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仲代達矢が市川崑や市川雷蔵との思い出語る「いい作品は時空を超える」

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「大映男優祭」にて上映された「炎上(デジタル復元版)」の舞台挨拶に登壇した仲代達矢。

「大映男優祭」にて上映された「炎上(デジタル復元版)」の舞台挨拶に登壇した仲代達矢。

本日4月21日、東京・角川シネマ新宿にて「大映男優祭」の舞台挨拶が行われ、仲代達矢が登壇し、時代劇・映画史研究家の春日太一が聞き手を務めた。

勝新太郎、長谷川一夫、田宮二郎らがメインキャラクターを演じた大映映画を上映する「大映男優祭」。三島由紀夫の「金閣寺」を市川崑が映画化し、市川雷蔵が主人公・溝口吾市を演じた「炎上」の上映後に仲代が登壇すると、客席は盛大な拍手に包まれ、「待ってました!」という大きな掛け声も。

観客と一緒にデジタル復元版の「炎上」を鑑賞したという仲代は「私が26歳のときの映画で、今85歳なんで60年前の映画だけど新しい映画だと思った」と感想を述べ、「何より素晴らしいのは市川雷蔵さんですよね。いつもの美剣士の雷蔵さんではなくて、吃音の役でコンプレックスを内面に沈めこんでいる。私は脚が悪い役で、雷蔵さんとは対照的にコンプレックスを出していく役で面白かったです」と語る。仲代との共演は「炎上」だけとなった市川雷蔵を「哲学的で私はとても合いましたね。人気があってロケーションに行くと女学生がいっぱい集まってきて『雷様はどこ』って騒ぐ。けど、すっぴんだからみんな気付かないので私が『ここにいるよ』と教えてました(笑)」と楽しそうに思い出を振り返る。

溝口の友人・戸刈を演じた仲代に市川崑は「片足をなくしたように歩いてくれないか」と最初に注文を付けたという。仲代は市川崑との撮影を「崑先生は面白い方で『仲代くん、ギャラ分だけやってね』と言うんですよ。『僕のギャラ知ってますか?』って聞くと『知ってるから使うんだよ』と言うんですね」とエピソードを披露し、「しゃれた監督で私は好きでしたね」とコメントした。

松竹、東宝、大映、新東宝、東映の5社が結んでいた、各社専属の監督や俳優の引き抜きを禁止した「五社協定」には入らずフリーで活躍した仲代。「そのおかげで素晴らしい監督の素晴らしい作品に出れることになった」と言う仲代は、映画会社の枠を越え、数々の監督や俳優とともに仕事をした。イベントでは勝新太郎、佐藤慶、田宮二郎、宇津井健、成田三樹夫、高峰秀子らとの思い出を語った。

大映作品にも多数出演した仲代は「大映が一番素晴らしかったのは録音技術ですね。セリフに響きがある。あと作品のテーマに沿ってカメラの調子や明暗を決めてくれる。黒澤さんが『羅生門』を撮影したときに『大映は素晴らしいな』と言ったそうです」と述べる。2015年に公開された「果し合い」で仲代はひさしぶりに時代劇に出演し、京都の松竹撮影所で撮影が行われた。昔のスタッフと再会し感動したという仲代は「役者は1人では絶対できない。スタッフの力を借りないとできない。無名塾は『礼儀正しく、絶対遅刻するな、スタッフにかわいがられろ』という教えを箇条書きにしてます」と役者を続けてきた中で大事にしてきた強い思いを吐露した。

最後に仲代は「いい作品というものは時空を超えますよ。『炎上』も実験的なことや象徴的なことをやってますよね。ただ燃やすだけの話じゃない。ひさしぶりに大きな画面で観ましたけど、ぜひ映画は大きな画面で観てください。私はそろそろ(映画に)出られませんけど、次世代の役者ががんばりますのでよろしくお願いします」とメッセージを伝え、イベントを締めくくった。

「大映男優祭」は5月11日まで東京・角川シネマ新宿で開催中。

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