これは、劇団おぼんろの
1月8・9日には「『ゲマニョ幽霊』稽古場見学会」を開催。稽古場見学会の申し込みは明日12月21日12:00にスタートする。末原のコメント全文は以下の通り。
末原拓馬コメント
この度、おぼんろは1600年代に残された伝説的な文献を日本で初めて翻訳し、当時の儀式を再現しようと考えています。原始の頃、世界中のほとんどの国で政治の基盤はまじないや儀式、占い、予言、によって行われていたことはご存知と思います。
その中に、神々の前で演劇を捧げると言うものがありました。
それが、呪法劇です。その上演、-芝居をやると言う儀式によって、霊的なるものを地上に降臨させ超常的な力を借りる、そんなことが実は1600年代まで続いていたそうです。錬金術などが有名ですが、科学が発達していなかった中世の世界では、今では信じられないようなことに国策として取り組んでいる国家がたくさんありました。
ラマエ・ダバースクは呪法劇が最も盛り上がりを見せていた1600年代、東欧で活躍していた呪法劇の名手でした。その実力は確かなものだったらしく、いくつもの国家がラマエを自らの国で召し抱えようと画策したそうです。
僕がラマエの物語に出会ったのは大学の文化人類学の授業でした。教授が印刷してくれた原文の数ページをみただけでしたが、戯曲というよりは儀式の説明書のような形でした。
数年経って本格的に演劇活動を始めてからもずっとラマエのことが気になり、あらゆる手段を用いて文献を探しましたが、どんな本屋、図書館を巡ってもその書籍はどこにも見つかりませんでした。何年もの間、僕は途方に暮れて諦めていましたのですが、近年、出版社などともお仕事をさせていただいている関係で、ついに1600年代に描かれたラマエの書籍にたどり着くことができたのです!
昨年の冬にこの文献を手にし、長い時間をかけて自分なりの言葉で翻訳をしました。
「ゲマニョ幽霊」はロシア・ポーランド戦争が行われた頃、ラマエが描いた物語とされています。誰が依頼主だったのか、果たしてどのようなことを成し遂げるために描かれたのか、そして、呪法と言う意味で、どのように世界に実際の影響をもたらしたのか、諸説が入り乱れ正しいことはわかっていません。
執拗なまでに研究を続ける学者たちがいる一方で、呪法劇についてはあまり知られていないことは不思議でなりません。
近年、演劇の世界で様々な体験をさせていただき、自分たちは命を賭して、一体なんのために演劇をやるのかということについて考え続けてまいりました。その、一つの答えとして、おぼんろがこの冬、1600年代に東欧で生まれた短い呪法劇を、特設の芝居小屋にて上演します。
様々な作法や制約があるため、一般的な劇場では上演できないという判断です。
「ゲマニョ幽霊」が日本で上演されることはおそらく初めてでしょう。そればかりか、おそらくは20世紀以降、世界のあらゆる場所ででも上演されたことはないのではないでしょうか。
どうか、共にこの呪劇を完成させる参加者として、劇場を訪れてくだされば幸いです。
劇団おぼんろ 第22回本公演「ゲマニョ幽霊」
2023年1月19日(木)~22日(日)試験公演
2023年2月9日(木)~26日(日)本公演
東京都 ゲマニョの芝居小屋 ※詳細は参加者のみに案内。
原作:ラマエ・ダバースク
翻訳・脚本・演出:
翻訳協力:前田蓮蔵
語り部:
関連記事
桜 @Q0gtO43etrrfg
ステージナタリー / 参加者は内容口外NG、17世紀の儀式的演劇を再現するおぼんろ初の翻訳劇「ゲマニョ幽霊」 https://t.co/ALO4dnn8Hy https://t.co/47VMlhBbSL