昨日5月22日に、文化芸術復興基金創設に関する省庁要請ならびに記者会見が、東京・衆議院第一議員会館で行われた。会見には「演劇緊急支援プロジェクト」よりserial number / TOKYO演劇人の会代表の
「We Need Culture─文化芸術復興基金をつくろう─」を合言葉に立ち上がったこの動きは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、興行が行えず、多大な影響を受けている演劇、ライブハウス / クラブ、小規模映画館(ミニシアター)が連携し、「文化芸術復興基金構想(仮称)」を提案していこうというもの。
会見ではまず馬奈木弁護士が、「演劇緊急支援プロジェクト」「SaveOurSpace」「SAVE the CINEMAプロジェクト」の3団体が、なぜ共同でキャンペーンを行うことになったのかを説明。馬奈木は「これまで舞台芸術は舞台芸術、映画は映画、音楽であれば音楽で、そのジャンルの人たちが共に声を上げ、それぞれ多くの署名を集めて文化支援を訴えてきたと思います。でも今、それだけでは十分な救済を得ることができません。その状況を踏まえて、ジャンルを越え、文化というくくりで共に声を上げていこうじゃないかということになりました」と話す。
続けて詩森が、要請時の基調報告を行った。詩森は、従来のプログラム支援型の文化芸術支援や、5月21日に創設が発表された文化芸術復興創造基金の問題点を挙げつつ、「コロナ禍が去るまで、私たち文化人が芸術をやっていけるための環境整備や保障が必要」と強調する。さらに「文化は“命の産業”と言われます。文化を守るためには、急いで考えるべきことと、ゆっくりと考えるべきことがあります」と言い、「命の産業であるが故に、私たちの産業をスタートさせなくてはいけません。それには、瞬発力ある経済支援を、急ぎ構築する必要があると思います」と述べる。また“ゆっくり考えること”としては「今回つながった文化人同士の連携や関係を、厚みのあるものにすること。そうやって文化を育てていくことは、この未曾有の時代に社会をどうデザインしていくかという問題と、密接に関わってくるのではないかと思います」と話した。
その後、各ジャンルを代表して諏訪とスガナミ、西川が思いを述べる。諏訪は「SAVE the CINEMAプロジェクト」に多くの署名が集まったこと、プロジェクトと連携したミニシアター・エイド基金の支援金が3億3000万円を超えたことについて「こんなに映画館を必要としてくれる人がいることが、初めて可視化されました」と感慨を述べる。と同時に、文化庁が想定する支援先に、ミニシアターやライブハウスは入っているのだろうかと疑問を投げかけ、「ミニシアターが果たしている文化的な役割を認めてほしい。ミニシアターも文化施設です」と言葉に力を込めた。
スガナミは「SaveOurSpace」に多くの署名が集まり、著名なアーティストも賛同していることへの驚きと感謝を述べつつ、「ライブハウス / クラブ、ミニシアター、小劇場、劇団は、世界に羽ばたく方たちを輩出してきた場所。ライブハウスと言うと、“事業者”にカテゴライズされてしまうかもしれませんが、ミュージシャンと一緒に公演を作り上げてきた、文化の担い手でもあるんです」と思いを訴える。そして「4月の時点で潰れていったライブハウスやクラブが、すでにたくさんあります。文化が殺されないために、国には迅速な支援を求めます」と真摯に語った。
西川は、新型コロナウイルスに限らず、今後も地震や災害などで文化が多大な影響を受ける可能性があることを指摘し、「緊急的な支援と継続的な支援を、この機会に作ってほしい」と考えを述べる。「演劇の俳優やスタッフは、会社員とは違い、劇団員と言ってもほとんどがフリーランス。でもそういう人たちが日本の文化芸術を支えてきた。今こそ、この状況を大きく変えるチャンスなのでは」と話し、フランスの経済学者ジャック・アタリの「協力は競争よりも価値がある」という言葉を引用しながら、「“命の産業”という言葉が出てきましたが、コロナ禍が収束した後の社会で、高齢者や若者、子供など傷ついた人たちの心を癒やすのは文化芸術のはず。そのためにもぜひ、基金ができればいいなと思っております」と続けた。
最後にオフィス3○○ / 日本劇作家協会会長の
ゆうた @yuta1009
【会見レポート】「文化のために迅速な支援を」、音楽・演劇・映画の3団体が復興基金創設を要請 https://t.co/8hMXL8cchi