本公演では、
舞台には2階建てのアパートがそびえ立つ。2階部分はトタン壁で覆われており、柱に張られたロープにはたくさんの洗濯物が干されていた。1階はコワルスキー夫妻の暮らす部屋となっており、キッチンやベッドといった調度品が置かれている。舞台下手前方のトンネルからは上手に向かって線路が伸び、線路が途切れた先には実際に水が出る井戸が設置されている。
開演前には、客電が明るいうちからアパートの住人が舞台に登場し、関西弁でおしゃべりしながら洗濯をしたり、下着姿の女と裸の男が駆け回って大騒ぎしたり、三輪自動車が線路の上を走ってきたりすることで、猥雑な空気を醸し出す。冒頭、白いスーツにつば広の白い帽子、白い靴といういでたちで登場したブランチは、雑多な下町において異質な存在であることをその姿により印象付けた。
沢尻は、上品な雰囲気をまといながらもどこか危うさを持つ人物としてブランチを演じる。きらびやかなドレスを着て自慢話をするブランチが、ふとした瞬間に浮かべる寂しげな表情から、沢尻はブランチの悲しい過去をのぞかせた。ポーランド系労働者のスタンリーは、ブランチの上流階級然とした振る舞いを嫌い、彼女とぶつかり合う。伊藤は、酔って暴れたり、ブランチにすごんだりする様子をワイルドに演じて粗野なスタンリー像を表現。その一方で子供のようにステラにすがる姿も見せ、その振れ幅で観客を惹き付けた。
姉ブランチとは対照的に、妹ステラは貧しい暮らしにも順応し、スタンリーとも仲良く生活している。清水は、ブランチへの心配ゆえに彼女をどう扱ったら良いかわからないステラの戸惑いを、態度や表情の変化から繊細に描き出した。またスタンリーの友人で、ブランチに思いを寄せるミッチを演じるのは
なお初日に際し、沢尻からのコメントが到着。沢尻は「素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと一緒に、鄭さんならではの世界観を表現できるように努めてきましたので、お芝居を通してさまざまな感情に浸っていただけたら嬉しいです」と意気込みをあらわにした。と観客にメッセージを送った。
上演時間は3時間15分を予定。東京公演は2月18日まで。本作はその後、22日から25日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演される。
舞台「欲望という名の電車」
2024年2月10日(土)~18日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
2024年2月22日(木)~25日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:
翻訳:小田島恒志
演出:
出演:
小野寺 誠 @media_mac
わぁ。ますます観たくなった…
【公演レポート】舞台「欲望という名の電車」開幕に沢尻エリカ「さまざまな感情に浸っていただけたら」(舞台写真 / コメントあり) https://t.co/i506aUnvC0