国内ではライブハウスからアリーナまでくまなく駆け抜け、ハワイや韓国で初の海外公演開催、大型タイアップのリリースも連発と、充実の時を過ごしている2024年のUVERworld。その締めくくりとなるのが、王道と新機軸をミックスした強力なシングル「MMH」「PHOENIX」の2作同時リリースだ。「MMH」はテレビアニメ「七つの大罪 黙示録の四騎士」第2期オープニングテーマとして、「PHOENIX」は「劇場版 ACMA:GAME 最後の鍵」の主題歌に使用され、すでにライブでも披露済み。新曲にもかかわらず、各地でとんでもない熱狂を巻き起こしていると聞く。
音楽ナタリーでは、全国ツアー「NO ENEMY TOUR」で各地を回っているTAKUYA∞(Vo)にインタビュー。新曲について、バンド内の状況について、そして来年のアニバーサリーについて、無敵の道を走り続ける男の胸の内を聞いてみよう。
取材・文 / 宮本英夫撮影 / 刈馬健太
日本各地を回り、海外に何度も飛んだ2024年
──現在ツアー中ですね。調子はどうですか?
めっちゃいいですよ。
──2024年はライブに制作にと充実していたと思いますが、どんなバランスの1年になっていますか?
とにかくいっぱい歌いましたね。メンバーと一緒に海外に行って、曲を作ったり、マスタリングをしたり、韓国で初めてライブをしたりといろいろありましたけど。でも本当に普段から、やっぱり歌うことがどんどん楽しくなってきて、より一層ライブが好きになってきています。
──メンバーと行った海外は、新たな刺激になりましたか?
本当に気心の知れた幼馴染みの仲間たちですから。韓国、ハワイにライブで行ったのと、あとイギリスにマスタリングと曲作りで行き、フランスにはメンバーと一緒に遊びに行って。刺激というよりは、シンプルに楽しかったですね。
──前作の曲作りの期間に、アメリカのロサンゼルスやスウェーデンのストックホルムに行ったりと、現地のクリエイターとコライト(共作)するということを近年のUVERorldは積極的にやっていますよね。とてもフットワークが軽くなったというか、視野が世界レベルになったというか、そういう感覚があるのではないかと思っています。
場所はどこであろうと、という思いはもちろんあります。世界は広いですけど、1日かければどこにでも行けるので、どこもかしこも近いですし。みんなで行ってみたい場所には、これからどんどんメンバー、スタッフと行きたいと思っています。
リリース前から熱狂を生む新曲「MMH」
──バンドは今、とてもいい状況に見えます。そして2024年のリリースを締めくくる2作のシングルが目の前にあります。「MMH」とカップリング「WINGS ever」、それから「PHOENIX」とカップリング「Countdown(feat. JUNG YONG HWA from CNBLUE)」の計4曲について、1曲ずつお聞きします。まず「MMH」は、どんなふうに作っていった曲ですか?
ライブをイメージしながら曲を作ることがほとんどなんですけど、ライブの肝になるような、激しいロックテイストな曲が欲しいなと思って作り出した頃に、「七つの大罪 黙示録の四騎士」のオープニングテーマの話をもらって。この世界観にも合うような曲で、僕たちのライブで一番盛り上がる、沸点の高い、希望を与える場所になれるような曲というものを、自分の中で考えて作りました。
──歌詞、メロディが先ですか? それとも全体のサウンドイメージ先行ですか?
サウンドのイメージが一番早かったと思います。
──インスピレーションとして、頭の中に浮かんだものを形にしていった?
そうです。まず前奏を作って、そこから流れていくように激しいメロディと、そこからどうやってサビに行こうかな?ということをいろいろ考えて。トラックはもう、サクッとできましたね。
──その原型になるイメージをメンバーに伝えて、そこから肉付けしていったと。
いえ、メンバーには特に何も伝えないです。ただ聴かせるだけ。で、向こうは「なるほど」と言ってくれるときもあれば、「これはどうしたらいい?」と質問してくるときもある。その場合は「こういう感じで」と伝えることもありますけど、今回は全員が「ああ、こういう感じね。OK、激しくいこうね」という感じだったので、よかったですね。
──激しく、攻撃的で、なおかつメロディアス。特に強調したいのはボーカルのバリエーションで、Aメロの冒頭から強烈にガナる発声で度肝を抜いて、あとはメロディ、ラップ、静かに歌うところとか、歌がどんどん変わっていくのが圧巻です。ボーカルのフロウや発声方法は、あらかじめ考えて作っていくんですか? それとも、ひらめきですか?
ひらめきですね、もう。だからちょっと無理する部分もありますし。そのAメロのところもそうで、これはもう曲に呼ばれました。「この曲がこういうふうになってほしがっている」みたいな。
──すでにライブで披露しているんですよね。反応はどうですか?
もう、めちゃくちゃ盛り上がります。「本当にリリース前か?」と思うくらい。みんな、アニメで流れている部分をよく聴いてくれているんだと思います。ショートバージョンが今の段階でダウンロードできますけど(※取材は11月上旬に実施)、めちゃくちゃ盛り上がってますね。
──UVERworldの「七つの大罪」とのタイアップは、これで3曲目になります。アニメの内容との関連性において、特に歌詞の面で意識した部分はありますか?
それぞれのキャラクターの名前も出てきてますし、ここまでちゃんと作品の世界観に寄り添えば、このアニメが楽しみでオープニングを観られる方も曲を楽しめると思います。
──間違いないです。
やっぱりタイアップをいただくなら、その相乗効果というものが重要なので。今まで自分も好きな映画とかアニメとかそういう作品との相乗効果で、曲をどんどん好きになったこともありましたし、とても大事だと思っています。自分たちの好きなものをただ提示するというよりも、しっかりと寄り添って相乗効果を生む楽曲というものが今回はできたと思います。
──信頼関係ですね。UVERworldなら絶対大丈夫だろうと。そしてタイトルの「MMH」ですけど、これはいったい?
“Meta Matrix Hacker”(メタ・マトリックス・ハッカー)の頭文字で「MMH」ですね。
──メタ=超える、マトリックス=基盤、母体、そしてハッカー=現状のシステムを突破していく者、というイメージで捉えると、歌詞の世界観がより鮮やかに見えてくる気がします。ライブで体感するのが楽しみです。ちなみに、「Meta Matrix Hacker」にはどんな意味を込めたんでしょうか?
今はAIとか、いろんなものが人間を超えていく中で、人の心というものをこの音楽で発していく、というイメージで作った造語ですね。
ロンドンで作られた「WINGS ever」
──カップリング「WINGS ever」の話に行きましょう。これはどのように作っていった曲ですか?
この曲はイギリス・ロンドンで作りました。僕が一番に現地に到着したこともあって、メンバーとの合流を待つ間と、あとはマスタリングとかの作業の待ちの間にスタジオを借りて制作して。そのせいか、音楽的な構成が今までのUVERworldとはちょっと違ったものになったんじゃないかな?と思ってます。
──確かに不思議な個性を持つ曲だと思います。激しくカオスなパートもあれば、優しさにあふれたメロディもある。歌詞に関してはどのあたりが核になっていますか?
Aメロが僕は好きですね。1番、2番のAメロが核となって、膨らんでいった楽曲です。
──「あの傷も今となりゃ ただの落書きになった」、とてもエモーショナルな世界観だと思います。きっかけになるワードや表現は、常日頃からストックしている?
僕は完全にそうですね。歌詞のもとになるストックは本当に限りなくあって、それを抜粋していく感じです。
──歌は「MMH」と比較すると、もう少しストレートに、優しく歌っているような印象があります。
今、歌うのが非常に楽しくて、最近さらにそうなってきているので。これはロンドンで1回と、日本で1回歌って完成させました。
──この曲はギターリフがとても印象的です。シンプル、ハード、カッコいいという。
そこは彰(G)が、ほとんどのアレンジを担ってくれました。
──アレンジの細部に関しては、メンバーに託す部分が大きいですか?
そこはもう成り行きというか、自然ですね。曲にもよりますけど、明確にこうしてほしいというものがあれば、先にオーダーを出すこともあります。でもこの曲の場合、先に1コーラスを作ったあとに、その続きが全然見えていなかったので、彰が自由にやりましたね。
──ライブ感がしっかり出ている曲なので、ぜひ実際にライブで聴きたいです。この曲はもう披露済みですか?
いえ、まだやってないです。
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日本語×英語×韓国語が自然に混ざる「PHOENIX」