初の武道館公演の続編は“プロテストライブ”
「電脳演奏監視空間 ゴースト」は2018年に東京・日本武道館で行われたライブ「朗読演奏実験空間 新言語秩序」の続編。「新言語秩序」では言葉が“検閲”される世界を舞台にしたストーリーが多彩な演出を通じて表現された。本公演は大きな話題を呼び、2020年には第23回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門の優秀賞を受賞した。
amazarashiは今回の横浜アリーナ公演に向けて制作した楽曲を収録したコンセプトアルバム「ゴースト」を4月9日にリリース。アルバムの楽曲と収録曲のミュージックビデオなどを通じ、「電脳演奏監視空間 ゴースト」の世界の一端をファンに垣間見せてきた。今回の公演で展開されたのは、言語を検閲する組織「新言語秩序」の一員として巨大な実験船オーバーマインド号に乗った言語研究者・ひまわり、そして彼と行動をともにする人物・イーアの物語。開演時刻を迎えた横浜アリーナを緊張感が満たす中、場内アナウンスは検閲に対抗する組織・言葉ゾンビによる“プロテストライブ”の開幕を告げ、場内の明かりが落とされた。
新言語秩序と言葉ゾンビの攻防戦を表現した演出
アリーナの中央には円形のセンターステージが鎮座し、その周りを円柱型の半透過LEDスクリーンが取り囲む。LEDスクリーンにはひまわりとイーアが新言語秩序の機密を暴く“告発ファイル”が展開されるが、それを妨害するように新言語秩序を司る高度AI・領導者が現れた。プロテストライブの参加者であり言葉ゾンビに賛同する観客たちは自らのスマートフォンにインストールした専用アプリ「ゴースト」で領導者による妨害を阻止。混乱の中でamazarashiはライブの開幕を告げる1曲目「君のベストライフ」のエモーショナルなアンサンブルを奏でる。歌い終えた秋田は「『ゴースト』横浜アリーナ! 青森から来ました、amazarashiです!」と高らかに叫び、観客の大歓声を浴びた。
その後も領導者はLEDスクリーンに強制介入を続け、楽曲の歌詞を検閲するかのように禍々しい自らの映像を重ねる。さらに前作「新言語秩序」の登場人物でもある言葉ゾンビの首謀者・和嶋希明が行ってきた数々の反社会的活動を監視映像を通じて開示するが、それに対抗するようにamazarashiの力強い演奏は続いていく。観客が掲げたスマートフォンのライトはアプリによる自動制御で幾度も輝き、領導者を攻撃する光の波のようにステージを照らした。領導者の介入が弱まったタイミングで告発ファイルは次々と開かれ、オーバーマインド号の中枢に隠された秘密、そしてひまわりとイーアの驚嘆すべき関係性、公演タイトルとなった“ゴースト”の正体も明らかになっていった。
楽曲を通じて描いた2人の運命、選んだ道
緻密な世界観と演出が見どころとなった「電脳演奏監視空間 ゴースト」だが、もちろんamazarashiによる芳醇なサウンドもその世界の大きな柱の1つ。オーディエンスをオーバーマインド号へと引きずり込むように始まった1曲目「君のベストライフ」を皮切りに、多彩なサウンドが特徴となった「ゴースト」の収録曲の数々で観客を沸かせる。ポジティブさを感じさせる轟音のギターが印象的な「黎明期」、中村武文(B)のダイナミックなベースラインが横浜アリーナに轟いた「小市民イーア」といったナンバーでロックバンドとしての存在感を堂々と見せつける一方、「収容室」ではストーリー展開ともリンクした哀切なボーカルで観客の心をつかんだ。
「ゴースト」の収録曲以外にも、過去の楽曲が効果的な場面で披露される。ライブ序盤で初めてオーディエンスのスマートフォンが力強く輝き場内にどよめきをもたらした「光、再考」、ひまわりが過去に犯した愚行の数々が暴かれる中で、少年時代の痛みと悲しみを表現した「ロストボーイズ」など。秋田がアジテートするように「スターライト」の口上を述べ始めると大歓声が起こり、観客の興奮も高まる。新言語秩序とオーバーマインド号の秘密を暴いたひまわりとイーアが“自分自身を生きる”手段としてそのすべてを世の中に告発する道を選び、「ゴースト」の物語はいよいよ終幕へ。ラストナンバー「ゴースト」が神々しく奏でられ、秋田は2人を送り出すように「今日が僕のバースデイ」という歌詞を高らかに歌い上げた。
全17曲の演奏が終了し、会場全体が「ゴースト」の世界から現実に戻ろうとする最中、LEDスクリーンには秋田と言葉ゾンビの首謀者・希明の関係性を匂わせる“機密情報”がわずかに映り、ライブの終演後も観客の間での議論や考察を巻き起こす形となった。場内の静寂の中、スクリーンにamazarashiのロゴが現れると観客は我に返ったように拍手を送り、今度こそ現実の世界へと帰還を果たした。
終演後、専用アプリ「ゴースト」ではひまわりとイーアが送信した全5章の告発ファイルと2人の関係性を解明した検閲ファイル、そして秋田が今回の公演の裏側に隠した思いをつづったメッセージなどが公開された。なお「電脳演奏監視空間 ゴースト」の模様は6月29日にCSテレ朝チャンネル1で放送されることが決定している。
セットリスト
amazarashi「電脳演奏監視空間 ゴースト」2025年4月29日 横浜アリーナ
1章
01. 君のベストライフ
02. ナイトメア
03. 黎明期
04. 光、再考
2章
05. 小市民イーア
06. ムカデ
07. どうなったって
08. 痛覚
3章
09. 収容室
10. ロストボーイズ
11. アンチノミー
12. 未来になれなかったあの夜に
4章
13. おんなじ髑髏
14. 僕が死のうと思ったのは
15. スターライト
16. アンアライブ
5章
17. ゴースト
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Faf @fafmeta
@natalie_mu amazarashiの初横浜アリーナ公演、めっちゃ感動!😭 「電脳演奏監視空間 ゴースト」で自分を生きた“ゴースト”の物語を熱演!🎸 セットリストと10枚の写真で熱気がビシビシ!🔥 みんなの推し曲は? #helevier #sstvi #zelena #bbvipal4 #GrandeFratello #BBB25 #trump2028 #amazarashi #横浜アリーナ