参加者は内容口外NG、17世紀の儀式的演劇を再現するおぼんろ初の翻訳劇「ゲマニョ幽霊」

4

152

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 53 81
  • 18 シェア

劇団おぼんろ「ゲマニョ幽霊」が、1・2月に東京都内の特設小屋“ゲマニョの芝居小屋”で上演される。

劇団おぼんろ 第22回本公演「ゲマニョ幽霊」チラシ表

劇団おぼんろ 第22回本公演「ゲマニョ幽霊」チラシ表

大きなサイズで見る(全3件)

劇団おぼんろ 第22回本公演「ゲマニョ幽霊」ラマエ・ダバースク式 呪法劇のおきてが記されたビジュアル。

劇団おぼんろ 第22回本公演「ゲマニョ幽霊」ラマエ・ダバースク式 呪法劇のおきてが記されたビジュアル。[拡大]

これは、劇団おぼんろの末原拓馬が、17世紀の東欧で活躍したとされる呪法劇作家ラマエ・ダバースクの文献を翻訳・演出し、上演するもの。“呪法劇”はかつて盛んに行われ、政治利用もされていたとされる儀式的演劇。末原は「1600年代に東欧で生まれた短い呪法劇を、特設の芝居小屋にて上演します。様々な作法や制約があるため、一般的な劇場では上演できないという判断です。『ゲマニョ幽霊』が日本で上演されることはおそらく初めてでしょう。そればかりか、おそらくは20世紀以降、世界のあらゆる場所ででも上演されたことはないのではないでしょうか。どうか、共にこの呪劇を完成させる参加者として、劇場を訪れてくだされば幸いです」と述べた。本公演の参加者は、ダバースクが文献に記したおきてに従い、開催場所と、物語の中で知り得たことの口外が禁じられている。なお、1月19日から22日までが試験公演、2月9日から26日までが本公演となる。

1月8・9日には「『ゲマニョ幽霊』稽古場見学会」を開催。稽古場見学会の申し込みは明日12月21日12:00にスタートする。末原のコメント全文は以下の通り。

末原拓馬コメント

この度、おぼんろは1600年代に残された伝説的な文献を日本で初めて翻訳し、当時の儀式を再現しようと考えています。原始の頃、世界中のほとんどの国で政治の基盤はまじないや儀式、占い、予言、によって行われていたことはご存知と思います。

その中に、神々の前で演劇を捧げると言うものがありました。

それが、呪法劇です。その上演、-芝居をやると言う儀式によって、霊的なるものを地上に降臨させ超常的な力を借りる、そんなことが実は1600年代まで続いていたそうです。錬金術などが有名ですが、科学が発達していなかった中世の世界では、今では信じられないようなことに国策として取り組んでいる国家がたくさんありました。

ラマエ・ダバースクは呪法劇が最も盛り上がりを見せていた1600年代、東欧で活躍していた呪法劇の名手でした。その実力は確かなものだったらしく、いくつもの国家がラマエを自らの国で召し抱えようと画策したそうです。

僕がラマエの物語に出会ったのは大学の文化人類学の授業でした。教授が印刷してくれた原文の数ページをみただけでしたが、戯曲というよりは儀式の説明書のような形でした。

数年経って本格的に演劇活動を始めてからもずっとラマエのことが気になり、あらゆる手段を用いて文献を探しましたが、どんな本屋、図書館を巡ってもその書籍はどこにも見つかりませんでした。何年もの間、僕は途方に暮れて諦めていましたのですが、近年、出版社などともお仕事をさせていただいている関係で、ついに1600年代に描かれたラマエの書籍にたどり着くことができたのです!

昨年の冬にこの文献を手にし、長い時間をかけて自分なりの言葉で翻訳をしました。

「ゲマニョ幽霊」はロシア・ポーランド戦争が行われた頃、ラマエが描いた物語とされています。誰が依頼主だったのか、果たしてどのようなことを成し遂げるために描かれたのか、そして、呪法と言う意味で、どのように世界に実際の影響をもたらしたのか、諸説が入り乱れ正しいことはわかっていません。

執拗なまでに研究を続ける学者たちがいる一方で、呪法劇についてはあまり知られていないことは不思議でなりません。

近年、演劇の世界で様々な体験をさせていただき、自分たちは命を賭して、一体なんのために演劇をやるのかということについて考え続けてまいりました。その、一つの答えとして、おぼんろがこの冬、1600年代に東欧で生まれた短い呪法劇を、特設の芝居小屋にて上演します。

様々な作法や制約があるため、一般的な劇場では上演できないという判断です。

「ゲマニョ幽霊」が日本で上演されることはおそらく初めてでしょう。そればかりか、おそらくは20世紀以降、世界のあらゆる場所ででも上演されたことはないのではないでしょうか。

どうか、共にこの呪劇を完成させる参加者として、劇場を訪れてくだされば幸いです。

この記事の画像(全3件)

劇団おぼんろ 第22回本公演「ゲマニョ幽霊」

2023年1月19日(木)~22日(日)試験公演
2023年2月9日(木)~26日(日)本公演
東京都 ゲマニョの芝居小屋 ※詳細は参加者のみに案内。

原作:ラマエ・ダバースク
翻訳・脚本・演出:末原拓馬
翻訳協力:前田蓮蔵
語り部:さひがしジュンペイわかばやしめぐみ、末原拓馬、高橋倫平

全文を表示

読者の反応

  • 4

@Q0gtO43etrrfg

ステージナタリー / 参加者は内容口外NG、17世紀の儀式的演劇を再現するおぼんろ初の翻訳劇「ゲマニョ幽霊」 https://t.co/ALO4dnn8Hy https://t.co/47VMlhBbSL

コメントを読む(4件)

関連記事

劇団おぼんろのほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 劇団おぼんろ / 末原拓馬 / さひがしジュンペイ / わかばやしめぐみ の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします