劇場アニメ「
すみっコぐらしは「ここがおちつくんです」をキーワードに描かれた、隅っこを好む少しネガティブな性格のキャラクターたち。これまでにグッズや絵本、ゲームなどでメディア展開されてきた。初の劇場アニメでは、飛び出す絵本の中に吸い込まれてしまったすみっコたちが、自分が何者かもわからないひとりぼっちのひよこと一緒に大冒険を繰り広げる。監督は「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」で知られるまんきゅう。11月8日の封切りから3日間で動員11万4280人、興行収入1億3287万円を記録し、全国映画動員ランキングでは3位に初登場した。
この日行われたのは「ぼくらもすみっコ応援団!上映会」と題された男性限定イベント。すみっコぐらしのファン歴5年で、この日登壇した朝日新聞記者の影山遼は、お気に入りのキャラクターである、自分がペンギンであるという自信を持てない“ぺんぎん?”の大きなぬいぐるみを持参。観客もほとんどが2回目の鑑賞で、マイすみっコを持参するファンの姿もあった。
脚本の話をもらうまですみっコぐらしの存在を知らなかったという角田。最初に生みの親である横溝友里が描いた4コママンガを参考資料として渡されたそうで、そのときの印象を「これを映画にするのか。どうしたらいいんだろう、と思いました」と正直に告白する。物語は横溝、まんきゅう、そのほかスタッフが密にアイデアを出し合う制作体制で練られ、角田は横溝が最初に出した「すみっコと童話」「すみっコが迷子に出会う」などのアイデアをもとに脚本を組み立てた。新キャラを出す案も初期から存在し、「迷子」をヒントに小さいキャラクターのひよこが生まれたことを明かす。
映画では「桃太郎」「マッチ売りの少女」「アラビアンナイト」などいくつかの童話が物語のモチーフに。角田は「脚本は僕が書いてますが、お話は本当にみんなで作ったんです」と強調し、「性別は意識せず、小さいお子さんにもわかるもの、そしてとにかくすみっコファンに納得してもらえるものを考えてました」と語る。「絵本に入る」というアイデアについて影山は「ぴったりだった。すみっコたちにできる最大限の冒険」とコメント。加えて「絵本の中でも敵がいないし、悪意を持ったキャラクターがいない」とその優しい世界観を指摘すると、角田は劇中に出てくる鬼の存在に触れ「鬼って怖い存在ですけど、ことさら怖くしようとは思わなかった。そもそも敵を作ろうと思ってなかったんです。最初からすみっコぐらしが持っているものに影響されたのかもしれませんね」と続けた。
映画ではすみっコたちにセリフはなく、ナレーションで物語や状況を説明する手法が取られている。ファンの立場から、映画化の報に触れたときの不安を影山が「すみっコがしゃべりだしたら……すごい饒舌だったら困ると思っていました」と振り返る一幕も。角田は「わりと最初のほうに横溝さんが『すみっコたちの声が想像できない』とおっしゃっていて、すみっコたちにはしゃべらせない方針が決まりました。僕も監督もアニメーションチームも『しゃべったほうが作りやすい』とは思っていたんですが、横溝さんに意思を通していただき結果的に大正解でした」と回想した。
「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」は全国で公開中。11月22日にはコスプレOKでタンバリンが貸し出しされる「やさしくたのしくみんなで応援!『“すみっコたち、かわいい”って言い放題▽応援上映会』」が新宿ピカデリーで実施される。
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