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ロカルノ最高賞「幻土」日本で初上映、監督が語る“夢”の国シンガポールの特殊性

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左から浦田秀穂、ヨー・シュウホァ。

左から浦田秀穂、ヨー・シュウホァ。

第19回東京フィルメックスのコンペティションに出品された「幻土(げんど)」が、11月19日に東京・有楽町朝日ホールで上映。監督のヨー・シュウホァ、撮影監督の浦田秀穂がQ&Aに出席した。

シンガポールを舞台とし、埋め立て地の建設現場で働く中国人の失踪事件を軸に、移民労働者の過酷な現実とネットカフェの夢幻的な風景を捉えた本作。シュウホァは、2015年に東京フィルメックスの映画人育成プロジェクトであるタレンツトーキョーに参加していたシンガポール人監督だ。長編2作目となる「幻土」で、第71回ロカルノ国際映画祭にて最高賞に当たる金豹賞を受賞。「窯焚-KAMATAKI-」で知られる日本人の浦田が撮影を担当している。

東京23区と同程度の面積しか持たないシンガポールは、歴史的に国土を埋め立てで拡大してきた。このような背景を持つ母国に興味を引かれたというシュウホァは「“幻土”という言葉はシンガポールを表しています。マレーシアといった近隣の国から砂を持ってきて、海を埋め立て土地を作る。植民地時代から行われてきたことで、かつてと比べ国土が25%も拡大しているのです」とコメント。そして埋め立て現場で働く人々のほとんどが移民だ。彼は「シンガポールの人口の4分の1は移民の人々。この国の全体像を描くには彼らの物語が必要だと思いました」と続ける。

シンガポールのラサール芸術大学で教鞭をとる浦田は、半年以上かけて監督とともにロケ地を探したそう。そして「撮影における監督からのリクエストは1つだけでした。『今まで見たことのないシンガポールの夜を撮ってくれ』と。事前にカット割りも決めず、すべて現場で作っていきました」と明かす。美術監督はイギリス人、プロデューサーはスペイン人と各国のスタッフがそろっており、浦田は「僕も含め、監督はシンガポールにおけるアウトサイダーを集めたんだと思います」と語った。

最後にシュウホァは「シンガポールは自分にとって“夢”のような国。埋め立てを繰り返しながら、自分自身を作り直し、国が変容していく。国の形は数年で変わってしまうのです。そこで生きる僕自身が、どこか地に足がつかない、フワフワした夢の場所で生きているかのような感覚を味わっています」と明かした。

第19回東京フィルメックスは11月25日まで有楽町朝日ホール、東京・TOHOシネマズ 日比谷、有楽町スバル座で開催。

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