耳が聞こえないろう者の女性とその家族を描いたスペイン映画「
2025年の第75回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞を受賞した本作は、陶芸工房で働き、静かで平穏な日々を過ごしていた女性アンヘラを主人公とする物語。彼女は自身に寄り添う夫エクトルと、手話を通して心を通わせていた。しかし、念願の子供に恵まれたことを境に、アンヘラの世界の何かが少しずつ揺らぎ始めることに。劇中ではやがて再び“疎外の世界”に引き戻される彼女の葛藤、ろう者と聴者のすれ違い、そして必死にもがいた先の小さな幸せが描かれる。
監督を務めた
「アンヘラと私はまったく違います」と語るガルロは、役作りに触れ「最初に、姉とエクトル役の
手話をもっと普及させるには、どうしたらよいか?という質問が飛ぶと、「世界中の学校で、その地域の手話が教えられるようになればとてもいいと思います。子供の頃から自然に手話を流暢に学び、尊重する文化が育つからです。そうすれば大人になったとき、誰もが口語でも、その国の手話でもコミュニケーションできるようになるでしょう」と回答し、「ろうであることは、どの社会でも当たり前のものとして受け入れられるべきです。誰かがろうであることを特別なことのように感じる必要はありませんし、もっと多くの情報があれば、人々はろう者をどう尊重すべきか理解できるはずです。一方で、ろう者が尊重される権利のために戦わなければならない状況であってはなりません。私たちが過小評価されたり、偏見で判断されたりしてはいけないのです。ろう者も聴者も、お互いの世界を理解するために共感することが大切です。しかし、より多くの特権を持つ側には、その差を埋める責任があるのは間違いありません」と言及した。
そしてガルロは「(この映画で)ろうであることは、尊厳と勇気を伴う人間のあり方であり、尊重され支えられるべきものだということを伝えたいです。私たちには独自の言語、文化、芸術、そしてアイデンティティがあります。そして世界中のろう者すべてがアクセスできる環境を実現するために、資源を適切に配分する政策が必要です。そうしてこそ、多様な社会をともに築くことができるのです」とコメント。最後に「ろうのファンの皆さん、とりわけろうの女性の皆さんには、この映画を楽しんでいただき、支えられていると感じてもらえたらうれしいです。聴者の皆さんには、ろう者の日常の経験について知り、考えるきっかけになればと思います。そして、両方の観客が互いにつながることができればと願っています」と伝えた。
「幸せの、忘れもの。」は東京・新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。ニューセレクトが提供、スターキャットアルバトロス・フィルムが配給する。
映画「幸せの、忘れもの。」予告編
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映画ナタリー @eiga_natalie
ミリアム・ガルロが映画「幸せの、忘れもの。」に願い込める
「ろう者と聴者の観客が互いにつながることができれば」
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