フランスで開催中の第74回カンヌ国際映画祭にて、ある視点部門のオープニング作品として「ONODA(原題)」が上映され、日本時間7月8日に公式記者会見が行われた。
太平洋戦争終結後も約30年にわたりフィリピンに潜伏していた実在の旧日本陸軍少尉・小野田寛郎を題材にした本作。1974年に日本に帰還したことで知られる彼の壮絶な日々が、史実をもとに描かれる。日本時間7月7日には同映画祭でワールドプレミア上映され、監督の
記者会見には、本作でダブル主演を務めた
撮影は2018年12月から2019年3月まで約4カ月、カンボジアのジャングルで行われた。遠藤は「11kgほど痩せて現場入りしたら、監督に『痩せすぎだ。津田さんが大変なことになる』と言われて(笑)。ピーナッツバターや食パンを毎日食べて肉を付けてから、撮影が進むにつれて少しずつ体重を落としていきました」と役作りに言及。一方の津田は「1年以上掛けて13kg落としました。俳優としての意地、作品への情熱を監督に知ってほしいという思いもあったのかな」と明かした。
また津田は「5歳ぐらいのとき、帰還された小野田さんをテレビで観て、母親に『戦争が終わったことを知らずに30年間ジャングルにいた人だよ』と言われてびっくりしたのを覚えています」と述懐。「オファーをいただき、小野田さんのことを調べてみたんです。高度経済成長期の日本に大和魂を持って帰ってきたことに感動し、誇りだけはなくさないように演じようと思いました」と語るも、「ジャングルの過酷な状況下で撮影していくうちに何kg痩せたとか、大和魂とかそういうことじゃないんだと。監督は小野田さんを忠実に描きたかったわけじゃなく、もっと人の内面にアプローチしたかったんじゃないか。そして監督は人間の内面を“ジャングルそのもの”として捉えていたんじゃないかと思いました」と熱弁した。
現地の記者からは、津田が「小野田によく似ていた」という絶賛の声も。アラリは黒沢清の「トウキョウソナタ」を観たことがあったと話し、「髪の毛を切って痩せた彼を見たときはもっと似ていると思った。小野田さんの精神状態にすごく近付けてくださった」と感謝。またフランス出身である自身がこの題材を選んだ理由を「彼(小野田)の揺るぎない信念に引き寄せられました」と述べた。
また遠藤と津田は、フランス映画と日本映画の制作現場の違いも感じたという。遠藤は「通訳の方を通してどこまでコミュニケーション取れるかと思っていましたが、映画制作を通してこれほどまで文化や言葉の壁を超えられるんだと驚きました。みんなでテントの中でランチをする時間が好きでした」と回想。津田はケータリングの豪華さや週休2日という制度に触れ、「スタッフさんが家族を連れてきて、撮影現場でパーティのようなものを開くことも。楽しいじゃないですか(笑)。日本もそういう映画の制作現場が増えたらいいなと思います」とユーモアを交えて主張した。
「ONODA」は2021年秋、全国で公開。
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「ONODA」遠藤雄弥と津田寛治がカンヌ公式上映に喜び、ジャングルでの撮影回想 https://t.co/aX9gkXHfbt