黒沢清「新しい一章の始まり」、釜山映画祭で「ダゲレオタイプの女」の意義語る

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ダゲレオタイプの女」が10月8日、現在韓国で開催中の第21回釜山国際映画祭のガラプレゼンテーション部門にて上映され、監督の黒沢清が記者会見と舞台挨拶に登壇した。

黒沢清

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「ダゲレオタイプの女」ビジュアル

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本作は、1839年に発明された写真撮影法“ダゲレオタイプ”が引き寄せる愛と死を描くホラーラブストーリー。全編フランス語で撮影され、キャストにはタハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー、オリヴィエ・グルメ、マチュー・アマルリックらが名を連ねる。

記者会見に登壇した黒沢は「僕が初めて撮ったフランス映画です。日本の映画監督で、海外で映画を撮ってみたいと思っていない監督はたぶんいないと思いますが、僕もそんな1人でした。そういった夢がかなった作品であり、僕にとっての新しい一章の始まりだと思います」と挨拶した。

「ダゲレオタイプの女」

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黒沢は本作の俳優たちの演技について「細かい表情や仕草で、見事に表現してくれる。そのおかげで脚本よりも何倍も豊かな映画になったと思います」とコメント。特にルソーに対して「この作品の発見の1つはコンスタンス・ルソーだと思う。何十人もの女優をオーディションして、彼女に決めました。彼女の瞳がうつろうのは偶然だったが、目の微妙な揺れでマリー(ヒロイン)の心情を見事に表現できた」と称賛を贈る。

黒沢清

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作品の上映会場では、上映終了後に質疑応答が行われ、多くの観客から黒沢に質問が飛んだ。「ジャンとステファンの関係が逆転していくところは、エミール・ゾラや(ギ・ド・)モーパッサンといったフランス文学を意識したのか」という質問に対して黒沢は「いつも感じることですが、釜山のお客さんの質問は高度だ」と感心。「イギリスのハマー・フィルム(『吸血鬼ドラキュラ』『フランケンシュタインの逆襲』などを製作)のような娯楽映画を目指しました」「ただ、フランス映画を撮るということで、無意識に(フランス文学の)影響を受けていたのかもしれません」と答えた。

自身の手形を持った黒沢清(右)。

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毎年、映画人のハンドプリンティング(手形取り)を行い、その業績を讃えてきた釜山国際映画祭。今回その1人となった黒沢は、手形を取ったあとに「自分の痕跡がこうして残ることになり、自分にとっての新しい一歩となるような気がします」と述べ観客から拍手を送られた。

「ダゲレオタイプの女」は、10月15日より全国ロードショー。

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(c)FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinema

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