「孤高勇士嬢景清」通し上演に中村吉右衛門「今回のテーマは“執着心”」

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11月2日から25日まで東京・国立劇場 大劇場で上演される「孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)-日向嶋-」の取材会が8月23日に行われ、出演者の中村吉右衛門中村東蔵中村歌六中村雀右衛門中村又五郎が出席した。

令和元年11月歌舞伎公演「孤高勇士嬢景清-日向嶋-」取材会より。(提供:国立劇場)

令和元年11月歌舞伎公演「孤高勇士嬢景清-日向嶋-」取材会より。(提供:国立劇場)

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本作は、一門を滅ぼした源氏への復讐を志す平家の武将・悪七兵衛景清を軸に描かれた作品。今回は、景清父娘の情愛をつづった場面「日向嶋」を中心に、景清が源氏への復讐を試みる「東大寺大仏供養」、景清の娘・糸滝が廓に身売りする「花菱屋」などを取り上げ、通し狂言の歌舞伎作品として上演する。

悪七兵衛景清役を勤める吉右衛門は「実父である初代松本白鸚が、文楽の綱太夫お師匠さん、竹澤弥七お師匠さんと手を組んで、昭和34年(1959年)に試演会で上演した『嬢景清八嶋日記』、それから国立劇場でも歌舞伎として公演を重ねた作品を“もう一歩進められたら”という思いで、このたび、通し狂言で上演させていただきます」と意気込むと、「なぜ景清が目をなくしたのか、平家が討ち滅ぼされて源氏の世になっている、といった背景などもはっきりとさせて、よりわかりやすい景清像を作り出したいと思っております」と強調した。

続けて「今回のテーマは“執着心”」と述べる吉右衛門は、「執着心を払うために自分の目を失い、それでも執着心が離れずにいたとき、自分がかつて捨てた娘に出会い、その愛によって執着心が消えていきます。執着心をそっと捨てると、パッと世の中が変わったというようなことは、どなたにもあることではないでしょうか。あまり難しくお考えなさらずに、『ああ自分にもこんなところがあるな』『娘っていうのはかわいいな』と、そんなふうに観ていただければありがたいなと思っております」と付け加えた。

東蔵は自身が演じる花菱屋女房おくまについて「奉公人を無駄なく働かせる、金儲け好きのお女郎屋のおかみさんです。その花菱屋で、糸滝を日向嶋へ送り出すために、みんなでお金を集めたりするのが、非常に面白いところです」と述べ、「相手のご主人の歌六さんを尻の下に敷く、そんな夫婦のコントラストがお芝居の中では一番大切になるのではないかなと思っています」と思いを語る。

源頼朝 / 花菱屋長役の歌六は「頼朝はすばらしいお殿様で、敵方の景清が、もう一度大仏殿で挑んて来ても許すという懐の広い名君。立派な御大将ぶりができればなと思っております。女郎屋の旦那は東蔵兄さんのお尻に敷かれっぱなしで、“のっそり”と言われるくらいの人のいいおじさんです。いつもは尻に敷かれっぱなしですが、親子の情愛にひかされて、最後には娘のために一肌脱ぐという、男気も見せられればいいなと思っております」と目標を掲げた。

「父(四代目中村雀右衛門)が白鸚のおじ様で糸滝をさせていただきました」と明かす景清娘糸滝役の雀右衛門は「父は当時39歳でございましたが、私はそれよりもちょこっとだけ年齢があがっております(笑)。年齢設定は14歳でございますので、本当にかわいらしい心打つ娘の姿を精一杯勤めたいと思います」とコメント。

そして「左治太夫は今回で3回目になります」と話す肝煎左治太夫役の又五郎は、「女郎を売り買いするような人ですが、女郎屋の旦那に頼まれ、また娘の心を思い、一緒に日向嶋まで連れて行きます。そして日向嶋では父である景清の心を感じて、娘を連れて帰ります。そういう人物の性根・心根を出すことがでればいいなと思います」と決意を新たにした。

なお公演のチケット販売は10月6日10:00に開始される。

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令和元年11月歌舞伎公演「孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)-日向嶋-」

2019年11月2日(土)~25日(月)
東京都 国立劇場 大劇場

西沢一風、田中千柳作「大仏殿万代石楚」 / 若竹笛躬、黒蔵主、中邑阿契作「嬢景清八嶋日記」より
補綴:国立劇場文芸研究会

出演

悪七兵衛景清:中村吉右衛門
源頼朝 / 花菱屋長:中村歌六
肝煎左治太夫:中村又五郎
秩父庄司重忠:中村錦之助
景清娘糸滝:中村雀右衛門
花菱屋女房おくま:中村東蔵
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