アミール・ナデリ、溝口健二の霊に背中押され新作「マジック・ランタン」を制作

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第19回東京フィルメックスにて、アミール・ナデリの新作「マジック・ランタン」が東京・有楽町朝日ホールで11月20日に上映された。

アミール・ナデリ

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「マジック・ランタン」

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アメリカで撮影された本作は、古びた映画館で映写技師として働く若者ミッチを主人公とした物語。現実と幻想を行き来する映像に、映画へのオマージュが込められた1作だ。上映前に登壇したナデリは「私の映画を観たことがある皆さんは驚くと思います。自分でも自分が作ったと思えません。この映画を作っているときは、全然別の世界にいたような気持ちでした」と観客に伝えた。

アミール・ナデリ

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上映が終わり、大きな拍手の中再び登場したナデリは「映画に対して持っている愛を映像にしたいと思っていました」と吐露。そして本作を制作したきっかけを語り出す。アメリカ・ニューヨーク在住の彼は、溝口健二監督作のレストア作業に同席していた。何カ月も映像を観続けていたある日、夜道を歩いていると背後に気配を感じたという。ナデリは「振り向いたら溝口監督がいて、『この映画を作っていいよ』と言ってくれた気がしたんです」と驚きのエピソードを披露する。

さらに自身の初期作「期待」を「自伝的な作品。自分が最初に女性に恋したときの話を描きました」と振り返り、「そのあとは女性への愛を隠して、全然別の物語を作ってきました」と説明。「でも溝口監督から『もとに戻ったら?』と言われて、この映画を作ったんです」と目を輝かせながら明かした。

「マジック・ランタン」

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観客から「夢のような映画でした」と感想を告げられると、ナデリは「それは溝口監督の作品から(表現を)借りているんです。特に『雨月物語』を観て、魔法使いのような溝口監督の撮る映像をいつかやってみたいと思っていました」と打ち明ける。そして最後に「当時しか撮れなかった、二度と作れない作品です」と本作への思いをにじませた。

第19回東京フィルメックスは11月25日まで有楽町朝日ホール、東京・TOHOシネマズ 日比谷、有楽町スバル座で開催。なお「特集上映 アミール・ナデリ」として、「ハーモニカ」と「華氏451」が11月23日、「タングスィール」が11月25日に上映される。

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