MOTOKOLOGYはJR元町駅高架下、元町高架通商店街の通称“モトコー”と、学問を意味する接尾詞“-logy”を組み合わせた造語。戦後の闇市を発端とし、さまざまな文化を育んできたモトコーだが、現在は解体・再整備を目前に控えたシャッター街となっている。本プロジェクトでは再整備までの限られた期間、神戸市内の産官学民による参画をはじめ、アーティストなどを招きながら、この地に蓄積された記憶や価値を再検証する。
プレスツアーでは、モトコーの1・2街区を歩きながらブースを開けていたスティールパン パートナーズやミナトスタジオ、山田悠らを紹介。山田は森山が昨年キュレーターを務めたアートプログラム「AiRK Research Project vol.2 山田悠 + サム・ワイルド 2人展『Walls ans Frogs -境界線に見るあわい-』」に参加していたアーティストで、街中の既存の構造物を使い、実際に機能する日時計の壁画を描くプロジェクトを行っている。山田は現在、モトコーの壁面を使って「Sun of the City, Kobe」を制作中で、森山は山田のこのプロジェクトがMOTOKOLOGY立ち上げのきっかけになったと説明した。
MOTOKOLOGY立ち上げの思いについて森山は、「モトコーは戦後の闇市を発端に、もともと非常に賑わいがあった場所です。神戸には魅力的な活動をしている施設や人たちがたくさんいて、それぞれ独自の活動を展開されていますが、この場を使って皆さんが一堂に会することができたら、そして今もここで活動されている方々が、この場を再び盛り上げていくという物語が作れたら面白いのではないかと思いました。さらにこのモトコーという限られた区域の中でそれぞれのコミュニケーションが生まれ、これまでそれぞれに活動していたけれども重なり合わなかった人たちがモトコーという場を通じて重なり合っていく……そんな機会が創出できたらいいなと思っています」と話す。
森山自身のモトコーに対する記憶は、と記者に問われると「中高生の頃の記憶としては、服屋さんや靴屋さんが本当にいっぱい並んでいたので、そこで欲しいものを自分で見つけて手に入れたりしていましたね」と振り返りつつ、「神戸の方であればモトコーという場所にはさまざまな思いを持っている方がいらっしゃると思います。それぞれの記憶や体験を持ちながらこの場所を訪れていただき、少し引いた目で見て、モトコーという場所が神戸にとってどんな場所だったのか、そしてこれから解体され再整備が始まっていく中で、次にどんな場所になっていくと良いのか、こういった場所がどのように街と接続しながら存在し続けられるのかを考えていただけたらと思いますし、そのようなことを考えられるようなイベントや交流の場になればいいんじゃないかなと思っています」と語った。
MOTOKOLOGYでは今後、展示、ワークショップ、物販・飲食、大学の研究室による取り組みのほか、月に1回、神戸の産官学民とアーティストによる対話の場「モトコー・スタディ」を開催予定。なおMOTOKOLOGYプロジェクトメンバーにはプロデューサーの田村圭介、キュレーターの吉田山、コーディネーターの松田雅代、ストラクチャーマネージャーの片田友樹が名を連ね、現時点での参画アーティストには先述の山田と、contact Gonzo、副産物産店が発表されている。
MOTOKOLOGYの会場は元町から神戸駅間高架下(モトコー)1街区及び2街区で、活動期間は7月から来年3月31日まで。MOTOKOLOGYの活動内容やスケジュールは公式Instagramで確認を。
ステージナタリー @stage_natalie
【会見レポート】ディレクターは森山未來、モトコーが舞台のアートプロジェクト・MOTOKOLOGY始動
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