ホラーを語るリレー連載「今宵も悪夢を」 第1夜 [バックナンバー]
選者 / トム・ブラウン みちお「ドーン・オブ・ザ・デッド」
ザック・スナイダーの出世作がつまらないわけがない!
2021年10月9日 21:00 2
ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」が、2021年の世界ゾンビデーである本日10月9日にスタートする。
俳優、アーティスト、声優、お笑い芸人がホラー世界の案内人に
現在、連載メンバーとして参加が決定しているのは
第1回ではみちおが
ゾンビにハマるきっかけとなった記念作
選者 / トム・ブラウン みちお
僕ね、ゾンビ三部作大好きなんです。。
ゾンビ三部作っていうのはジョージ・A・ロメロ監督が現代ゾンビのルールを作ったと言われている歴史的作品の3本の事です。
既知の人もいるかもしれませんが、元々ゾンビとは復活した自我を持たない人間の事を言っていたらしいです。
え? 人を襲って食べるんでしょ?
噛まれたら自分もゾンビになるんでしょ?
頭を撃ち抜かないと死なないんでしょ?
この3つの今では当たり前のルールを作ったのがジョージ・A・ロメロです。
元々新しいゾンビ映画を作ろうとかではなく、偶発的に生まれたものらしいのですが、なんにしても映画史に残る歴史的発明です。
落ち着いてください皆さん。ルールを作ったと言われているけどさ、そういうことじゃないんだよ。面白さって。すごさって。
ジョージ・A・ロメロ、あ、知ってる? ゾンビのルール作った人でしょ?って言う人はちょっと1回冷静になってほしい。
ジョージ・A・ロメロとは、とにかく面白いゾンビ映画を撮る監督で、初期の「スター・ウォーズ」シリーズとか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいな三部作を死人で作った愛すべき偉大で変な人。って言うと素敵ですよね。僕は勝手にその解釈です。
その上でルールを作ったり、逃げ込む定番の場所を作ったりの外側の話ができたら最高かな。
本当に面白くて怖いんですけど、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」なんて、最初の作品なのに、ほぼなんの説明もなく墓場で死人が歩き始めて人を襲う。本当に怖いし面白い。白黒なのに生々しいですしね。
そんな怖くて面白い三部作ですが、
ですが、
ですが、
ですが!
今回はリメイク版の話をしたいんです!!
ザック・スナイダー監督「ドーン・オブ・ザ・デッド」は三部作の2本目「ゾンビ」のリメイク映画です。
しかし、ゾンビものはタイトルに「・」が多い。僕もコンビ名に「・」がつくので勝手に親近感。
おっとすいません、話がそれました。
ザック・スナイダー監督はこの映画のあと「300<スリーハンドレッド>」や「ジャスティス・リーグ」などを手がける超ハリウッド映画監督になっていきます。
ホラー映画を撮って、当たってその後、ド級の監督になっていく、通例にも近いパターンなんです。
つまりこの映画は、ザックさんの出世作と言っても過言ではないのです! だからつまらないわけが無いんです。
映画史に残る偉大な映画をリメイクするなんて結構プレッシャーだし、面白くするなんてことだけでハードルが上がるものですが、この映画はほんとに素晴らしい。
なにより主観が入るんですけど僕がゾンビにはまるきっかけとなった映画です。
主人公の女性は病院で働いていて、何か違和感を感じつつも家に帰って起きると隣の家のちっちゃい女の子がゾンビになってて。旦那がそのちっちゃいゾンビに噛まれてゾンビになって、今度は主人公を襲ってくる。
映画冒頭の、この流れが最高なんです。
家で目覚めたときにベッドルームに隣の家のちっちゃい女の子が立っている。
このシーン。最初はどうしたんだろう眠れないのかな、とか、親になにかあったのかな、と思って近づくとよーくみたら血だらけなんですよ。
そこから口を開けてこっちに向かって全速力ダッシュで襲ってくる。
そして今度は噛まれた旦那が全速力で襲ってきて、主人公はバスルームに駆け込んで車で逃げようとする。なんとか逃げ延びれそうと思ったらパニック。周りのみんなに似たようなことが起きてる、大変なことになってる!と思ったら遠目からのアングルになっていって街中大パニックなんだとそこでわかる。主人公は慌てふためいて車で逃げようとするけど木に激突して気を失う。
こんな濃いのをものの数分で描き、見事にすべての描写がこちらの脳に入ってくる。
きっとザック・スナイダー監督はビジュアルを美しく撮ると評判がある人なので、一つ一つ綺麗で色味もわかりやすく、脳にスッと入るんでしょう。だから、残酷で怖くて美しいのでしょう。
そのあとショッピングモールに逃げ込みます。
そうショッピングモール。
ここがリメイクのポイント!!
原作映画とリメイクの一番の共通点、ショッピングモール!
僕がゾンビものにハマるきっかけはここにあります。パニックから逃げてきて、バクバクいってた心臓が落ち着いていくんです。
ショッピングモールに入って、ドアのロックがしっかりしていて自家発電で燃料もたくさんあって食料もたくさんある。
そう、なんか生きていけそうな感じがするんですよ。
服屋さんだってたくさんあるし、色んなお店があるから暇しない。
他にも逃げてきた人が結構いて寂しくないし、なんなら良い男もいて良い雰囲気になったりなんかしたりとか、ほんとにこのまま生きていけそうな感じがするんです。
でも平穏は意外と長くは続かない。
ここです!! ポイント!
怖くて逃げてきて、ショッピングモールに居ればなんとかなりそうと1回なってから、また逃げなくてはいけない!
この一回助かってからもう一度恐怖を感じるところ。
ここがかなり綺麗に描かれているし、原作映画もリメイク版も共通して面白いポイントです。
その面白さをしっかり残している上でスピード感、画の綺麗さ、残酷さ、怖さなどが際立っているのが「ドーン・オブ・ザ・デッド」の素晴らしき所です。
そして個人的に一番好きなシーンは、バスに乗りながらおじいさんがチェーンソーで外にいるゾンビを退治しようとして、カーブで体勢を崩して仲間のギャルを切ってしまう場面です。
良いホラーって怖いのに笑ってしまうシーンがある。このシーンで思わず笑ったら、あなたも僕と同じ感性があるってことですね。
それではこの辺でSee you...
トム・ブラウン みちお
1984年12月29日生まれ、北海道出身。同じ高校の布川ひろきと2008年より活動を開始し、2009年に正式にコンビ結成。「M-1グランプリ2018」決勝で披露した“合体漫才”で注目を集め、現在「有吉の壁」(日本テレビ)などに出演中。「トム・ブラウン全国四大都市ツアー2021『がちょん十郎』」は2021年から2022年にかけて開催中。ケイダッシュステージ所属。
「ドーン・オブ・ザ・デッド」(2004年製作)
ジョージ・A・ロメロ監督作「ゾンビ」を、ザック・スナイダーが2004年にリメイクした本作。突如ゾンビだらけとなった街で主人公アナが生存者たちと出会い、無人の巨大ショッピングモールに逃げ込むことから展開していく。アナを
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