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樹木希林と山崎努が初共演、沖田修一の新作「モリのいる場所」で夫婦演じる

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「モリのいる場所」

「モリのいる場所」

沖田修一が監督、山崎努が主演を務める「モリのいる場所」に、樹木希林が出演するとわかった。

本作は、30年間ほとんど家を出ることなく庭に生きる命を描き続け、“仙人”と呼ばれた画家・熊谷守一をモデルに、94歳の彼が過ごす夏の1日を描くオリジナル作品。山崎にとって「死に花」以来13年ぶりの主演作にあたる。樹木は、山崎演じるモリを支える妻・秀子役で出演する。

樹木は、1961年に文芸座へ入団した際に山崎と出会っているが、共演するのは本作が初。出会った当時の山崎を「光の中でオーラが歩いているようで、まともに顔など見られませんでした」と話す樹木は、本作の現場を「役者として山崎さんは、常につつましく謙虚で何より心が柔らかいんです。モリカズさんを嬉しそうに受け入れてて――私は普通の妻のように生活できました」と振り返る。

また樹木に関して山崎は「さり気なく庭の小さな野花を摘み、全身を弾ませて祝福するようにモリカズに投げる演技は圧巻で、見ていて胸が熱くなった。七六歳の老妻が少女になっていた」と、沖田は「監督としてはどうかと思いますが、もう何も言う事なんてなくて、ただただ、樹木希林さんとのお仕事が楽しかったのです。魔法使いのようでした。たくさん笑いました」とコメントを寄せている。

「モリのいる場所」は2017年秋に完成し、2018年に公開される予定。なお2017年12月1日より、東京・東京国立近代美術館にて熊谷の大回顧展「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」が開催される。

※山崎努の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記

山崎努 コメント

夫人役の樹木希林さんとは初めての共演だった。特別優れた才能は知っていたが、予想以上、はるかにすばらしい女性俳優だった。
さり気なく庭の小さな野花を摘み、全身を弾ませて祝福するようにモリカズに投げる演技は圧巻で、見ていて胸が熱くなった。七六歳の老妻が少女になっていた。
以前から体調が良くないと聞いていたので心配したのだが、とんでもない、僕より数倍も元気。真夏の暑い湘南のロケ地に自分で運転して通ってくる。アシスタントもマネージャーもいない。何もかも1人でやる。女優業はもちろん家事も好きらしい。人にやさしくて、ちょっと意地悪で、好奇心旺盛。なんと日本全国の土地の値段にまで関心を持つ。僕はこれまでの人生でこんな個性に出会ったことがない。

樹木希林 コメント

(山崎努に関して)顔は恐いんです。私生活なんか聞いたらムッとされそうだから、じっと様子をうかがってるんです。私が見かけた頃の山崎さんは「天国と地獄」の犯人役が好評で、と同時に宝塚の美しい女優さんと結婚した頃でした。光の中でオーラが歩いているようで、まともに顔など見られませんでした。あれから半世紀以上、まさか山崎さんと仕事出来るなんて思いもしませんでした。
役者として山崎さんは、常につつましく謙虚で何より心が柔らかいんです。モリカズさんを嬉しそうに受け入れてて――
私は普通の妻のように生活できました。

(沖田修一に関して)ヨーイ、ハイ! と声がかかる。
私は監督の顔を見ている。その顔を集めてつなげたら、映画の内容が解るほどだ。
うれしそうな、実に楽しそうな、そして芝居をよく見てて、まことに的を射たダメ出しをする。だから私は丸投げだ。出来が悪けりゃ監督のせいだ。
この人は今後も成長しつづけて、日本を代表する監督になる筈だ。――ただ、物を食べる時にも考えてるので、消化と排泄が?
なので、小太りだ。私の心配は身体だ。だって若いのに、足挫いても中々治らないんだもの。(お疲れ様でした。)

沖田修一 コメント

樹木希林さんは、撮影現場の家の縁側の、風通しの一番いいところにいつも座っていらして、目を瞑るその姿を見ていると、眠っているのかわからず、迂闊に声もかけられず、しかし、いざ撮影が始まると、面白さに貪欲で、また厳しく、たくさんのアイデアを持ち、持道具を考え、あとは、縁側にいた時と同じ、まるで住人のように、スッとカメラの前に入ってこられるので、監督としてはどうかと思いますが、もう何も言う事なんてなくて、ただただ、樹木希林さんとのお仕事が楽しかったのです。魔法使いのようでした。たくさん笑いました。
そもそも、自分の映画に、山崎努さんと、樹木希林さんが出ていること自体が、奇跡みたいなものですから、僕は、この台本を撮りたいと言って見せ、あとは何もする事なんてなかったのかもしれません。

(作品に関して)熊谷守一さんの絵のような、映画を作りたいと思いました。
大きくはないけれど、シンプルで、奥深く、小さな生き物の一瞬を捉えたような。
熊谷守一さんの伝記ではなく、晩年の一日をモチーフにした、ある一日のお話にしようと思いました。それが、たくさんの長い時間を想像させることになるかもしれないと思ったからです。

(c)2017「モリのいる場所」製作委員会

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