大仁田厚とファイヤーも！グッドモーニングアメリカ、夢の武道館に立つ

グッドモーニングアメリカが11月27日に東京・日本武道館にてワンマンライブ「挑戦 第七夜」を開催した。

バンドにとって初の日本武道館公演となったこの日。開場時間にはたなしん（B, Cho）がテレビアニメ「ドラゴンボール」の孫悟空などの声を担当する野沢雅子、「ファイヤー」の元祖であるプロレスラーの大仁田厚に、それぞれ武道館公演に出演してくれるよう依頼しに行く様子を捉えた映像が映し出される。映像は2人が難色を示したところで終わっており、ファンは2人の登場を願いながら開演を待った。

そしてメンバーによる影アナののち、暗転した会場に流れてきたのは孫悟空によるナレーション。ファンが歓声を上げて喜ぶ中、ナレーションでは孫悟空と“スーパーたなしん”による対決の様子が語られる。そしてたなしんが「俺の必殺技を受けてみろー！ 1カ月特訓した……」と言うと会場が明るくなり、アリーナにたなしんが登場。彼は客席内を練り歩きながらステージへと向かい、ステージに用意されたマットで、この日のために練習してきたというバック転を見事成功させる。観客からの大きな拍手を受けた彼は「怖かったー！ 実は今まで1度も成功してませんでした」と明かし、「なんか今日はミラクルが起こる気がしますよ！」と声を弾ませた。

たなしんが「それでは余興が終わったところで、グッドモーニングアメリカ、初めての日本武道館公演、始めます！」と言うとほかのメンバーもステージに。定位置に着くと、金廣真悟（Vo, G）が大きく息を吸ったことを合図に、バンドは「拝啓、ツラツストラ」でライブをスタートさせた。

4人は疾走感あふれる楽曲を連投しライブに勢いをつける。最初のMCでは渡邊幸一（G, Cho）が客席をぐるりと見渡しながら「ずっとずっと夢に描いてたこのステージ。この日を迎えることができて、本当にうれしく思います」と感慨深く語り、金廣も「ついにやってきましたね、この日が！」とうれしそうに口にした。4人はその後、ペギ（Dr, Cho）によるツービートが印象的な「言葉にならない」、曲中のブレイクで金廣が「楽しんでますか？」と語りかけ観客のテンションを引き上げた「突破していこう」、渡邊のライトハンド奏法が光る「inトーキョーシティ」と新旧のナンバーを次々とプレイしていく。

盛大な合唱が広がった「空ばかり見ていた」のあと一度メンバーがステージを去り、ステージ脇に設置されたモニターにグッドモーニングアメリカの過去の映像が映し出される。場内にノスタルジックな雰囲気が漂う中メンバーが再びステージに現れ、金廣の弾き語りから「そして今宵は語り合おう」を演奏した。最後のサビ前に照明が薄暗くなり、金廣が「星空のテントに思い出のランプ灯そう」というフレーズを歌うと、ステージには星空のような照明演出がなされる。それと同時に観客が一斉に携帯電話の光をかざし、会場全体が美しく彩られた。この演出は金廣、渡邊、ペギには内緒でたなしんが提案したもの。金廣が「泣きそうになったわ」と口にするなど、3人はそれぞれサプライズに感激した様子を見せた。

ここでたなしんが、大仁田へ出演交渉していた旨を改めて告知。しかしながらこの日大仁田は別会場で自身の試合があり、来場できるか否かの連絡を待っている状態であると明かした。なかなか連絡が届かないためあきらめた様子のたなしんは、メンバーへ「4人でファイヤーやろうよ」と持ちかける。すると会場が突如暗転し、アリーナに大仁田が光臨した。大仁田は客席内を練り歩いてステージまでたどり着くと、さっそくたなしんに張り手をお見舞いする。さらに「（観客が）よく入ってるな、よかったな。夢を追いかけるっていいよなあ」と笑顔で語りかけた。そしていよいよたなしんの念願の時間へ。大仁田とたなしんが声をそろえ、ポーズとともに「ファイヤー！」を繰り出すと、ステージには派手に火柱が上がった。

終盤、金廣が「日本武道館のワンマン公演って、俺にとってはバンドをやりたいと思ってギターを始めた中学2年生からの夢でもあり、ペギが加入してこのメンバーになって4人で掲げた目標でもあります」と話し始める。そして彼はバンドの辿った紆余曲折を述べ、「でもあきらめずに目の前のことを1つひとつ積み重ねてきて、ようやくここにたどり着くことができました。今日はメンバー全員感謝の気持ちを持ってこのステージに上がっています」と喜びを語る。しかし、場内の空席を見つめ「正直、ソールドアウトしてないし、大成功とは言えないかなって思ってます。もっともっといい景色をみんなに見せたかった。すんごく悔しいし申し訳ない気持ちでいっぱいです。まだまだ力不足だなって思います」と素直な思いを吐露。続けて「何年かかるかわかんないけど、また絶対に日本武道館にリベンジしに戻ってくるんで。今日ここに来てるみんなが証人です。俺らがまた日本武道館でライブやるときに、今日来たことを誇りに思わせるので、見ておいてください」と力強く宣言した。その後金廣は「僕らはつまづいて這い上がって、っていう人生なんだなって思います」と笑顔を見せ、「これからもつまづいても歩みを止めないでいたい。そんな僕らのがむしゃな姿を見て、みんなが少しでも勇気を持てたら」と思いを述べた。そしてバンドは「ハローハローハロー」「イチ、ニッ、サンでジャンプ」をパワフルに演奏してステージを降りた。

アンコールでは、この日に向けてファンを巻き込んで実施していた施策「みんなで作ろうグドモ武道館」の一環としてファンから集めたリクエスト曲を演奏することに。くじ引きで決まった演奏曲は「アカクモエテイル」で、曲名を見た金廣は「この曲を日本武道館で歌えてうれしい」と笑った。彼が「終わりたくねえな……」とぽつりと口にする背後では、渡邊、たなしん、ペギの3人が向き合う体勢をとる。そしてラストに彼らは「未来へのスパイラル」を息を合わせてプレイ。サビでは金テープが噴射され、ライブは華々しくフィナーレを迎えた。演奏後には金廣の「武道館っぽいことやります」という言葉から、4人が手をつないでステージ中央へと進む。彼らは観客へ向けて長い間お辞儀をして、初の日本武道館公演を締めくくった。

なおグッドモーニングアメリカは2月より全国ワンマンツアー「グッドモーニングアメリカ TOUR 2016」を開催する。本作は10月にリリースされた最新アルバム「グッドモーニングアメリカ」のレコ発ツアーとして行われるもの。バンドは2016年2月11日の福岡・DRUM LOGOS公演を皮切りに4月24日の東京・新木場STUDIO COAST公演まで全国9公演を行う。