぼ喫茶店の店内だけで展開する大和色の薄い物語「四つ目の眼」を発表。離れて暮らす娘から継父を紹介される実の父親の困惑を描いており、
町外れの森にタイムカプセルを埋めに行く2人組を描く「エリちゃんとクミちゃんの長くて平凡な一日」を監督した宮崎。最後に「映画は旅のようなもの。その国、そのときによって流れる時間が違う。このオムニバスは5本とも普段自分たちが生活している時間とは違う、映画の時間が流れていると思っています。そういう時間の流れを楽しんでいただけたらうれしいです。1本でも引っかかるものがあれば、ぜひTwitterなどで感想をご発信いただければと思います」と話し、イベントを締めくくった。
なお上映には多数のキャストも応援に駆け付けた。舞台挨拶は人数の制限があるため「あの日、この日、その日」の村上と
Kumi Hyodo @kuminhyo
第22回東京FILMEX
「MADE IN YAMATO」
無事上映できました!
他の作品の方々にも会えて楽しかったです!京造時代のゆきのさんと再会したのも感激
https://t.co/BqGTpr4LAD