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高校時代に圧倒的な存在感を放っていた同級生・佐々木に思いを馳せる俳優志望の青年・石井悠二を主人公にした本作。仕事も私生活も行き詰まる悠二役の藤原は「今日は映画館に来ていただきありがとうございます」と挨拶するも「全部忘れちゃったな……」と緊張で頭が真っ白に。仕切り直して「時を同じくして札幌の映画館では僕のお母さんがこの映画を観てくれていて……やっぱり身近な人に伝えていくしかないんだなって思ってます。もしこの映画を気に入ってくだされば、身近な人にこの映画を伝えてくださるとうれしいです」と呼びかける。
映画は20代後半の監督、キャストが中心になって制作された。脚本と佐々木役を兼任した細川は「自分はいろんなことに負けてきたなと思うんですけど、それでも俳優にしがみつくしかなくて。そんな僕たちが作った映画です」と作品に込めたを思いを吐露。主演を務めた感想を問われた藤原は「僕が中心にいる意識はあまりなく、タイトル通り佐々木が中心で、周りの人間が佐々木をどう見つめているかという話。僕が意識したのは、佐々木を演じた細川岳を信じること。僕にとって細川岳は信じられる男だったので、それはたやすかったです」と撮影を振り返った。
佐々木の人物像は、細川が実際に憧れていた友人がモデル。佐々木が悠二に放つセリフには、その友人が細川に語った言葉から引用しているものもある。細川は「劇中でも印象的に出てきます」と明言は避けつつ、佐々木を演じた感想を「本当に思っていることを言葉にしたときに、本当に思っていた以外の部分も言葉に含まれてしまう。言葉の大切さみたいなものを学びました」と語った。役作りに関しては「そのままそっくりモノマネするのは面白くない。もちろん意識しましたけど、なぞることはほとんどしてないです。監督が面白がってくれた特徴的なしぐさなどで取り入れた部分はありました」と続けた。
別れてからも悠二と同棲生活を続けるユキを演じた萩原は「私の知らない悠二がいっぱいいました」と映画の感想を語る。「自分の付き合ってた人のことを知ってるようで、本当は全然知らない。でも悠二と対峙すると、大事で大事でしょうがないという感覚もあるんです。あまり強気なこと言うのは柄じゃないんですけど、季節くんが悠二だったら、ユキは私しかいないと今でも思ってます」と、作品への手応えを明かす。また、当初は実年齢より歳上という役柄に壁を感じていたそうで「でも大人になっても心って意外とあまり変わらないことにふと気付いて。これでいいんだっけ?と思いながらどんどん大人になっていく感覚。変に背伸びをしないことを心に決めてユキを演じました」と言葉をつむぐ。
内山の采配で、同級生の間柄を演じた藤原、細川、遊屋、森たちは、撮影の半年ほど前から親交を深める機会が何度か設けられた。多田役の遊屋は「監督の家でDVDを観たり、みんなでバッティングセンターに行ったり。監督が撮影前に僕たちの関係性を作ってくれて、季節や岳がそれを引っ張ってくれる。最初は不安もあったんですけど、本当の同級生と思いながら安心して撮影に臨めました」と回想する。キャスティングでは一番最初にオファーがあったという木村役の森は「こんなに広がるんだと思うほど、本当に映画が大きくなってる。岳くんに売れてほしい」と伝えた。
本作で商業映画デビューを果たし、将来性のある新人監督を選出する新藤兼人賞の銀賞に輝いた内山。最後に「僕はこの作品でバカみたいに世の中を打ち破りたいと思っています。後ろめたいものやコンプレックスがたくさんある人生なんですけど、キャストみんなのおかげで自分の人生が好きになりました。この映画を観た皆さんも自分の人生を好きになって、シネクイントの景色が入ったときと違うものになってくれたらいいなと思ってます」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
「佐々木、イン、マイマイン」は、東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。
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藤原季節「佐々木、イン、マイマイン」は“中心”じゃない主演作、萩原みのりも登壇(写真13枚)
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