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さくら学院「歌の考古学」で仲間たちへ思い伝える、魔女っ子も登場

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尾崎豊「失くした1/2」を歌う新谷ゆづみ。

尾崎豊「失くした1/2」を歌う新谷ゆづみ。

さくら学院が3月3日に神奈川・はまぎんホールヴィアマーレで公開授業「歌の考古学」を開催した。

講師にさくら学院校長でありミュージシャンの顔も持つ放送作家の倉本美津留を迎え、毎年度末に行われる「歌の考古学」。この授業では「自分が生まれる前に発表された楽曲」という条件のもと、生徒自らが選曲した楽曲を自分なりの歌詞解釈などをプレゼンしてからアカペラで歌唱する。2018年度の「歌の考古学」は1時限目に新谷ゆづみ、日高麻鈴、吉田爽葉香、有友緒心、八木美樹、白鳥沙南、2時限目に麻生真彩、藤平華乃、森萌々穂、野中ここな、田中美空、野崎結愛が出席した。

倉本校長が指名した順番に発表を行うのもこの授業の醍醐味。1時限目の最初に指名された吉田は平成元年である1989年に発表された楽曲の中から永井真理子「ミラクル・ガール」を選曲した。自分の気持ち次第でミラクルを起こせるという歌詞に共感したという吉田は「願いを持つことで誰にでもミラクルは訪れます! 私がさくら学院に入れたことも、中3のみんなと出会えたこともすべてがミラクルです」と熱弁して、「ミラクル・ガール」を踊りながら披露した。続いて指名された有友は昨年度と同じく父のお気に入りの楽曲の中からメロディと声に惹かれたという玉置浩二「メロディー」をチョイス。「あの頃は なにもなくて それだって 楽しくやったよ」という歌詞にさくら学院として活動している自身の思いを重ね、「今はダンスも続けたいし、演技とかモデルもやりたい。でも明日急に普通の高校生になりたいと思うかもしれない。大人になって何かを成し遂げたときに『さくら学院生でよかった』と思えるように精一杯がんばります!」と話し、歌い始めた有友だったが、うまく音程が取れず一度仕切り直して改めて歌を歌った。倉本校長が父が好きな音楽をDNAのように引き継いだことに感動していると、有友は「言ってもいいですか? この話は去年もしたんですよね……」と鋭いツッコミを入れて会場を笑わせた。

有友の発表を聞いていた新谷は「すごい成長したなって……」と有友の成長に感涙。泣き顔のままの新谷だったが、倉本校長から次の発表者として白羽の矢を立てられると、ステージの中央へと向かった。新谷が選曲したのは、現在46歳の父が所有する尾崎豊のアルバムをこっそり聴いて“心に電気が走った”という「失くした1/2」。もともと1980年代の文化に興味があり年季の入った見た目から尾崎のアルバムを手にとったという彼女だが、「失くした1/2」は今まで聴いてきた曲の中で一番気に入った楽曲になったそうだ。新谷は歌詞から自分の選んだ道を信じて歩んでいくことの大切さを感じたこと、歌詞の中にさくら学院の最新アルバムのタイトル「さくら学院 2018年度 ~Life 色褪せない日々~」にある「色褪せ」という3文字があり運命を感じたことから今回歌うことにしたと述べ、「失くした1/2」を熱唱した。歌い終わったあと涙をポロポロと流す新谷は「もっと伝えたいことがあった気がして……でも大丈夫です」と席に戻ろうとしたが、倉本校長と担任の森ハヤシに促されて「私は歌が得意じゃないんですけど、リズムやテンポを気にするよりも伝えたい思いさえあれば、歌はちゃんと届くんだとこの曲を聴いてわかった気がしました」と胸にしまい込もうとした思いを告白した。

今回が「歌の考古学」初参加となる白鳥は、幼い頃に車の中でよく耳にしていたというEvery Little Thing「Time goes by」を選んだ。失恋して落ち込んだ気持ちから前向きな気持ちへと変化していく歌詞構成をわかりやすく解説し、つらいときに自分を励ましてくれたというこの曲を歌い上げた。1時限目では最年少、「歌の考古学」には2回目の参加となる八木はピンク・レディー「サウスポー」をチョイス。昨年度の「歌の考古学」で披露した「学園天国」と同じく阿久悠作詞の「サウスポー」の歌詞を大きな紙に手書きして用意した。八木は自前の指示棒を使い「なんでこんな歌詞になったんやろう」という素朴な疑問を浮かべながら、左利きを意味する“サウスポー”をさくら学院の左利きメンバー・藤平に当てはめて、コミカルにテンポよく自己流の歌詞解釈を話した。プレゼンを終えた八木はピンクのつばのついた野球帽をかぶって「サウスポー」を振り付きで歌い、会場を和ませた。

1時限目のラストを飾ったのは例年「歌の考古学」で持ち前の歌唱力と英語力を駆使して洋楽を歌ってきた日高。中等部1年のときの「歌の考古学」で「オズの魔法使」の劇中歌「Over the Rainbow」を歌ったことから、自身にとって最後の「歌の考古学」となる今回、彼女はそのつながりで関連作品「ウィキッド」の劇中歌「Defying Gravity」を選んだ。日高はこの曲の歌詞に「『さくら学院という地上の重力から解き放たれてもうこの場所に戻ることはないけれど、私たちは見上げればそこにいる』と在校生に伝えたい」と卒業を控えた自身の思いを重ね、力強く熱唱。3年間の「歌の考古学」での集大成とも言える、日高の圧倒的な歌声に客席から鳴り止まない拍手が贈られた。

2時限目の冒頭では麻生と藤平が、在学中に3人で“KYG”こと“恐怖のイェーイ軍団”を結成していた昨年度の卒業生・岡崎百々子の誕生日を祝福。そんなオープニングトークを経て、KYGの1人である藤平が2時限目のトップバッターを務めた。藤平は家族にリサーチをして挙がった曲の中から、母が中学校卒業の頃に聴いてたというDREAMS COME TRUE「笑顔の行方」を選んで、歌詞の共感した部分を解説。藤平がこの曲に重ねたのはKYGの絆で、卒業と海外留学で会えなくなってしまった岡崎への思い、パフォーマンス委員長でありながら思ったことをなかなか口に出せなかった自分の背中を押してくれた麻生への思いを語り、憧れだという吉田美和のようにパワフルに「笑顔の行方」を歌った。

田中美空は自身が生まれる直前に発表された川嶋あい「旅立ちの日に…」を選んだ。学生の間では卒業ソングとしておなじみだが、川嶋が結成していたユニット・I WiSHのデビュー曲でありヒット曲「明日への扉」の原曲であることなどを説明したあと、自身も3月で小学校を卒業することからこの曲をチョイスしたと話し、堂々と「旅立ちの日に…」を歌った。「歌の考古学」初挑戦の野中は母親が大好きな曲だという荒井由実「ルージュの伝言」を選曲。ポップで子供らしいという印象で選んだそうだが、実は“浮気の歌”で驚いたと選曲時のエピソードを明かし、メッセージボードなど自作の小道具を使いながらリズミカルに「ルージュの伝言」を歌唱した。英語の歌に挑戦してみたかったという森萌々穂が選んだのはThe Bangles「Eternal flame」。森萌々穂は「Eternal flame」の邦題が「胸いっぱいの愛」であり、自身が小等部6年、中等部1年の頃は先輩たちから“胸いっぱいの愛”を受け、中等部2年になって先輩たちと同じように下級生に“胸いっぱい”の愛をあげたいという思いが芽生えたと明かし、思いを込めて楽曲を披露した。

2007年生まれのグループ最年少・野崎は「皆さん知らないと思うんですけど……」と前置きをして、母がカラオケでよく歌うという「おジャ魔女どれみ」シリーズの初代オープニングテーマ「おジャ魔女カーニバル!!」を選曲したことを告げる。発売された頃、母が自分の今の年齢と同じ11歳だったこともあり、この曲を選んだという野崎は歌詞の内容にとても共感したそう。「皆さんにも子供の頃の気持ちを蘇らせてほしいんです!」と熱弁を繰り広げ、ピンクのウィッチハットとマントを羽織り、星の付いたステッキを手にして「おジャ魔女カーニバル!!」をキュートに歌った。また先輩たちは野崎が歌いやすいように合いの手を入れていた。

麻生は転入(加入)した2015年度の新曲「キラメキの雫」が自分にとっての応援歌だったため、「キラメキ」や「かけら」などのワードで検索をかけて楽曲を探していったと選曲の経緯を説明。なかなかそれらのワードではピンとくる楽曲がなく、「かけら」を英語にした「PIECE」で検索して見つけたという今井美樹「PIECE OF MY WISH」を自身にとって最後の「歌の考古学」で歌うことにしたと話す。中でも2番の歌詞が「真彩の気持ちそのもの」で胸に響いたそうで「真彩にとってはみんなが希望のピースです。悔しいこともあったけれど、寄り添ってくれたみんながいたから前を向くことができました。私もみんなのそんなピースになりたいです」とプレゼンを締めくくり、メンバーとの思い出の写真をたくさん貼った模造紙の真ん中に、12人での集合写真を加えた。マイクを取った麻生は「皆さんと、大好きなメンバーへの思いを込めて」と言ってから「PIECE OF MY WISH」を伸びやかに歌唱。万雷の拍手を受けて「今日はみんな(メンバー)が見てくれているし、父兄さんも温かい目で見てくださったから、自分が思っていることを歌詞に乗せて届けられたと思います。最高の日になりました!」と笑顔を見せた。

2018年度のさくら学院のライブも残すところ、あと2公演。3月30日に神奈川・神奈川県民ホールで行われる卒業公演「The Road to Graduation 2018 Final ~さくら学院 2018年度 卒業~」の模様は翌31日に全国の劇場でライブビューイング上映される。

さくら学院公開授業「歌の考古学」メンバー歌唱楽曲(※カッコ内はオリジナルアーティスト)

・新谷ゆづみ「失くした1/2」(尾崎豊)
・麻生真彩「PIECE OF MY WISH」(今井美樹)
・日高麻鈴「Defying Gravity」(イディナ・メンゼル)
・藤平華乃「笑顔の行方」(DREAMS COME TRUE)
・吉田爽葉香「ミラクル・ガール」(永井真理子)
・有友緒心「メロディー」(玉置浩二)
・森萌々穂「Eternal flame」(The Bangles)
・白鳥沙南「Time goes by」(Every Little Thing)
・野中ここな「ルージュの伝言」(荒井由実)
・田中美空「旅立ちの日に…」(川嶋あい)
・八木美樹「サウスポー」(ピンク・レディー)
・野崎結愛「おジャ魔女カーニバル!!」(MAHO堂)

The Road to Graduation 2018 ~放課後アンソロジー レッツ スタンディング~

2019年3月26日(火)東京都 TSUTAYA O-EAST

さくら学院「The Road to Graduation 2018 Final ~さくら学院 2018年度 卒業~」

2019年3月30日(土)神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール

※日高麻鈴の「高」ははしご高が正式表記。

※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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