Netflix「イン・ユア・ドリームズ」監督、夢の次は“死”の物語？名古屋のアニメ映画祭で明かす

12月12日より愛知県名古屋市で開催されている第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル（ANIAFF）。招待作品のNetflix映画「イン・ユア・ドリームズ：願いがかなうなら」が12月14日にミッドランドスクエア シネマで日本初上映され、監督のアレックス・ウー、インタビュアーの塩田周三（ポリゴン・ピクチュアズ）がトークイベントに登壇した。

2025年11月にNetflixで世界配信された本作は、しっかり者の姉スティーヴィーとマイペースな弟エリオットが主人公のファンタジードラマ。両親のすれ違いに悩む2人が、願いを叶えてくれる存在・サンドマンに理想の家族を求め、夢の世界へと入り込んでいく物語だ。ポップでカラフルなタッチながら、思い通りにいかない現実のほろ苦さも丁寧に描いたファミリームービーとなっている。

監督のウーは、ピクサー・アニメーション・スタジオで「ファインディング・ドリー」のストーリーリードを担当するなど活躍したのち、ルーカスフィルム・アニメーションで開発ディレクターを務めた。本作の制作経緯について「ピクサーを辞めたときから、どんな映画を自分たちは観たいのかを考え始めました。2017年に着手して、完成したのは2020年。赤ちゃんが歩き始めるまで約9カ月ですが、映画が独り歩きするのに9年も掛かりました」と長い道のりを回想。「赤ちゃんが生まれてくるのと同じように、何もないところからいろんな方の協力で生み出された作品です」と感慨深げに語った。15歳からアジアで過ごし、「ドラゴンボール」などを観て育った背景もあり、今回の映画には「美少女戦士セーラームーン」の一部も反映させているという。

夢という題材を扱った理由については「転機になったのは、夢を現実につなげる役割としてサンドマンを思いついたこと」と説明。「私は1980年代のアニメに影響を受けていて、大きなファンタジーと人間らしい物語を融合させたかった」と創作の原点を振り返りつつ、「“夢オチ”は観客をだましてしまうことになるので、夢のような話を、どう現実に落とし込むかが一番悩みました」と明かした。本作の核となるテーマにも触れ、「夢を追うことは“憧れを追いかける”ことができる一方で、失敗すると自分を負け犬だと思ってしまう。でも本当はそんなことない」と語る。「悪夢は避けたいものだと思うかもしれませんが、私の人生で一番最悪な時期こそが、もっとも成長できた時間でした。悪夢はネガティブな側面だけではなく人生においてポジティブな面もある、ということを描きたかった」と思いを込めた。

次回作について問われると、「『死』というテーマも扱ってみたい」と意外な構想を披露。「死と言ってもポジティブな形で表現したい。愛する人を亡くしたとき、それは本当に失うものではない、ということを。具体的には、ある犬と猫の体が入れ替わってしまい、それぞれの視点から学ぶ……そういったものを考えています」とユニークなアイデアを披露して観客を驚かせた。

「イン・ユア・ドリームズ：願いがかなうなら」はNetflixで独占配信中。第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバルは12月17日まで開催される。

「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」開催情報

2025年12月12日（金）～17日（水）愛知県 ミッドランドスクエア シネマ、ミッドランドスクエア シネマ2、109シネマズ名古屋ほか