演劇人の稽古着コレクション、略して「ケイコレ」では、アーティストたちの舞台上では観ることのできない稽古場での姿を日記形式でお届け。多彩な舞台人たちが、こだわりがギュッと詰まった稽古着ファッションを紹介するほか、おしゃれだと思う共演者、手に入れたい稽古アイテム、出演作の見どころなどを教えてくれる。
第32回は、身体性の高さを生かした、気迫あふれる芸で観客を魅了する
Day1
我が家のオリジナルの浴衣で、私がデザインしました。私、天王寺屋の家紋の鷹の羽八ツ矢車の鷹の羽の中にローマ字で「Tennoujiya」と書いてあるのがポイントです。特にお気に入りの稽古着です。私は江戸風で帯の手を右で締めますが、関西は左です。
Day2
今日は藤間の宗家がご覧になるお稽古でしたので、宗家の藤の浴衣にいたしました。この浴衣は綿絽になっていて、涼しいです。この写真は連獅子後ジテの毛を付けているところです。仔獅子なので赤い毛を付けています。
Day3
これは、我が家の替紋である杏葉桜と矢を父がデザインした浴衣です。白と紺が逆になった紺地のものもあります。これから稽古に向かうところを、楽屋にての1枚です。
稽古着におけるこだわりは?
着物は季節に合わせて素材を変え、みんながそろう下ざらい(編集注:日本舞踊におけるリハーサル)等には紋の付いているものにしています。帯は浅草、帯源さんの細幅の献上を締めています。細幅は、六世藤間宗家のお好みで、父もそうしており、その格好良さは僕もこだわっているポイントです。
「稽古着おしゃれだな!」と思う共演者は誰ですか?
猿之助のお兄さんをはじめ、皆様こだわりを持った稽古着をお召しになっています。特に夏は、それぞれの家の紋にちなんだ柄の浴衣などをお召しになり、素敵だなあと思います。
いつか手にしたい憧れの稽古アイテムは?
いつか手にしたいものは、お稽古場です!! 獅子の毛も振れる大きさの、自分の所作舞台の稽古場を持つのが私の夢です。
「市川猿之助 春秋座特別舞踊公演」で、特に注目してほしいのはどんなところ?
猿之助のお兄さんと一緒に踊らせて頂きたいという念願がかない、私自身とても楽しみです。澤瀉屋の家の「連獅子」は、特に仔獅子が躍動的な振りになっています。勢いのある仔獅子を勤めたいと思います。
プロフィール
1999年、東京都生まれ。天王寺屋。五代目中村富十郎の長男。2001年「石橋」の文珠菩薩役にて、中村大の名で初舞台。2005年「鞍馬山誉鷹」の牛若丸役で、初代中村鷹之資を披露。2002年に「彦山権現誓助剣」の弥三松で国立劇場優秀賞、2011年に「元禄忠臣蔵」の細川内記で国立劇場奨励賞を受賞。歌舞伎作品のほか、2016年公開の映画「
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たのつく @tanotukuhito
とうかぶ同田貫推しに届け!
自らデザインした浴衣でクールに決める中村鷹之資 | ケイコレ〜稽古着ファッションをお届け〜 Vol.32 https://t.co/9qilLaAVT4