狂おしいほどの歓声を浴びてメンバー登場
結成35周年を記念した本ツアーは1989年の結成当初から2000年の「終幕」に至るまで、LUNA SEAが刻んできたすべての時代をひと息に駆け抜けるもの。このうち「EPISODE 1」「EPISODE 2」では、LUNA SEAの歴史を彩るアルバム「MOTHER」「STYLE」「SHINE」「LUNACY」「IMAGE」「EDEN」の再現ツアーが行われた。そして9月に始まった「EPISODE 3」ではバンド結成当初の表記である“LUNACY”名義による黒服限定GIGが各地で催され、会場には黒尽くめのSLAVE(LUNA SEAファンの呼称)が集結した。
LUNA SEA史上最多の全41公演の本ツアーを締めくくる公演が始まると、SLAVEたちによる狂おしいほどの歓声がメンバーをお出迎え。SUGIZO(G, Violin)、INORAN(G)、J(B)、真矢(Dr)が暗いままのステージで定位置に着き、INORANが低くギターを構えてクリーンサウンドのカッティングを鳴らし、そこにSUGIZOのメタリックなギターサウンドが重なる。RYUICHI(Vo)がセンターに向かい、1曲目「SEARCH FOR REASON」を歌った。1992年発表のメジャーデビューアルバム「IMAGE」の収録曲であるこの曲の演奏は前半パートで終わり、2曲目に1991年発表の1stアルバム「LUNA SEA」から人気曲「PRECIOUS...」が投下される。「あの時には戻れない」というフレーズが印象的なこの曲を、RYUICHIは30年以上歌い続けてきた。結成から35年を経て、今なおまばゆい光をステージで浴びて熱いパフォーマンスを見せる5人に、観客は惜しみない声援を送る。その盛り上がりはライブ序盤にしてクライマックスかのような熱狂ぶりだった。
レア曲を惜しみなく披露
その後も活動初期のナンバーを中心にしたセットリストが展開された。LUNA SEA楽曲の中でも群を抜いてテンポの速いコアなナンバー「SYMPTOM」で狂気的なRYUICHIのシャウトがこだまする。激しさの中にも綿密さが光る楽器隊のアンサンブルは現在にも通ずるLUNA SEAらしさに満ちていた。さらに彼らは激しい始まりから、SUGIZOがバイオリンを奏でるバラードに展開するナンバー「SUSPICIOUS」などを披露。「SUSPICIOUS」はデモテープに収録されているレア曲だ。
15分間の休憩を挟み、後半パートはDEAD CAN DANCEの「Ocean」をBGMに幕開け。黒魔術の儀式かのようなダークかつ神聖な雰囲気の中、真矢のドラムソロが始まった。真矢は千手観音のような手さばきでドラムを激しく叩き、スティックを天高く放り投げると、「もっと来いよー!」とおなじみの煽りを入れる。「LUNA SEAの故郷、神奈川はこんなもんじゃないだろ!」と煽りを重ねたところで、「でもみんな、すごいんですよ?」とファンを褒め称える。そして「今日は長い長いツアーのファイナルだからよ! 悔いのないようにこれから全開でいこうぜ! いけるか! お前ら最高にカッコいいぞ!」と叫んでから、鋭いビートを刻みつける。メンバーが合流し、流れるように「MECHANICAL DANCE」へとつなげた。
「みんなの壊れた姿をもっと見たい」
RYUICHIは来年2月22日にGLAYとのツーマンライブ、翌23日には約14年ぶりの東京ドームでの単独公演を行うことを告知した。この先の楽しみにも触れつつ、「そこに向かっていく中で、みんなの壊れた姿をもっと見たいんだよね。輪を作りながら、愛を深めながら、熱く燃えてほしい。皆さんいかがでしょうか?」と静かに語った。そして「お前らいけるか!」とギアを上げて観客を煽り、デモテープにしか収録されていないレア曲「KILL ME」を投下した。LUNA SEAはさらに「TIME IS DEAD」の原曲「SEXUAL PERVERSION」も演奏。SUGIZOがステージの真ん中でスポットライトを浴び、“セカンドボイス”と称されるギターソロを決めた。
「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」で向かい合ってギターを弾くSUGIZOとINORAN。SUGIZOがINORANに“顎クイ”をし、INORANがSUGIZOに投げキッスをするといったファン歓喜の絡みもありつつ、終盤に向けてパフォーマンスの激しさが増していく。Jによる強い歪みのベースフレーズで「CHESS」が始まり、メンバーは一心不乱に演奏。今なお尖ったパフォーマンスを見せるLUNA SEAの姿がそこにはあった。そしてラストに「SEARCH FOR REASON」の後半パートが届けられ、ライブ本編が終了した。
5人が思い語ったアンコール
アンコールでメンバーはツアー完走を祝福するフラッグを掲げた。RYUICHIが「飛ばしていこうか!」と気合いを入れ直したところでLUNA SEAは「SHADE」「Déjàvu」を演奏。MCではメンバーがそれぞれ挨拶をした。真矢は「ツアーでこれだけ多くの場所を回ってきたけど、回り切れたことがうれしいんじゃなくて、全箇所にみんながいてくれたことが俺たちの誇りです! ここは神奈川だから言うけど、秦野駅の駅メロをLUNA SEAの曲にしようと署名活動をしてくれる仲間がいて! 神奈川県をLUNA SEAで染めようぜ! 来年の2月はさ、東京を、そして日本をLUNA SEAで染めようぜ!」と思いの丈をファンにぶつけた。Jは「35周年ツアーの1カ所1カ所で、自分たちの作った曲を改めて演奏して、一緒に燃え上がれる。俺たちは本当に幸せなバンドだと思います。1本1本景色が違って、学ぶことがあった。刺激いっぱいのツアーが終わりを迎えると思うと、寂しい思いやたくさんの感謝、いろんな感情が渦巻いてあまり言葉にできません。どうもありがとう!」、INORANは「ホントに寂しい。このツアーで季節が3つ過ぎました。地方にも行ったし、何年ぶりの場所もあって。俺は決めたの。何をしたかとかじゃなくて、誰といたかなんで。このメンバー、40人50人いるスタッフ、そしてお前らに心から感謝を申し上げます! そして東京ドームで誰といたいか。俺はお前らといたいからさ! 絶対来いよな!」とそれぞれ話した。
さらにSUGIZOは「『EPISODE 3』は終わるけど、俺たちの旅は来年2月まで続く。グランドファイナル・東京ドーム。全員の顔が見たいから、全員の顔を覚えて帰るからこのストーリーの続きを一緒に体験しましょう。『SHADE』で『この苦しみを呉れてやる この悲しみを呉れてやる』と歌っていますが、その心は『この喜びをくれてやる この幸せをくれてやる』と認識していてほしい。心から愛しています」と愛を伝えた。RYUICHIはマイクを使わずに「愛してるよ!」と叫んだあと、このツアーを支えたスタッフに感謝の言葉を述べ、観客とともに拍手を送った。そして「神奈川県、全員でかかってこい!」とシャウトし、「WISH」のタイトルコールをした。
「次は東京ドームで会おうぜ!」
「WISH」では銀テープが舞い、明るいライトが客席をも照らし出す。メンバーはオーディエンスとのコミュニケーションを楽しむようにパフォーマンスを繰り広げ、SUGIZOはフロアに降りてギターソロを弾いた。大団円を迎え、メンバーがステージ中央で締めの挨拶をしようとしていると、すさまじいアンコールの声が。5人は輪になって言葉を交わし、特別にダブルアンコールに突入した。そしてLUNA SEAはバンドの扉を開いた曲である「FATE」をラストに届け、ツアーを締めくくった。Jが「次は東京ドームで会おうぜ!」と話し、LUNA SEAはSLAVEたちとの東京ドームでの再会を約束。RYUICHIが「愛してるぜバイバーイ!」と叫び、最後にSUGIZOが深々と頭を下げ、ツアーの幕を閉じた。
セットリスト
「LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 3-」2024年11月15日 神奈川県民ホール
01. SEARCH FOR REASON(前半)
02. PRECIOUS...
03. SLAVE
04. BRANCH ROAD
05. SYMPTOM
06. SANDY TIME
07. SUSPICIOUS
08. LASTLY
09. MECHANICAL DANCE
10. KILL ME
11. SEXUAL PERVERSION
12. BLUE TRANSPARENCY
13. CHESS
14. SEARCH FOR REASON(後半)
<アンコール>
15. SHADE
16. Déjàvu
17. WISH
<アンコール2>
18. FATE
公演情報
The Millennium Eve 2025
2025年2月22日(土)東京都 東京ドーム
<出演者>
LUNA SEA / GLAY
LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE- LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG-
2025年2月23日(日・祝)東京都 東京ドーム
KEIKO TANABE @KeecoRoma
写真からもわかる一際ダークだったツアーファイナル!撮影しました📸 https://t.co/pvenfQYuRV