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本作は、負け続きだが誰よりもボクシングを愛する男・瓜田を主人公に、リングで挑戦を続ける若者たちを描く青春映画。松山ケンイチが瓜田を演じ、抜群のセンスを持つジムの後輩・小川に東出、瓜田の初恋の人で小川の婚約者・千佳に木村文乃が扮した。
出演を決めたきっかけを聞かれ、東出は「監督のお名前と、松山ケンイチさんとご一緒できるということで、ぜひと思いました」と回答。高身長の俳優を探し東出にオファーした吉田は「東出さんの対戦相手役に、こんなにでかい人がいなくて、すげー大変だった! 190cmのボクサーなんて日本にほとんどいないから」と思わぬ苦労を振り返った。
「聖の青春」で共演経験がある松山について、東出は「僕からしたら偉大な先輩だし、この人が座長をやる現場にはぜひ付いて行きたい。優秀な大工の棟梁に付いて行く下っ端みたいな気持ちなんです」と明かす。一方吉田は、撮影初日に松山からアイデアを求められたそうで「つかみづらい、俺が試されているような気がした」と話した。
約30年のボクシング経験をもとに、本作の脚本を書き上げた吉田。自身の内面について話が及ぶと「俺は女好きだけど、女の子になりたい。魔法少女になりたい」と明かし、その気持ちを“自分の中のプリキュア性”と呼んで笑いを誘う。それを受け東出は、現場での吉田に関して「ブースの横にポケモンのぬいぐるみを置いていて、カットをかけたらぬいぐるみを撫でながら『今のいいっしょ』と言っているんです」と証言。現場では常にぬいぐるみを用意しているという吉田は、その理由を「ぬいぐるみ持ってると怒鳴りづらくない? 早くしろよ!とか言いそうなときも『俺ぬいぐるみ持ってるから、冷静な言い方にしなきゃ』という思考が働くでしょ。あとは、若手の生意気な役者をびびらせてやろうと思って(笑)。ぬいぐるみ持ってる時点でやばそうだなと思わせる」と説明する。さらに外国人俳優が現場に来ると「日本の監督はだいたいぬいぐるみを持ってる。ぬいぐるみの種類でキャリアがわかる」とガセ情報を吹き込んでいると話し、爆笑を起こした。
東出は試写で完成版を鑑賞した際、興奮のあまり吉田に電話をかけたそうだが、「電話で『BLUE最高でした!』って言ったら、『おう、元気してんの? というかBLUEって何?』って返されて……僕、吉田大八監督にかけてた(笑)」と衝撃のエピソードを披露。本作でパンチドランカー役に挑んだ東出は、吉田に「パンチドランカーの役作りがまだ(抜けてない)……!?」と笑われながらも、「あとでちゃんと電話番号教えてください(笑)」と詫びていた。
終盤には吉田が、女性観客に向けて「木村文乃さんが初号試写を観たときに『男の世界のバカさみたいなものが少しわかった感じ』とおっしゃっていた。もしかしたら、男がバカである理由がここにあるのかも。女の人にも、男のバカさに寛容になってもらえるんじゃないか」と語りかける。また東出は「下手したら、感動すらお届けできないかもしれません。それはマイナスなことではなく、いい映画をご覧になったあとって、そのテーマを一言では言い表せなかったりしますよね。だからこそ監督は、これを2時間の尺をかけて映画にしたんだと思う。今と5年後、10年後には違う見え方をするくらい、味わい深い作品になっていると確信しています」と作品への思い入れを語った。
「BLUE/ブルー」は、4月9日より東京・新宿バルト9ほかで全国ロードショー。
※吉田恵輔の「吉」は「つちよし」が正式表記
代官山 蔦屋書店 映像 @DT_movie
「BLUE/ブルー」東出昌大と吉田恵輔が語る「男がバカな理由がここにある」 https://t.co/Qam8ngCr7k