ウィーン国立歌劇場、日本公演がまもなく開幕「大事にしている2演目を披露できうれしい」

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ウィーン国立歌劇場2025年日本公演が10月5日に東京・東京文化会館で開幕する。これに先駆け、開幕記者会見が昨日2日に同館で行われた。

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より。(Photo by Yuji Namba)

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より。(Photo by Yuji Namba)

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ウィーン国立歌劇場の来日公演は約9年ぶり。今回の公演では、2023年に新制作されたバリー・コスキー演出「フィガロの結婚」と、オットー・シェンク演出「ばらの騎士」が上演される。また本公演は、東京文化会館の長期休館前の最後の大型オペラ公演となる。記者会見には、ウィーン国立歌劇場のボグダン・ロシチッチ総裁、「フィガロの結婚」の指揮者ベルトラン・ド・ビリー、「フィガロの結婚」のメインキャスト、日本舞台芸術振興会の髙橋典夫専務理事が登壇した。なお、アルマヴィーヴァ伯爵役のダヴィデ・ルチアーノはリハーサルのため欠席した。

髙橋専務理事は「これまでに10回の日本公演を数えますが、『フィガロの結婚』は過去に5回上演されており、日本の観客にそれだけ愛されていることの現れだと思います。『ばらの騎士』は1994年にカルロス・クライバーの指揮による伝説的な名演がありました。ウィーンといえば『ばらの騎士』、というイメージをお持ちのお客様も多く、まさに最強のプログラムではないか」とアピールする。

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より、ボグダン・ロシチッチ。(Photo by Yuji Namba)

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ロシチッチ総裁は「コロナ禍で9年ぶりの来日となりましたが、今回伺えてとてもうれしく思っています」と喜びを語り、上演する2演目については「いずれも劇場を代表する演目です。『フィガロの結婚』を演出するコスキーは欧州で大人気の演出家で、ダ・ポンテ三部作のすべてをウィーンで演出し、『ばらの騎士』の演出を務めるシェンクは劇場に大きな足跡を残した人物です」と紹介。さらに「ウィーン国立歌劇場が大事にしてきた2演目をお見せしますが、新しいものと伝統のバランスを絶妙に保つことが劇場のすべきことだと思っています。私どもの劇場の歴史は長く、押し潰されそうなほど大きいと感じることもありますが、あらゆる聴衆に対してオープンな劇場でありたいと思い、その第一歩として昨年ノイエ・シュターツオーパー(NEue STaatsoper)、“新たな国立歌劇場”をつくりました。小さなブラックボックスのような劇場ですが、音響がとても素晴らしく、子ども向け・ファミリー向けなどさまざまなことができる。このように新しい聴衆を伝統に取り込みながらも、その伝統を東京で披露できることをうれしく思います」と話した。

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より、ベルトラン・ド・ビリー。(Photo by Yuji Namba)

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指揮者のベルトラン・ド・ビリーは「フィガロの結婚」について、「ボーマルシェの原作は大変スキャンダラスなものでしたが、モーツァルトはこの戯曲をウィーンに持っていきたかった。そのままでは上演ができず、政治的な部分はカットせざるを得ませんでしたが、それはすべて音楽に含まれています。このオペラは表層だけではなく、下に深いものがある。一部の独裁者への批判、現代への皮肉が込められていると感じます」と語った。

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より、ハンナ=エリザベット・ミュラー。(Photo by Yuji Namba)

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ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より、カタリナ・コンラディ。(Photo by Yuji Namba)

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アルマヴィーヴァ伯爵夫人役のハンナ=エリザベット・ミュラーは「モーツァルトはこの役に最も美しい音楽を与えました。伯爵夫人は多様性をもった性格で高貴さとエレガンスにあふれ、自らの感情にも正直です。コスキー演出版は演技と音楽のタイミングが完璧なのですが、私たち歌手にとってはこれらすべてをこなすのは大きなチャレンジでもあります」と明かす。スザンナ役のカタリナ・コンラディは「今回幸運にも『フィガロの結婚』にも出演できることになりました。スザンナは300年前の人物とは思えないほど現代的で、ステージ上すべての登場人物に影響を与えます。この演出版には2年前にも出演しましたが最高の演出です。ウィーン国立歌劇場というすべてがハイレベルな環境で歌えることも非常に楽しみです」とコメントする。

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より、リッカルド・ファッシ。(Photo by Yuji Namba)

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ウィーン国立歌劇場2025年日本公演開幕記者会見より、パトリツィア・ノルツ。(Photo by Yuji Namba)

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フィガロ役のリッカルド・ファッシは「フィガロは大好きな役です。初めはうれしかったのが落ち込み、最後にはスザンナとの喜びが待っている。まるでジェットコースターのような感情の起伏を味わうことができます。歌手として本当にやりがいのある役です」と述べる。ケルビーノ役のパトリツィア・ノルツは「ケルビーノは常にカオスをもたらします。コスキーはとてもクレイジーな人で(笑)、歌手にとっては大変ですが、この作品の持つ楽しさから悲劇性まで表面的ではない深層の部分まで引き出してくれます。そしてオーストリア生まれの私にとって、ウィーン国立歌劇場はまさにホームなのです」と語った。

上演時間は休憩含む約3時間35分。公演は10月5日から12日まで。

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ウィーン国立歌劇場2025年日本公演

開催日程・会場

2025年10月5日(日)〜12日(日)
東京都 東京文化会館

スタッフ

「フィガロの結婚」全4幕

作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
演出:バリー・コスキー
指揮:ベルトラン・ド・ビリー

「ばらの騎士」

作曲:リヒャルト・シュトラウス
演出:オットー・シェンク
指揮:フィリップ・ジョルダン

出演

「フィガロの結婚」全4幕

ダヴィデ・ルチアーノ / ハンナ=エリザベット・ミュラー / カタリナ・コンラディ / リッカルド・ファッシ

「ばらの騎士」

カミラ・ニールンド / ピーター・ローズ / サマンサ・ハンキー / カタリナ・コンラディ

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