映画「
本作は、若くして妊娠した女性を支援する施設でともに暮らす5人の少女を描いた群像劇。貧困や暴力などさまざまな問題を抱え、なるべき家族像を見出せないまま母になる少女たちが、押し寄せる孤独感にのみ込まれそうになりながら歩むべき道を選び取っていく姿がつづられる。
大きな拍手に迎えられ登場したジャン=ピエール・ダルデンヌは「本作を日本で公開できてうれしく思います」と、リュック・ダルデンヌは「1996年にビターズ・エンドが『イゴールの約束』を世界で初めて買い付けてくれました。それ以来、私たちは作品が公開されるたびに日本に来ているんです」と笑みをこぼした。
第78回カンヌ国際映画祭で脚本賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した本作。ジャン=ピエール・ダルデンヌは「カンヌで賞をもらうことはとてもいいことです。私たちだけではなく、スタッフのためにも、俳優たちのためにも、映画のためにも。受賞は、世界に向かって大きく扉を開くきっかけになります」と口にした。
イベント中盤には、河合が花束を持って登場。「すべての映画人にとって憧れといっても過言ではないお二人にお会いできて、すごくうれしく思っています。ご縁に感謝します」と喜ぶ。また「『あんのこと』を撮影する際、監督(入江悠)と私が参考にしたのがお二人の『ロゼッタ』でした。直接的に参考にするということではなかったんですが、ヒントになることが多く、助けられました。思い出深い作品です」と思い入れたっぷりに伝える。ダルデンヌ兄弟は「『ロゼッタ』とエミリー・ドゥケンヌに感謝したいです」と声をそろえた。
河合は「そして彼女たちは」をすでに鑑賞しているそうで「映っている現実はすごく厳しいですが、観終わったあとにすごく心が温かくなる希望のある物語だと思いました。これから親になる人や家族との関係を難しく感じている人など、いろんな人の背中を押してくれる映画だと思います」と語る。これにリュック・ダルデンヌは「日本に限らず、フランスであろうと、アメリカであろうと、単に演技をするだけではなく“映画を観ることができる”人は素晴らしい女優さんだと思います」とほほえんだ。
続いて、河合は「出来事が偶発的に起こっているように見えて、すごくリアルで驚いたんです。お二人はどのようにリハーサルを行なって、どう俳優とコミュニケーションを取っているんですか?」と問いかける。ジャン=ピエール・ダルデンヌは「具体的には、5週間かけて撮影前にリハーサルを行いました。実際のセットの中でカメラを持って撮影していきます。こういったことを行う目的の1つは雰囲気を作ることです。俳優たちが『こんなこと提案したら愚かだと思われるかな、恥ずかしいかな』といった恐怖を持たないよう、雰囲気作りを心がけています。リハーサルで俳優の恐怖心をすべて取り去ることで、そこに本当に存在しているように演技することができるようになります。そして現実に起きているような映像を作っていけるんです」と回答。リュック・ダルデンヌは「リハーサルすることによって、どのように動くのか、そしてどれぐらい沈黙するのかを見つけていきます。俳優たちもセリフのリズムなどを探すことができるんです」と述べた。
最後に河合は「お二人の登場人物に対する愛を今作でも感じられると思います。いろんな人に観ていただきたいです」とコメント。ジャン=ピエール・ダルデンヌは「こんなに多くに方に来ていただき、ありがとうございます。続きはリュックが」と茶目っ気たっぷりに振り、リュック・ダルデンヌは「愛が勝利します。最後には連帯が勝利します。この映画を観て、泣いたり、笑ったり、喜んでくださることを期待しています」と語りかけ、イベントの幕を引いた。
ベルギー・フランス映画「そして彼女たちは」は全国で上映中。
映画「そして彼女たちは」本予告
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Blessed @ModestusBlessed
@eiga_natalie ダルデンヌ兄弟の演出哲学がとても印象的です。リハーサルで俳優の「恐怖心」を取り除くというアプローチは、演技の純度を高めるための深い洞察を感じます。河合優実さんのような繊細な表現力を持つ俳優にとって、この方法は特に効果的でしょう。作品が楽しみです。