11月8日に東京・観世能楽堂で開催される「
「ART歌舞伎」は、壱太郎が2020年のコロナ禍に配信公演として企画・立案し、発表した作品。2021年には5都市の映画館で上映され、劇中曲のCD発売のほか、Music Live公演を経てこのたび、集大成が劇場公演として上演される。だが、劇場公演は完売につき、当日に生配信が行われるほか、15日から来年1月15日にかけてはアーカイブ配信がPIA LIVE STREAMで実施される。
“DEEP FOREST”をサブタイトルに掲げる本公演の演目には「幻想ポリネシアン」「神前式」「四神降臨」「フォレストコンサート」「ART道成寺」が並んだ。壱太郎は、「能楽堂でやらせていただくにあたり、モチーフを設けた公演にしたいと思い、舞台全体を森に見立てることに」と説明。幕開けを飾る「幻想ポリネシアン」は、「日本の古来、東洋や“地球の緑”を感じさせる」作品となり、「皆さんを森の奥深くにお連れするような演目で、開演15分前からテーマパークのアトラクションに並んでいるときのような感覚になれる仕掛けを考えています」と構想を語った。配信公演でも披露された「四神降臨」ではキャストが変更され、壱太郎が青龍、花柳源九郎が朱雀、初参加の花柳梨道、藤間礼多が回替わりで白虎、そして当日まで明かされないというスペシャルゲストが玄武を勤める。
「ART歌舞伎2025~DEEP FOREST~」を締めくくる新作「ART道成寺」について、壱太郎は「『道成寺』の原点は能にあります。能楽堂で『道成寺』をやるからには、ARTといえど能楽の方の力をお借りしたい」と、同い年の狂言師・野村太一郎に出演をオファー。「道成寺で鐘が落ちたあと、未だに建立されずに森になってしまったという背景の物語で、住職が森の主になってしまいます。そこに、“まだ来るか”という勢いで清姫が現れる。森の主の阿・吽、清姫、森の番人がそれぞれがどのような関わりを持つのかお楽しみ」と期待をあおった。演目はすべて舞踊の表現となるが、「ART道成寺」にはセリフの応酬があることも明かされた。道成寺物では、壱太郎は映画「国宝」にて吾妻徳陽の名で所作指導を担った。壱太郎は映画で「二人道成寺」に挑んだ出演者の吉沢亮について「センスが良く、表情も豊か」と称賛し、所作指導として参加することで「1つの作品を観る切り口として、刺激を受けた」と述べた。
「ART歌舞伎」について、壱太郎は「我々はなぜ表現するのか、ということをコロナ禍では訴えかけられましたが、その行き着く先が『ART歌舞伎』でした。歌舞伎の“かぶく”という精神をどれだけ美しく、カッコよく、驚きと共に見せられるのかが、このチームで表現したいこと」と述べる。さらに「ART歌舞伎」の変遷を、「すべてがご縁で、これまでのことがつながって今に至っています。最初は、私が踊ったら風が吹くという、撮影には最悪のコンディションでした。それでも、それぞれの演目を一発撮りで撮ったという心意気。そのときに起こったすべてのことを味方につけてやってきたのが『ART歌舞伎』です。今回はやっとの室内公演なので、予想通りの公演ができるのでは」と微笑んだ。
映像配信では、事前稽古の様子を追ったドキュメンタリーが特典映像として楽しめる。壱太郎は来年1月15日までアーカイブ配信が行われることについて熱くアピールし、「配信公演のときのクオリティに届くかどうかが今回の課題。アーカイブ期間が2カ月もありますし、1月には私が『京鹿子娘道成寺』をやりますので、そこまでワクワク感を保ちながらぜひ、『ART歌舞伎』の千秋楽を来年1月15日だと思って楽しんでいただければ」と語った。公演は11月8日、観世能楽堂にて。
なお、関係者のインタビューや公演ビジュアルなどを収めたARTBOOKが販売されるほか、18日には東京・朝日カルチャーセンター 新宿教室で「プレミアム講座 中村壱太郎が語る『女形』の魅力~映画『国宝』からART歌舞伎『道成寺』まで~」を開催。東京・銀座 蔦屋書店では壱太郎とART歌舞伎楽団によるトークイベント、「ART歌舞伎」の写真展示とグッズ販売を展開するフェアが行われる。
ART歌舞伎2025~DEEP FOREST~
開催日程・会場
2025年11月8日(土)
東京都 観世能楽堂
出演
ART歌舞伎楽団
中井智弥(箏・二十五弦箏) / 浅野祥(津軽三味線) / 藤舎推峰(笛) / 山部泰嗣(太鼓)
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