[COSA NOSTRA] 祝15周年!大充実の新作を語る
2007年9月25日 23:10
「クラブミュージック」という言葉が浸透する前の時代の1992年。クラブシーンで活躍していたDJや作曲家、選曲家、モデルといった異なるバックグラウンドを持った面々によるまったく新しいクリエイティブ集団として、メジャーデビューを飾ったコーザノストラ。1つの音楽/スタイルにドップリとハマるのではなく、さまざまな音楽のイイところだけをピックアップする。今でいう「DJ的な視点」を日本で真っ先に提示したバンドだったといえるだろう。そんな彼らは、2000年に桜井鉄太郎、長田定男、小田玲子の3人編成として再スタート。その後も旬なサウンドとリンクしながら、コンスタントに作品を届け続けている。
そして、デビュー15周年を迎えた2007年9月5日に通算13枚目のオリジナルアルバム「LIFE」が到着。野宮真貴、佐橋佳幸、KYON、宮田茂男、サエキけんぞう、岡田徹(ムーンライダーズ)など豪華ゲストを多数招き入れた今作は、ロック、ポップス、ソウル、ダンス、レゲエ、ニューウェーヴといったサウンドを柔軟なスタンスで調理した内容となっている。またニューオーリンズ・ファンクの名曲「IKO IKO」のカバーでは、オリジナル・メンバーだった鈴木桃子、佐々木潤、KANAMEの3人も参加し、ひさびさに6人勢ぞろいのセッションも聴くことができる。
今回ナタリーでは桜井、長田、小田の3人へのインタビューを敢行。新作「LIFE」を中心にデビュー15周年を迎えた現在の心境を聞いた。
クラブユニットの先駆け的存在
――今だとユニットにDJがいるのは普通ですが、コーザノストラはその先駆け的な存在でしたよね。そういったクラブの現場感覚をメジャーレーベルで発信したことは、後の世代のアーティストにもすごく影響を与えたと思うのですが。
桜井:90年代にコーザが出していた“ベリッシマ”というレーベルがあったんだけど、ケツメイシのRyoji君がすごく“ベリッシマ”に影響されたと言ってくれてる話は聞きました。あとm-floの☆Takuちゃんも「すごい聴いてました」って言ってくれて、うれしかったですね。でも、コーザってもともと何か気負いがあって組んだわけではないから、下の世代の人たちへの影響も当時はまったく考えてなかったんです。
――ケツメイシやm-floはまさしくコーザ世代だったんですね。
桜井:最近中堅どころとかベテランのミュージシャンで「昔コーザのコピーバンドをやっていた」という人に会うことも多いですよ(笑)。
――結成のきっかけは?
桜井:最初は僕がやっていたラジオ番組でDJ連中を呼んで何かやってみようとか、そういうとこから始まったんだよね。
――それが今から15年前の話?
桜井:それはもっと初期の話。今回デビュー15周年って言っているのはコーザの初期のボーカリストだった鈴木桃子さんと吉岡忍さんが加入して、メジャーレーベルに所属してから15年ということなんです。
新作「LIFE」について
――新作を聴いてまず思ったのは、小田さんのボーカルの表情がすごく多彩ということなんです。例えば1曲目の「CHERRY/REDのルーレット」と10曲目の「Beware Boyfriend」。この2曲は別の人が歌っているんじゃないかと思うくらいに違って聴こえました。
小田:コーザって桃子さんと私の2人がボ-カリストだった時代があったんですけど、桃子さんは比較的スタンダードな感じの曲を担当することが多かったんですね。でも私は特に決まったスタイルがなかったから“何でも来い! ”って感じでずっとやってきてるんです(笑)。だから曲に合わせていろんなキャラクターになって歌うのが自然と身についてる。野宮さんとデュエットした「CHERRY/REDのルーレット」は歌っていて特に楽しかった曲ですね。以前から(野宮さんとは)声が似ているっていろんな人に言われてたんです。実際デュエットしてみると確かに似てましたね。エンジニアの人もどっちがどっちかわからないって(笑)。
――アルバム3曲目の「果てしなき恋」以降は雰囲気が変わって6曲目の大貫妙子さんのカバー「都会」まで耳なじみのいいポップスが続きますよね。こういうメロディアスな部分の幅も持っているのが、コーザの面白さだと思います。
桜井:僕は(コーザでは)メロディメーカー的な立場なので、今回は自分の引き出しがどれくらいあるんだろう? という確認作業をやっていた感じはありますね。結果としてはこういったバラエティ豊かなアルバムになりました。
――そこから一転して7曲目の「BORDER DUB」はアルバム全体の流れからもちょっと異色な感じがありますよね。
長田:その曲だけに限らず、今回は全体的に好きなことをやろうっていう話をしてたんですよ。僕はDJなので、その活動を通していろんな音楽を聴いてきた中で培ったものをひとつの形に提示したいんですね。この「BORDER DUB」はあまり皆が聴いたことがないタイプだけど、クラブではもう流行っているというようなものを作ってみたんです。
――この曲はムーンライダーズの岡田さんが参加されていますね。
長田:最近クラブではクンビアっていう南米の音楽が流行ってるんですよ。ラテンをスカっぽくアレンジしたり、そこにレゲエDJを入れてダンスホール・レゲエのラテン版にしたものとか。僕はその辺の音楽が大好きなので、そういう雰囲気で面白いものができれば…、って思ってたんです。家で1人盛り上がりながらオケを作ったりしてて(笑)。で「クンビアにはアコーディオンが合う」ということになり、岡田さんに参加していただいてほとんど岡田さんと2人で作った曲ですね。
――ラストに収録されている「IKO IKO」はひさしぶりにオリジナルメンバーの方が皆さん揃ってレコーディングしたそうですね。
長田:6人集まってレコーディングしたのは6~7年ぶりかな。今回15周年ということで1曲カバーをやろうということになって、声をかけたらみんな集まってくれたんですよ。こういう機会を設けることができたのも、今回の「LIFE」というタイトルにつながるんですね。そういう皆の人生を感じるアルバムになったと思います。
――ひさびさに会っても息はピッタリでした?
小田:そうですね。それぞれ個性がバラバラだけど、絶妙なバランスで合うんですよ。
長田:あんまり間が空いた感じがしなかったよね。
小田:うん、家族というか親戚みたいな感じ。居心地がいいんですよ。
今後の展望
――15周年の区切りを機に、新しいファンの存在については意識しましたか?
小田:意識はしてます。でも若いリスナーに迎合するのも違うなと思ってて。でもコーザを知らない人たちにも聴いてほしいという思いもあるので、今回関わってくれた若いミュージシャンの人にアドバイスをもらったりはしましたね。
――アルバムができて改めてコーザノストラについて気付いたこと、見えてきたものがあれば聞かせてください。
小田:コーザは全員が楽器をやる純粋なバンドではないけど、その分得意分野がそれぞれ違っていたりするので、その全員の良さが今回は出せたんじゃないかと思います。こういう皆の力を全部出し切ったようなアルバムがまた作れればいいな。
長田:そうですね、予定調和的に終わらなかったところが良かった。本来のコーザのあるべきスピリットみたいなものがよく出たアルバムができたので、次につながると思いますね。
桜井:これからはレコーディングをもっとしたいね。音楽的には本当にいろんな切り口があるので、これからも途切れずに作品を作っていけたらいいなと思ってます。
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COSA NOSTRA「LIFE」
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