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サカキナオ「神退治」ジャケ写

サカキナオ 神退治

グローバルな音像に日本人ならではの歌を乗せて

文 / 矢島由佳子

NTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブと、SUPER BEAVER、sumika、マカロニえんぴつなどを擁するeggmanがタッグを組んだ新レーベル・Scrum Wave Musicより送り出す第1弾アーティスト、サカキナオ。「グローバルアーティストの発掘・育成」を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にてグランプリを獲得したサカキのデビュー曲「神退治」は、まさに日本からグローバルに届ける意識を感じさせる仕上がりとなっている。

再生した瞬間からオリエンタルな音色の旋律が鳴り響き、サビでは笛がさりげなくも重要な味付けを担い、そのあと木魚の音も混じる。和的要素を取り入れたトラックのプロデュース・アレンジを手がけたのは、MONJOE。海外のソングライターとも積極的に交流し、Number_i「BON」などで日本の象徴をグローバルトレンドの音像に落とし込みながら、日本人にしかできない歌を追求する手腕を見せている、気鋭のプロデューサー / トラックメイカーである。

「神退治」で私が特に注目したのは、サカキの歌い方。歌でグルーヴを作るためのアクセントの付け方に長けていて、「アッ」などの入れ方は、サカキが好きなアーティストとして挙げるマイケル・ジャクソンからの影響を感じさせる。そして古文要素を取り入れた日本語の歌詞を、ときに外国語にも聞こえるかのように発声しているのが面白い。それを象徴する出来事として、TikTokでサカキの投稿動画を眺めているとニヤけてしまうことが起きた。サビ頭の「神退治」という言葉を、自動字幕起こし機能が英語と認識し、画面に「come easy」と表示されたのだ。「come easy」の意味は曲全体のテーマとも重なり、ダブルミーニングを意識したうえでのワードチョイスと歌い方であったのかどうか……それは本人のみぞ知るところ。

サカキナオ「神退治」MV

サカキナオ「神退治」
2024年10月30日(水)配信開始 / Scrum Wave Music
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作詞・作曲:サカキナオ
prod. & arrange:MONJOE

サカキナオ(サカキナオ)

サカキナオ

シンガーソングライター。eggmanとNTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にて、2024年1月に初代グランプリを獲得。プロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより、第1弾シングル「神退治」を10月に配信リリースした。