KEMURI初の無観客配信ライブで団結「またみんなで一緒に盛り上がれる日が来てほしい」

KEMURIが昨日8月13日にに東京・新宿LOFTで無観客ライブ「"KEMURI" at SHINJUKU LOFT～SHUKUSAI～」を行い、この模様がライブナタリーの視聴サイトで生配信された。

「"KEMURI" at SHINJUKU LOFT～SHUKUSAI～」はKEMURIにとって初の無観客配信ライブ。バンドの結成25周年を祝うワンマンツアーの開催やニューアルバム「SOLIDARITY」の発売が新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されたことを受け、ライブナタリーによって企画された。

この日のライブはステージ、フロアの両方でパフォーマンスが行われる無観客ならではの演出に。KEMURIと親交のある映画監督のナリオ率いる動画制作会社・東京想舎のクルーが、メンバーの表情や動きを手持ちカメラで臨場感たっぷりに捉えた映像を配信した。開演時間を迎えると、オープニング映像として新宿LOFTの入り口からフロアの扉までの道のり、そしてマスクをしたメンバーが楽屋でハイタッチの代わりに肘を突き合わせる様子が画面に映し出された。

ライブは新宿LOFTの床と同じ、市松模様のハーフパンツを着用した伊藤ふみお（Vo）の「皆さんこんばんは、KEMURIです！ 世界中のいろんなものと闘っているすべての人たちに届くように、KEMURIの音楽を鳴らしたいと思います！」という宣言でスタートした。バンドは序盤から「Broken wine glass, lonely night」「Prayer」と軽快なスカパンクナンバーを連投。シンガロングを要求するなど、目の前に観客がいるかのようなパフォーマンスを展開していった。

2019年10月に、1997年から1999年まで正式メンバーとして活動していた増井朗人 a.k.a. マッスル増井がサポートトロンボーンプレイヤーとして再びメンバーに加わったKEMURI。これを受けて、バンドはライブ中盤でホーン隊のメロディをアレンジした「I Love You」を増井と共に披露。穏やかなリズムに明朗なホーンの音色を重ねて、ゆったりとした雰囲気を醸し出した。

今回のライブのハイライトとなったのは、“団結”を意味するタイトルが冠されたニューアルバム表題曲「SOLIDARITY」のパフォーマンス。シンガロングパートが随所に配されたこの曲で、7人は息の合った演奏を視聴者に届けた。伊藤はMCで新曲について「こんな状況になる前から作っていた曲なんですけど、いつの間にか今の状況にぴったりな曲になりました。世界中の人が力を合わせなきゃいけないんじゃないかなという気がしています」と語った。

ライブ終盤には「Ato-Ichinen」をはじめとしたアッパーなナンバーが畳み掛けられた。バンドが結成当初から掲げているテーマ“PMA=Positive Mental Attitude=肯定的精神姿勢”が表現された楽曲「PMA（Positive Mental Attitude）」では、伊藤がカメラに向かって身振り手振りを交えながら高らかに歌い、7人は躍動感あふれるパフォーマンスを展開した。その後伊藤は今回のライブについて、「正直最初はみんな乗り気じゃなかった。お客さんのいないライブってどうなんだ？という思いがあったから」と、無観客ライブに対して不安を抱いていたことを明かした。しかしその後「メンバーみんな、本当にやってよかったと思っています」と満足気な表情を見せ、この日のライブがメンバーにとって充実した内容となったことを窺わせていた。さらに彼は視聴者やスタッフに感謝を述べたのち、「音楽ってアーティスト、会場、お客さんすべて合わせたことを指すんだって、結成して25年経ってやっとわかりました。1日も早くまたみんなで一緒に盛り上がれる日が来てほしい」と真摯な表情で語った。バンドは最後に「白いばら」を勢いよく届けてライブを締めくくった。

なおライブナタリーのサイトでは、8月16日23:59までチケットの購入およびアーカイブ映像の視聴をすることができる。