アニメスタジオクロニクル No.4 [バックナンバー]
パインジャム 向峠和喜(代表取締役 / プロデューサー)
人とのつながりが活きるのが、アニメ制作の醍醐味の1つ
2023年7月28日 15:00 22
新しいチャレンジをしつつ安定した作品作りを
クリエイター志向の強いプロデューサー兼社長に率いられて、パインジャムは今後「
「10月から放送が始まる『Paradox Live』は、これまでうちではまったくやってこなかった女性向け作品のため大きな挑戦です。個人的には『マクロスF』に関わっていたのでそのときのイメージでいるんですけど、会社としては初めての試みなので丁寧に作らなきゃいけないと感じています。今まではキャラクターのかわいらしさとか、雰囲気を見せる作品が多かったので、ギラギラとしたカッコよさをどう見せていくか。それをクリアして、『パインジャムはこういうアニメも作れるんだよ』と示したいです。
2024年に放送される『姫様“拷問”の時間です』はかわいらしいギャグ作品で比較的慣れた作風ですが、『Paradox Live』と合わせて全然別のベクトルの2作品を同時に作っています。正直なところ『グレイプニル』以降の作品でもやれることはやったという手応えはありつつ、まだ満足はできてはいないし『もう少しやれただろ』という思いもありました。今後もこんなふうに少しずつ新しいことにチャレンジしていきながら、安定していいアニメを作れるようになりたいです」
一度は作品の元請けから離れ、雌伏の時を過ごしたパインジャム。しかし「姫様“拷問”の時間です」が放送される2024年の翌年、2025年には設立10周年を迎える。
「1、2年くらい前は『10周年で大きいものをやりたいので、何か仕事ください』みたいなことを周りのメーカーさんに言っていましたけど(笑)。でも今となっては2025年まですでに決まっている仕事があるので、それらを丁寧に作り続けるだけで、何か大々的に売り出す予定はまったくないです。近くなったら何か考えるかもしれませんが……これまでの作品の映像を使った会社の記念PV? 確かにそういうのもいいかもしれませんね。でも『この会社、もう10年も経ってるのか、若くないな』みたいなふうに捉えられませんか?(笑)」
ここまで書いてきた通り、自然体でざっくばらんにパインジャムの歩みを語ってくれた向峠氏。パインジャムという社名の由来について聞いた際も、彼は茶目っ気たっぷりに秘密を明かして場を和ませてくれた。
「会社の公式サイトには『物語やメッセージに、パインジャムという隠し味が加わることでよりよいモノが生まれる。』なんて書かれていますが、あれ、実は僕が考えたものではないんですよ(笑)。確かにすごくいい言葉ですし、本当にそうしたいと思っているのですが、サイトを作っていただいた社外のデザイナーさんが考えてくださったんです。だから新卒の子が面接に来て『公式サイトにある言葉に感銘を受けて』とか言われるとこっちとしては立つ瀬がない(笑)。
それでパインジャムという社名の本当の由来はいくつかあるのですが、秘密にしているので……1つだけ明かすと、キャッチーな社名にしたかったので耳に入りやすい“ぱぴぷぺぽ”のような半濁音を入れたかったというのはあります。あとは今日のところは秘密とさせてください!」
向峠和喜(ムカイトウゲカズキ)
石川県出身。株式会社パインジャム代表取締役。2008年に株式会社サテライトに入社。同年プロデューサーの独立に伴い、株式会社エイトビットに入社。2015年に独立し、株式会社パインジャムを設立する。
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