「ザ・スクエア」上映会で監督と菊地成孔が現代の“傍観者効果”について語る

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ザ・スクエア 思いやりの聖域」のプレミア上映舞台挨拶が、4月11日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて行われ、監督と脚本を担当したリューベン・オストルンドが登壇した。

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」プレミア上映舞台挨拶の様子。左から司会の森直人、リューベン・オストルンド、菊地成孔。

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」プレミア上映舞台挨拶の様子。左から司会の森直人、リューベン・オストルンド、菊地成孔。

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第70回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを受賞した本作は、アート業界を題材とする風刺コメディ。上流階級の人々が集う有名美術館のキュレーターであるクリスティアンをクレス・バングが演じ、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリーがキャストに名を連ねる。

リューベン・オストルンド

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上映後に登場したオストルンドと観客とのQ&Aが始まると、客席からは脚本の書き方について質問が。オストルンドは自らの執筆スタイルを「まずテーマを決めて、そこに自分の経験やほかの人から聞いた話などを付け加えます。ちょうどスタンドアップコメディアンのように」と表現する。

また、本作を作るきっかけは、自身の住むスウェーデンのショッピングモールで起きた少年たちによるカツアゲ事件だったと明かすオストルンド。「その場に大人はたくさんいたのに、誰も被害者の子供を助けようとしなかったし、彼も助けを求めなかった。まさに“傍観者効果”というものが表れていました」と説明し、「そういった受け身の態度を打ち破り、どのように個人や社会のレベルで責任を取るのかを考え、本作のテーマにしました」と思いを語った。

菊地成孔

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左からリューベン・オストルンド、菊地成孔。

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イベント後半からは音楽家の菊地成孔も登場。本作の感想を「現状のヨーロッパが抱える問題と、モダンアートの裏側について我々は何も知らないということに気付かされました」と述べ、傍観者効果については「日本人はそれを疑問にも思わないほど傍観者効果をこじらせている」と話す。対してオストルンドは、「自分の映画にはすべて社会学的アプローチを取っているんです。今のメディアには問題が起きると誰かに罪を押し付けるような風潮がありますが、だからこそ、何か失敗したときにそこから学び取るという社会学的な姿勢が大事だと思っています」と見解を語った。

リューベン・オストルンド

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最後にオストルンドは次回作についても言及。“美”をテーマにした悲喜劇だと打ち明け、「妻の友人の男性モデルを主人公にしようかと思ってるんです。彼はとても有名でしたが、20代後半でハゲてきました。タイトルは『眉間のしわ』。ボトックスを打てば15分で解決する問題です」と説明する。毒っ気を交えながらもユーモラスなオストルンドの語り口に、会場からは笑いが起こった。

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」は、4月28日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。

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(c)2017 Plattform Produktion AB / Societe Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS

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河村書店 @consaba

リューベン・オストルンド監督+菊地成孔「現代アートについて誰もいえなかったことを、モンティ・パイソン的なスタイルで描いた映画ですね」『ザ・スクエア 思いやりの聖域』 https://t.co/6gRBzuUChQ #eiga #denpa954 #radiko #tbsradio

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