「いのちの停車場」最後の希望とその先を見つめて|吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、西田敏行が豪華共演──感動のヒューマン医療ドラマを各界の著名人が観た|福士蒼汰、大原櫻子、犬童一心、鈴ノ木ユウ、安藤なつ、TikTokerしんのすけの感想コメント掲載

吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、西田敏行ら日本映画界を代表する豪華俳優陣が集まった映画「いのちの停車場」が、5月21日に全国で公開される。本作は在宅医療に従事することになった医師・白石咲和子と、医師になることをあきらめかけていた野呂、過去にあった出来事から一歩踏み出せずにいる看護師・麻世が、7組の家族に向き合いながら“患者たちの最後の希望”と“その先”を見つめる感動のヒューマン医療ドラマだ。

映画ナタリーでは、福士蒼汰、大原櫻子、犬童一心、鈴ノ木ユウ、安藤なつ(メイプル超合金)、しんのすけに「いのちの停車場」を鑑賞してもらい、“いのちのしまい方”という誰もが直面するテーマを描いた本作についてつづってもらった。

文 / 平野彰

世代を超えた
豪華キャストが結集

主人公・咲和子を支え、自身も成長していく診療所スタッフ役で松坂桃李と広瀬すずが出演。咲和子を温かく見守る「まほろば診療所」院長を西田敏行が演じた。咲和子が向き合う患者とその家族を演じたのは、小池栄子、松金よね子、泉谷しげる、伊勢谷友介、石田ゆり子、柳葉敏郎、佐々木みゆ、南野陽子ら。咲和子の父親役で田中泯もキャストに名を連ねている。

「いのちの停車場」
「いのちの停車場」
「いのちの停車場」
左から松坂桃李、成島出、吉永小百合。

現役医師が書いた小説を
気鋭のスタッフが映像化

原作は現役内科医の南杏子による同名小説。第35回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した「八日目の蟬」や、吉永が主演を務めた「ふしぎな岬の物語」、福士蒼汰主演の「ちょっと今から仕事やめてくる」などで知られる成島出が監督を務めた。脚本を手がけたのは、戸田恵梨香と大原櫻子が主演した「あの日のオルガン」などで監督としても活躍している平松恵美子。

「いのちの停車場」

俳優、歌手、映画監督、マンガ家、芸人、TikTokerが見つめた愛といのちの物語

福士蒼汰

福士蒼汰(俳優)

人の最期のあり方を描いた傑作。命は誰のものなのか、“いのちのしまい方”を決めるのは誰なのか。そんな問いの答えを、余白を通じて感じさせてくれました。
患者とその家族が抱える想いを医師が繋いでいく。その物語を、真っ赤な和傘のバー「STATION」が受け止めてくれる。この憩い場はみんなの出発点にもなっているような印象を受け、特に心に残りました。
登場人物も人間らしくてピュア。複雑であり単純でもある人の心を、見事に体現されています。今こそ多くの人に見てほしい作品です。

プロフィール
1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年から2012年に放送された特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」で主演を務め、注目を集める。映画「イン・ザ・ヒーロー」「神さまの言うとおり」「好きっていいなよ。」の演技で第38回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。そのほかの出演作に映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「ちょっと今から仕事やめてくる」「曇天に笑う」「BLEACH」「旅猫リポート」などがある。2021年放送のドラマ「神様のカルテ」では、主人公の内科医・栗原一止を演じた。2022年には劇団☆新感線「神州無頼街」への出演が決定している。
大原櫻子

大原櫻子(歌手、女優)

人の命とは、一体、誰のものなのか…自分の命は自分のものではないのだろうか…、映画を観終えてからも、しばらくその問いの答えを探していました。
吉永小百合さん演じる白石先生の発するたくさんの言葉。深く心に刺さったり、勇気や希望をもらえます。
なぜ生きているのか? なぜ人は死ぬのか? 普段ゆっくり考えることはなかなかないかもしれません。
この映画を観ると大切な人との過ごし方、自分自身のこれからの生き方など、改めて考えさせられます。
人生の中で一度は考えなければならないテーマだと思いました。

プロフィール
1996年、東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」でスクリーンデビューとCDデビューを果たす。2014年には、女優として日本映画批評家大賞の新人賞、歌手として第56回輝く!日本レコード大賞の新人賞を受賞。以降、歌手活動と並行してドラマや舞台に出演する。2019年、戸田恵梨香とダブル主演を務めた映画「あの日のオルガン」が公開。そのほかの出演作にドラマ「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」、連続テレビ小説「なつぞら」などがある。林遣都、中川大志らと共演した映画「犬部!」が2021年7月22日に公開。
犬童一心

犬童一心(映画監督)

吉永小百合が果たそうとしていることは何だろうか、と思う。
スクリーンに吉永小百合が映し出されると、脚本、監督を誰が手がけようとも、そこに一つの通ずるものが感じられるのだ。それは、「日本人とは何か?」という問いかけのようなものだ。
戦後の、どうしようもない現実から立ち上がってくる中で、日本人は何を得て、何を失い、何を間違い、そしてどうあるべきか、そんなことが彼女の背中や、瞳の輝きに常に宿っている気がするのだ。
今回の作品でもそうだ。消えていく命とそれを受け止めようとする「まほろば診療所」の日々、その時間には命への尊厳が満ちている。吉永小百合はその時間をスクリーンの中で懸命に生きてみせる。声高に叫ばずとも、そこにいる彼女のシルエットが訴えかけてくる。今、日本人は、かつてあった日々の輝きへの感受性を失い、命をないがしろにして生きてはいないかと。「まほろば診療所」にあるこの時間を少しでも受け取って欲しいと。
戦後の日本人と伴走する女優、吉永小百合。それは宿命なのか。もしかしたら、自ら選び取ったものかもしれないが。
生きようと思っても生き切ることを阻まれた戦争の時代の影を知る、それをずっと意識して日本人を演じてきた吉永小百合だからこその作品だと思う。

プロフィール
1960年生まれ。テレビCMの企画・演出を手がけ、その後映画監督へ。代表作「ジョゼと虎と魚たち」「のぼうの城」など。2019年には吉永小百合主演「最高の人生の見つけ方」を監督した。2021年、田中泯のダンスドキュメンタリー「名付けようのない踊り」が完成。
鈴ノ木ユウ

鈴ノ木ユウ(マンガ家、ミュージシャン)

「全てのいのちには始まりがあって、そして終わりがあります。」

そんな事は誰でも知っていることですが、怖いから、、まだ先の話だからと目を逸らして日々を過ごしてしまいます。

でも愛する人や家族、自分自身のいのちにもいつか必ず終わりはやって来る。

その時を、その命をどう迎えたいのか、どう見送ってほしいのか。観終わった後、愛している人や家族と昨日よりも少しだけ真剣に、いのちの話が出来る映画だと思います。

いのちの停車場が近づいた時、僕はまほろば診療所で働く様な人達に出会えているだろうか。。出会えていたら嬉しいなぁ。

プロフィール
1973年9月4日生まれ、山梨県出身。2007年、「東京フォークマン/都会の月」で第52回ちばてつや賞に準入選し、2010年には「えびチャーハン」で第57回ちばてつや賞に入選する。2011年、「おれ達のメロディ」を週刊モーニングに短期集中連載。同誌に2013年から2020年にかけて連載した、産科医療を題材とする「コウノドリ」は第40回講談社漫画賞の一般部門を受賞。綾野剛主演でテレビドラマ化された。
安藤なつ

安藤なつ(メイプル超合金)

誰もが必ず経験する人生の最後。
死に直面した当事者、家族、友人、医師達が目の当たりにした生々しい逃れられない現実。綺麗事ではない。
これでよかったのだろうか? あの時こうしていれば? 救いたい、救われたい、頑張りたい、頑張れない、楽になりたい、正解は? 命の重さ? 尊厳?
人生の最後は誰にも扱えるものではない、自然のなり行きに従うまでもがき苦しみ、納得し、傷を背負い、朝を迎え景色の綺麗さに全てが込められた物語。
演者さんも構えてしまうくらい豪華でしたが、とても自然でリアルで目線もまるで自分がその場に居るかのような感覚なので、心に直球でずしりときます。目を背けず、受け止め、あなたの正解はどれなのか、ヒントを見つけられるかもしれません。

プロフィール
1981年1月31日生まれ、東京都出身。2012年、カズレーザーとお笑いコンビ・メイプル超合金を結成し、「M-1グランプリ2015」で決勝に進出する。2014年放送のドラマ「ナンシー関のいた17年」では、ナンシー関役で主演。ドラマ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」や、映画「ラフ」「黒い乙女Q」「黒い乙女A」にも出演した。現在ニッポン放送「ザ・ラジオショー」とCBCテレビ「メイプル超音楽」にレギュラー出演中。20年を超える介護職歴を持つ。
しんのすけ

しんのすけ(映画感想TikTokクリエイター)

よくTikTokで僕に対してくる質問で、「自分は何がやりたいのか、どういうことをすればいいかわからない」という若い層からコメントを貰います。
そういう人たちにとってもこの映画はすごくヒントがある。
どの世代にもいつか来る“いのちとの向き合い方”を丁寧に描き、共感部分が沢山あり、誰にでもわかりやすい、すごく優しい人間ドラマでした。

プロフィール
1988年生まれ。京都芸術大学映画学科卒業後、「水戸黄門」の助監督として業界に入り、多数の作品に参加する。2019年より映画感想TikTokクリエイターの活動を開始。映像制作を行い、専門学校講師も務める。TikTokと東宝の、新たなクリエイターを発掘し映像・映画を共創する事で映画業界を盛り上げる事を目的とした新しい映画祭「TikTok TOHO Film Festival 2021」の審査員も担当。米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショートフィルムフェスティバル(SSFF & ASIA 2021)公式SNSナビゲーター。