これがMONO NO AWAREの“本当のサーカス”、人力で届けた予測不能なエンタテインメント

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MONO NO AWAREのワンマンライブ「波止場大サーカス」が5月30日に東京・Spotify O-EASTで開催された。

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」の様子。(Photo by Risa Nishimura)

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レディース&ジェントルメン!

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」集合写真(Photo by Risa Nishimura)

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2022年に続いて2度目の開催となった「波止場大サーカス」は、舞台演出にGROUPNを迎える特別な公演。今回も人力にこだわったさまざまな仕掛けや演出がふんだんに取り入れられた。

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」の様子。(Photo by Risa Nishimura)

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開演前の会場では海鳥の鳴き声や波の音が流れ、満員の観客が期待をふくらませる。定刻過ぎ、玉置周啓(Vo, G)の「せーの」の声に続き、ステージの紗幕にクラシックギターを弾く人物のシルエットが大写しに。そのまま玉置が「忘れる」の弾き語りを始めた。やがて紗幕の影は3人に分裂し、それぞれの自由なダンスにフロアから歓声が上がる。「井戸育ち」「LAST」「イワンコッチャナイ」「テレビスターの悲劇」を交えつつ「忘れる」を歌い上げた玉置が、「レディース&ジェントルメン! ようこそ、波止場大サーカス!」と叫ぶと同時に紗幕が落下。すっきりとしたステージで1人ギターを掻き鳴らす彼に会場中から大歓声が送られた。

ピエロが野菜をこれでもかと

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」より、「イニョン」パフォーマンスの様子。(Photo by Risa Nishimura)

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MONO NO AWARE「波止場大サーカス」より、「イニョン」パフォーマンスの様子。(Photo by Risa Nishimura)

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そんなオープニングを経て、四つ打ちのビートが鳴り響く。すると台の上でドラムを叩く柳澤豊(Dr)が人力でステージへ運び込まれ、それに続いて竹田綾子(B)と加藤成順(G)も演奏しながら登場した。観客を踊らせた「もうけもん」ののち「イニョン」の演奏が始まると、ビジョンに映っていた青空からは雨が。しっとりと演奏するMONO NO AWAREの間をぬって傘をさしたダンサーがステージを行き交い、はかない世界観を表現した。

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」より、「野菜もどうぞ」パフォーマンスの様子。(Photo by Risa Nishimura)

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大量の“野菜”が跳ねるフロア。(Photo by Risa Nishimura)

大量の“野菜”が跳ねるフロア。(Photo by Risa Nishimura)[拡大]

迫力のあるコーラスワークの「野菜もどうぞ」では、ピエロが野菜型の風船をステージからフロアへこれでもかというほど投下。「野菜は美味しいから食う」と玉置が歌う頃には、フロアには大量の風船がせわしなく跳ねる珍しい光景が広がった。夕焼けのようなライトがメンバーを照らした「アングル」の次に配されたのは「同釜」。熱狂を誘う長尺アレンジのアウトロで、1人のピエロがステージ背後のセットをぶち破るセンセーショナルな逃避行を繰り広げた。このように凝った演出とダイナミックな演奏、MONO NO AWAREらしい遊び心が融合したステージが展開され、「次はいったい何が起こるのか?」と絶え間なく観客の胸を高鳴らせた。

玉置周啓は“玉”の中

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」より、「me to me」パフォーマンスの様子。(Photo by Risa Nishimura)

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ざぶん、と海に潜る映像からつながった「幽霊船」では、観客が奇妙な水中の冒険へと誘われる。クライマックスで恐ろしい生物がビジョンに次々に映し出され、楽曲の持つおどろおどろしさに拍車をかけた。「me to me」ではステージを見つめる観客を、すさまじい圧で見つめ返してくる大量の“目”が出現。その目が鳥の姿を捉えたかと思えば、滑空する鳥の視点のような映像に切り替わり、「異邦人」の疾走感を加速させる。ラストには鳥の羽根を模した紙吹雪が観客の頭上に舞い散った。

逆さになっても早口言葉を唱え続ける玉置周啓(Vo, G)。(Photo by Risa Nishimura)

逆さになっても早口言葉を唱え続ける玉置周啓(Vo, G)。(Photo by Risa Nishimura)[拡大]

大人3人に担がれながらギターソロを弾く加藤成順(G)。(Photo by Risa Nishimura)

大人3人に担がれながらギターソロを弾く加藤成順(G)。(Photo by Risa Nishimura)[拡大]

リアルタイム映像が投影された「東京」のあとには、玉置が姿をくらます。そのまま「かむかもしかもにどもかも!」の演奏が始まり、歌声の発信源を探して観客が周囲を見回していると、サブステージからウォーターボールに入った彼が再登場しフロアにダイブ。早口言葉を繰り出しながら観客の上を転がり、場内を盛大に沸かせた。ステージに戻り、“透明の玉”を脱いだ玉置は息を整えながら「すべてが皆さんのおかげです。本当に支えてくださってありがとうございます!」とダブルミーニングで感謝の思いを伝えた。そしてライブ終盤、「風の向きが変わって」でエモーショナルな空気を広げたMONO NO AWARE。温かな旋律の「88」では加藤が大人3人に担がれながら情緒あふれるギターを轟かせた。見どころ満載のライブは「そこにあったから」でフィナーレへ。ぐねぐね踊るチューブマンとカラフルな紙吹雪がステージを華やかに彩った。

すべてレディース&ジェントルメンのおかげ

新たなツアーを発表するMONO NO AWARE。(Photo by Risa Nishimura)

新たなツアーを発表するMONO NO AWARE。(Photo by Risa Nishimura)[拡大]

アンコールにて、MONO NO AWAREは最新曲である軽快なナンバー「花粉」をライブ初披露。玉置はコロナ禍の影響でさまざまな制限があった前回の「波止場大サーカス」を振り返り「あのときは50%しかお客さんを入れられず声出しも禁止でしたし、今日、本当のサーカスを開催できました。それもすべてレディース&ジェントルメンのおかげです。ありがとうございました」と感謝の言葉を口にする。さらに東名阪ツアーを開催すること、新作音源を制作中であることを発表しファンを喜ばせた。

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」の様子。(Photo by Risa Nishimura)

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」の様子。(Photo by Risa Nishimura)[拡大]

「ただ何も考えずに楽しくやりたいというのがこのライブの狙いでした。いつもと違う感じで楽しかった。数年に1回やりたいですね!」と言い放った玉置の曲振りで、最後にお祭りナンバー「水が湧いた」のパフォーマンスへ。本公演を彩ったキャスト一同が打楽器を叩きながらステージに勢ぞろいし、観客にも打楽器が渡される。そして“五つ打ち”のリズムで会場がひとつになり、特別な一夜は幕引きとなった。

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」の様子。(Photo by Risa Nishimura)

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」の様子。(Photo by Risa Nishimura)[拡大]

本公演の模様は映像作品化される予定とのこと。詳細は追ってアナウンスされる。またMONO NO AWAREは新たなツアーで9月26日に大阪・梅田CLUB QUATTRO、27日に愛知・名古屋CLUB QUATTRO、10月8日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でライブを開催。チケットぴあでは、6月8日23:59までチケットのオフィシャル1次先行予約を受け付けている。

セットリスト

MONO NO AWARE「波止場大サーカス」2025年5月30日 Spotify O-EAST

01. 忘れる(Acoustic ver.)
02. もうけもん(Intro long ver.)
03. イニョン
04. 野菜もどうぞ
05. アングル
06. 同釜(Long ver.)
07. 幽霊船
08. me to me
09. 異邦人
10. 東京
11. かむかもしかもにどもかも!
12. 風の向きが変わって
13. 88
14. そこにあったから
<アンコール>
15. 花粉
16. 水が湧いた

公演情報

MONO NO AWARE「ONEMAN TOUR 2025」

2025年9月26日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
2025年9月27日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2025年10月8日(水)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

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しふ @shifo_gnu0228

振り返ったらお野菜いっぱい飛んでたのめっちゃ可愛かった https://t.co/cQZb4xF78N

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