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30年間ほとんど家を出ることなく庭に生きる命を描き続けた画家・熊谷守一をモデルに、94歳の彼が過ごす夏の1日を切り取った本作。山崎がモリ、樹木が彼を支える妻・秀子を演じている。
「キツツキと雨」に続いて沖田作品への出演は2度目となる山崎。沖田の印象を「準備の間は非常に慎重。こちらが正解の確信を持って『これだ』と言っても、彼はずっと迷ってる。ところが現場に入ると一転して即断即決。感覚優先でその切替が素晴らしかった」と語る。「偏屈なので中々人を認めない」と前置きする樹木も「演じていると、今のは芝居が成立してないというのはわかるんです。そういうときに沖田さんは『もう1回』と言ってくれます。人を見ようと、人間をちゃんと描こうとしている。役者として一番うれしい監督。とても期待しています」と評した。
撮影は神奈川県の葉山に位置する古民家を改装して行われた。よく縁側に座り撮影を見学したという樹木は「小さい敷地なんですが森を作っているんです。控室よりずっと気持ちがよくて、ちょっと監督に声をかけたり」と述懐。緊張した様子の吉村も「貴重な体験でした。僕みたいな未熟な者にも監督は『君ができる芝居が見たい』と言ってくださって。そしてお二人(山崎と樹木)にはけっこう怒られました」と撮影を振り返る。横にいる樹木は「緊張してるわりには、さっきも私たちの目の前で『かあー』ってあくびをしてたじゃない」とチクリ。「それを見た山崎さんは『(樹木から)また何か言われるぞって』。そういうバランスでやっております」と続けた。
同じ文学座出身でありながら、本作が初共演となった山崎と樹木。当時を振り返る樹木は「私が入った頃にはもう舞台より黒澤(明)さんの映画なんかで活躍されていて。私たち後輩にとっては憧れでした」とコメント。そして本作のオファーを受けたときのことを「熊谷守一と聞いて『もしかして山崎さん?』と直感したんです。役柄が奥さんとわかって『やらせていただきたい』と即決しました」と明かす。隣で照れた様子の山崎は「希林さんの演技を見て改めて母ちゃんの存在が大事だということを思いました。30年間1歩も家を出ない生活ができたのは奥さんのおかげなんだと」と話し、また樹木によるアドリブが含まれたシーンを「現場で見ていてグッときてしまいました」と称賛した。
「モリのいる場所」は5月19日より東京・シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー。
※山崎努の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
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椿原 敦一郎 @teamokuyama
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