ミルクボーイ駒場孝の「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」 第19回「RRR」

映画超初心者・ミルクボーイ駒場孝の手探りコラム「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」 第19回 [バックナンバー]

映画きっかけでインドのカルチャーまで好きになった「RRR」

今、インドヒップホップをずっと聴いています

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これまで名作をほぼ観たことがないまま育ち、難しいストーリーの作品は苦手。だけど映画を観ること自体は決して嫌いではないし、ちゃんと理解したい……。そんな貴重な人材・ミルクボーイ駒場孝による映画感想連載。文脈をうまく読み取れず、鑑賞後にネット上のレビューを読んでも「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」となりがちな彼が名作を気楽に楽しんだ、素直な感想をお届けする。

第19回のお題は、日本におけるインド映画の興行収入1位を誇る「RRR」。日本人からするとやや見分けの付きづらい登場人物や180分超という長さを駒場はどう受け取るのか?という懸念があったが、鑑賞後に「新たな映画の楽しみ方を発見させてくれた」とつづるほどにハマったようだ。

/ 駒場孝(コラム)、松本真一(作品紹介、「編集部から一言」

出演者、顔似すぎ問題

こんにちは、ミルクボーイ駒場です。今回鑑賞した映画は2022年公開の「RRR」です。まず言いたいのは、このコラムの第2回目で「ゴジラ-1.0」について書いたときと同じことなのですが、「映画タイトルはなるべくわかりやすい表記にしてください」です。映画を観るとき、まずタイトルが読めないやつはなかなか手を出せません。観終わって誰かに話をしたいのに、タイトルの読み方に確信がなく、万が一間違えてたら相手の人に「この人、タイトルも読まれへん映画観て感想語ってる」となり大恥をかきます。なので極力わかりやすいタイトルにしてほしいものです。この「RRR」も、結論から言うと一番シンプルな“アールアールアール”と読むのですが、さすがにシンプルすぎるのでまずその可能性は省いてしまいます。「“スリーアール”、“アールスリー”あたりかな?」とか、「Rを3つ表記しているけど、逆に読みは“アール”だけかな?」とか、変に探ってしまいました。読み方がわからなくて嫌だなぁと思っていたら「RRR」のサイトに公式のロゴのようなものがあり、そこを見ると「RRR」の下に小さく「アールアールアール」と書いてあったので、とりあえず「タイトル読み方」問題はクリアしました。

読み方もわかりすっきりしたところで観始めたのですが、今度は新たな問題が浮上してきました。「出演者、顔似すぎ」問題です。序盤から、顔が似てる人が多すぎました。彫りが深くてひげが濃い人のオンパレードではないですか。インドの映画で、役者さんもそういう方ですので仕方がないことはわかりますが、あんまりじゃないですか。せめて髪型が特徴的だとか、服装が奇抜だとかで差をつけてもらわないと、主役2人でさえ最初ちょっとわからないときがありました。観ていくとそこはかろうじて見分けがついていくのですが、たまにサブで出てる人の中にも何人か似てる人がいて、「さっきまでいた人が今ここにいるけどどういう状態?」となることが何度かありました。こんなに立て続けに問題が起こるとは思わなかったです。まだ観たことのない方はその覚悟だけしておいてください。

「なんかあの2人ならできそう」と思わせるほどの人間としての迫力

ただそんなことを除けば、本編はとても面白かったです。3時間もあるのに集中して観ることができ、どんどん観入っていきました。話もわかりやすいですし、途中ピンチになるがちゃんと最後はいい感じに終わる王道の話なのでスッキリします。映画初心者でもついていけるものでした。歴史的な背景みたいなことも土台にはあるようで、知っているとより深く楽しめるでしょうが、それを知らなくてもそういうことなんだろうなと予想はつきますし、問題はなかったです。あと、アクションがとにかくすごくて迫力がありました。CGの力もありますが、なんか格闘マンガのようで男としては楽しかったです。レビューには「人間にあんなことができるわけない」など書いている人もいましたが、「そんなん言う人そもそも楽しんで観てないやん」ということと、「なんかあの2人ならできそう」と思わせるほどの人間としての迫力がすごかったです。

ただ、インド映画では定番らしいダンスシーンというのがこの作品にもあって、僕はそこに少し警戒していました。というのも、個人的にインド映画とか関係なく、作品中に歌われたり踊られたりするミュージカル的な流れにあまり入っていけなくて、少し冷めてしまうんです。「この世界ではこの間どうなってるのか?」と思ってしまう。なので今回もそんなことになったら嫌だなぁと思っていました。そして観ていくとやはりありましたダンスシーン。でもこの作品のダンスシーンは、するべきところでしているのでセーフでした。そしてそもそも、ダンスがすごすぎたので観てられました。ダンスシーン観れてるやんと自分でも驚きました。しかもあとで調べたらこのダンスのときの曲がアカデミー賞最優秀歌曲賞にも選ばれているんですね、どおりで曲とダンスとともに見入ってしまうはずやと思いました。

そして今回の「そんなこと言うてた?」は「そんなにRを気軽に使うって言うてた?」です。インド映画では、長時間の作品途中に「INTERVAL」と表記され休憩時間になることがよくあるらしいです。この「RRR」でもそれがあったのですが、Rを3つ続けて「INTERRRVAL」と表示していたんです。これはやめてほしかった。気持ちはわかります。やりたくなります。でもそこは大事なタイトルですので落ち着いてほしかった。やってなかったとしても、「INTERVALのRで遊びたかったけどここはスマートにあえてやってないんやろうな」とまともな人はみんな汲み取れるはずなんです。でもそうならなかったんでしょうね。ここは入れとかないととなったんでしょうね。にしても「INTERRRVAL」はやりすぎじゃないかと。せめて「inteRval」ではあかんかったかなぁ。でも1文字だけやるんも意味わからんからそうなると全部いくかぁ。そこが気になりましたね。

でも全体的に話もわかりやすく大迫力で見応え抜群でしたので、インド映画にとても興味が湧きました。その証拠に、観終わったあと、インドの音楽や言葉に妙に惹かれ、インド音楽をネットで探して聴き始め、最終的に今「インドヒップホップ」をずっと聴いています。曲調や、独特のねっとりしたしゃべり方がいいんですよね。芸人界でもヒップホップ好きは多いですが、インドヒップホップに手を出している芸人は僕ぐらいじゃないかと思います。特にBohemiaという方を聴いています、お薦めの方がほかにもいたら教えてください。

映画からその国のカルチャーまで入っていくというのは、我ながらなかなか通な楽しみ方をしてるなと思っております。「RRR」は、新たな映画の楽しみ方を発見させてくれた作品でした。これからも映画をどんどん楽しんでいきたいと思います!

編集部から一言

「インド映画は俳優の見分けが付きづらい」というところに引っかかることまでは予想できていたのですが(そしてそれを気にならないほど楽しんでくれたのはよかったのですが)、まさか「INTERRRVAL」のことをこんなに気にするとは……。ちなみに公式サイトでは各コンテンツが「INFORRRMATION」「STORRRY」「CHARACTERRR」という表記になっています!

「RRR」(2022年製作)

「RRR」DVDジャケット

「RRR」DVDジャケット

「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャマウリが監督を務めた「RRR」の舞台は、英国植民地時代のインド。国軍にさらわれた少女を救うため立ち上がったビーム、大義のため英国政府の警官になったラーマという敵対する立場の2人が、相手の素性を知らぬまま熱い友情を育んでいくさまが描かれる。ビームをNTRジュニアN・T・ラーマ・ラオ・Jr.)、ラーマをラーム・チャランが演じた。劇中曲「Naatu Naatu(ナートゥ・ナートゥ)」に乗せてビームとラーマが踊る高速ダンスは話題を呼び、同曲は第95回アカデミー賞の歌曲賞を受賞した。2025年には、ラージャマウリが自ら監督を務めたメイキングドキュメンタリー「RRR:ビハインド&ビヨンド」が公開。それに合わせ「RRR」のリバイバル上映も行われたことで、同作の興行収入は25億円を突破した。なお「RRR」は4K UHD Blu-ray、Blu-ray、DVDのほか、特装版となるスペシャル・エディション、アルティメット・エディションが発売されており、各種サブスクリプションサービスでレンタル配信中。「RRR:ビハインド&ビヨンド」は、5月27日よりJAIHO(ジャイホー)で独占配信される。

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松本 @matsushin1978

駒場さんに映画見てもらう連載、「RRR」です!「タイトルの読み方わからん」から最終的に「インドヒップホップのおすすめ教えて」までいってます https://t.co/UrVeCnxQcy

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