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本作は、在宅医療に携わる医者や看護師、そして患者とその家族の姿を描くヒューマンドラマ。東京の救命救急の現場で働いていたが、ある事件をきっかけに故郷・金沢の「まほろば診療所」で働き始める医師・白石咲和子を吉永が演じ、診療所のメンバーに松坂、広瀬、西田が扮した。また患者やその家族の役で南野、柳葉、泉谷が出演。バーのマスター役でみなみ、咲和子の父親役で田中がキャスティングされた。
無観客で行う舞台挨拶の模様を、一部劇場にて生中継したこの日のイベント。吉永は「昨日映画は封切られました! とてもうれしいことなんですけれども、残念なことがありました。緊急事態宣言が延長になって、休業要請が出てしまったんです。演劇は大丈夫だけれど、映画はダメと伺って大変ショックを受けましたし、悲しかった……くじけそうになりました」と述べ、「でも今日このように全国の皆さまの前でご挨拶ができる。気持ちを取り直しております。今日は本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。
新型コロナウイルスの影響を世界中が受ける中、医療をテーマにして作られた「いのちの停車場」。吉永は「1日1日を精一杯“生き切る”ということが明日につながる。それが最後の日までできれば幸せだったと思えると思うんです。でも、なかなかそういうふうにはできない。大変な時代ですけれど、生きましょうと言いたいです」と思いを伝える。松坂が「体を治すだけがすべてではない。当人や家族それぞれに幸せな過ごし方があって、その積み重ねが命の仕舞い方につながっていくと思います」と言うと、西田は「早いですよ! そういう発言は70超えてからじゃないと。俺たちが言うことがなくなっちゃう」と声を上げ、笑いを誘う。続けて西田は「世界には同胞から鉄砲で撃たれて亡くなる人もいるし、原爆、震災で亡くなった人もいる。それに比べれば自然死は幸せなこと」と話し、「幸せな死に方を模索していますが、やっぱり生き切ることだと思うんですね。自分に与えられたことを一生懸命やる。常々、どう人生を畳むのか考えています。そんな人生、幸せだと思っていますね」とほほえんだ。
広瀬は「今回の作品は病院での治療ではなく、お宅に訪問し寄り添う形。最後に味方がいてくれるという環境があるというのはいいなと思います」と述懐し、南野との共演シーンを「南野さんの顔を見ていると、看護師として耐えなくちゃいけない瞬間でも、苦しさがあふれ出ました。役として、すごく苦しかったです」と振り返る。一方の南野は「亡くなるときに、家族でも、会社の人でも、病院の先生でも……人とぎゅっと強い関係性を持てたら人生成功じゃないかなって。この映画を撮りながら思いました」と語った。
本読みの際に、成島から「3シーンで一生を表現してくれ」と言われたという柳葉は「演じたのは宮嶋一義という人間なんですが、1シーン目は羽織った宮嶋、2シーン目は脱いだ宮嶋、3シーン目はすべて脱ぎ去った宮嶋。そこに向かって、現場で過ごしました」と回想。そんな柳葉との共演シーンに関して松坂は「手を握るシーンがあるんですが、柳葉さんの手の握り方がしゃべっている間に波のように変わってきて……感情が揺さぶられました」と述懐した。また泉谷は「作品で死を扱うのは難しいんだけど、よくよく考えてみりゃ、生きるも死ぬも日常なわけで。そういうことは普通に乗り越えていかなきゃいけない。だから日常感を出すことを心掛けましたね」とコメントする。
最後に吉永は「医療関係の皆さまに温かいサポートをいただき、感想もお寄せいただきました。大変な時期に映画を観て、力を与えてくださったことに感謝しています。また映画を観てくださった方に心よりお礼を申し上げます」と述べてイベントの幕を引いた。
「いのちの停車場」は全国で公開中。
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