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35mmで撮影「幸福城市」監督がフィルム愛を告白「映画とは未完成であるもの」

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ホー・ウィディン

ホー・ウィディン

第19回東京フィルメックスにてコンペティション出品作「幸福城市」が、本日11月20日に東京・有楽町朝日ホールで上映され、監督のホー・ウィディンがQ&Aに出席した。

近未来、2056年の台湾・台北を舞台にした刑事の物語から始まる本作。続く第2部で刑事の青年期が、第3部では少年期が描かれ、次第に彼の背景が明らかにされていく。マレーシアに生まれ、台湾をベースに活動しているホーの長編第3作にあたる本作は、トロント国際映画祭のプラットホーム部門で最優秀作品賞に輝いた。

ホーは本作を含め、これまで35mmフィルムでの撮影にこだわってきたという。彼は仏パリのラボで未使用の富士フイルム製フィルムを大量に発見したと打ち明け、「『35mmを使ってみたい』という若手作家がいたら『高いからやめたほうがいい』じゃなくて、『どこかに在庫が残ってるかもしれないよ!』と言ってあげたい」と笑った。

撮影監督にフランス人のジャン=ルイ・ヴィアラールを起用した理由については「映画におけるヨーロッパの審美眼を素敵だと思っている」と説明。また「デジタルでしゃれた映像を撮るのではなく、しっかりフィルムで撮影してくれる人を探しました」と続け、「フィルムの柔らかく、ぼやけている感じが好き。今はみんな、デジタルのシャープで粗がない映像にばかり力を入れすぎている」とフィルムへの愛を伝える。そして「そもそも映画というのは未完成で、完璧ではないものだと思っています。例えば『ピントが合ってないとおかしい』と言ってくる人もいるけど、私にとってはそれこそが映画だと思うんです」と語った。

さらに、ホウ・シャオシェンの「悲情城市」を想起させるタイトルにも話題が及んだ。「今、中国では消費者を惹き付けるため“幸福”という言葉がキャッチコピーとしてあふれているんです」と話し、それが「幸福城市」という作品名につながったことを述懐。さらに、本作の英題が「Cities of Last Things」である理由については「ポール・オースターの『最後の物たちの国で(In the Country of Last Things)』という作品の語感がよかった。『最後の物』は宗教的な意味合いもあり、天国と地獄の審判というものも示しているんです」と説明した。

またイベントでは、台湾のロックバンド・メイデイ(五月天)のメンバーであるストーンに出演をオファーした経緯をホーが明かす場面も。「悪者に見えないけど、心の底に何かありそうな人をググっていたら、たまたま彼の写真を見つけて。お金持ちで表面的にいい人そうだけど、悪者っぽい雰囲気の写真だった」というエピソードが披露された。

第19回東京フィルメックスは11月25日まで有楽町朝日ホール、東京・TOHOシネマズ 日比谷、有楽町スバル座で開催。なお「幸福城市」は、明日11月21日にもTOHOシネマズ 日比谷で上映される。

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