岡崎体育との出会い、そして新人賞受賞へ
映像作家として転機になった出来事は、やっぱり
出会った頃の体育くんの人気度は、ライブにお客さんを5人呼べるか呼べないかぐらい。それやのにライブはホンマに面白くて、この面白さをたくさんの人に伝えなアカンと思ったんです。体育くんは今でこそプロモーションやマーケティングが上手なイメージがあると思うんですけど、当時はホンマに「もっとちゃんとしたらいいのに!」と思ってましたね(笑)。全然ライブの告知もしいひんし、曲の宣伝もあんまりやらへん。一方僕は寿司くんのアニメを広めようといろいろ考えながらやっていたんで、そんな体育くんを見て「なんでこんないい音楽やってるのに広まらへんねん! いや、広めようとせんねん!」って思っていました(笑)。体育くんが僕を見つけてくれたのは、単純に学生でMVをバンバン作っているような人が僕ぐらいしかいなかったからやと思います。YouTuberとかもまだいなかった頃やし。寿司くんはYouTubeを始めるのが早すぎたかもしれないなと思いますね。
「家族構成」を皮切りに体育くんのMVを監督するようになって、メジャーデビュー作に入っている「MUSIC VIDEO」のMVは「第20回文化庁メディア芸術祭」の「エンターテインメント部門 新人賞」に選ばれました(参照:岡崎体育と寿司くん、新人賞受賞のメディア芸術祭内覧会で「次は大賞」)。
そもそも自分が映像を担当したアーティストがメジャーデビューするっていうのが初めてやったんで感慨深くて、スペースシャワーTVで画面の下のほうに「Director 寿司くん」って出ただけでうれしかったのに賞までもらえるとは。その年の「文化庁メディア芸術祭」で賞を獲っていたのは「シン・ゴジラ」とかそうそうたる作品ばかりだったんです。そんな中で僕と体育くんと、体育くんのマネージャーの松下さんだけのスタッフチームで、お金もかけず僕がカメラを回して撮ったビデオが新人賞を獲れんねや……って思いました。MVはそのアーティストとディレクターとのコラボレーション作品やと思うんですけど、体育くんのMVは曲自体が面白いのでどうやっても大丈夫だなと安心して監督できます。完全に人任せですけど(笑)。
自己顕示欲が強すぎて
さっき体育くんのマーケティングがあまりちゃんとしていなかったという話をしましたけど、僕自身がマーケティング上手だったかというとそういうことではなくて、自己顕示欲が強すぎて自分が作った作品が観てもらえへんなら意味ないなと思ってずっとやってるだけなんですよ。高校時代にたくさんの人に自分の作品を褒めてもらってうれしかった経験があるから、あんまり反応がないと、いまだにすごく寂しい気持ちになるんです。大学の頃に同級生が「わかる人にだけわかればいい」って言いながら映画を撮ってるのとかも「観てもらってちゃんとわかってもらわなアカンのちゃうん?」ってずっと思ってて。僕はとにかくいろんな人に観てもらいたい、だからちゃんと届くように考えていろいろ工夫していたと思います。
僕が映像を作るうえで心がけているのは誰にでもわかりやすくすること。自分の世界が強すぎて観ている人に何も伝わらへんっていうのが芸大生あるあるなんですけど、学生の頃からそうならないように心がけていました。シュールな世界観の中でも軸にあるものというか、“何がしたいか”はわかるようにしていたと思います。映像は基礎しか習ってへんから、寿司くんの作品はカット割りとかカメラワークがわりと単純。でも単純なことがシュールだと捉えられた部分もあるんです。そのチープさが味になっていたし、親しみやすさも生んでいたと思います。
ヤバTのウケるMVの法則
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ベタを大事にする寿司くん | 映像で音楽を奏でる人々 第20回 - 音楽ナタリー
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